元記事http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2061523.html
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(上)からの続き
農薬で発達障害やアレルギーが激増、給食の有機無償化の実現を
私たちに何ができるかを中心にお話ししたい。私は長崎県の五島列島で生まれた。中学になってから農薬や肥料が現れ、今や日本ではこれがないと農業ができない。わずか65年の出来事だ。
私は牧場を開き、ウシを400頭飼った。しかし、借金がかさみ、やめた。始めたとき日本の食料自給率は65%、英国は37%だったが、やめるときは日本44%、英国78%と逆転した。大型畜産業社が倒産していった。弁護士資格を取り、この状況を何とかしようと衆院選に挑戦。4回目に初当選した。
水田からメタンガスが出るから750億円を出してつぶそうとは、とんでもない。穀物の中で、水田は連作障害がない。1度壊したら、もうできない。2000年、3000年の遺産だ。昔はコメを作った後、麦を作った。冬の寒い時期、麦踏みをさせられた。輪作で大豆を作る。二毛作手当が出たが、自給率を上げるため。両方作った方がどちらも収穫が上がる。農地は不思議。大豆を作ると窒素肥料が固定されるから、全く肥料が要らない。資源循環型農業をついこの間までやっていた。
発達障害児が増えている。通常のクラスで授業が受けられない子供たちだ。要約文部科学省が統計を取ったら、令和3(2021)年は18万3880人に上る。10年間で10倍に増えた。同じ方法ではないが、20年前の統計から40倍に増えたことになる。恐ろしい。ネオニコチノイド系の農薬が疑われる。
『食の安全を守る人々』(21年)という映画を作った(2分間上映する)。この中で取り上げている「ラウンドアップ」(除草剤)の成分、グリホサートはベトナム戦争で使われた枯れ葉剤と同じ成分だ。私たちの体の中にこれがどれだけ残留しているか検査する活動「デトックス・プロジェクト・ジャパン」を立ち上げた。農水省の調べでは、輸入小麦の98%に含まれていることが分かっている。
このプロジェクトの予備検査として23人の国会議員の頭髪をフランスのクズ・サイエンス社の協力で検査したところ、19人からグリホサートが検出された。尿によるネオニコチノイド検査は日本でもできるようになった。ぜひ、申し込んでほしい。プレ検査では全員から出た。この会場にいる全員から出るかもしれない。
農薬の影響は孫、ひ孫に出てくる。遺伝子細胞に影響するからで、専門家は「メチル化」と呼ぶ。日本はこのままでいけば、どれだけ増えるか恐ろしい。
米国の「ラウンドアップ訴訟」は、学校の用務員をしていたドウェイン・ジョンソンさんががんになったのはラウンドアップのせいだとしてモンサント社を提訴。カリフォルニア州の裁判所は約320億円の支払いを同社に命じたもの。現在、世界で5万件の訴訟が起こされている。
ゼン・ハニーカットさんは3児の母。子供は全員アレルギーで、1人は自閉症になり、原因を追究する。グリホサートはビフィズス菌など植物性の腸内細菌を減らし、脳神経を冒す細菌を8倍も増やすことを知る。パンやパスタなど小麦食をやめると、4週間で改善した。オーガニック(有機)食でデトックス(解毒)できる。
韓国では、ほとんどの小中高、公立の保育園・幼稚園、公立の病院・介護老人ホームで有機無償給食が出されている。
2022年の世界の有機農業栽培面積は、前年比27%増えた。1位は豪州で49%増。インド、アルゼンチン、中国が続く。日本は92位。EUは有機栽培面積を30年までに全耕地面積の25%までに拡大する計画だが、日本は0.6。一番農薬を使っている。
日本でも何とか学校給食を有機無償化できないかと、いち早くこれを実現した千葉県いすみ市の太田洋(おおた・ひろし)市長に会った。22年10月に全国オーガニック給食フォーラムを開き、41の市町村長が参加した。
23年6月にはこの市町村長さんが発起人になって全国オーガニック給食協議会が設立され、超党派のオーガニック給食議連が発足した。「全国の小・中学校でオーガニック給食を実現すること」を目的とし、共同代表には川田龍平参院議員(立憲)とともに坂本哲志農水相、副代表には宮下一郎前農水相が就いてくださった。立憲と維新が無償化法案を策定し、自民党の部会も検討し始めた。
米価は23年、キロ当たり1万円を切ったが、2万4000円で買ってもらえる。野菜も9種は有機で3、4割高く買われる。宮城県綾町(あやちょう)などは条例で、学校給食はオーガニックにするよう定めた。
政府は食料・農業・農村基本法を策定しており、昨年、パブリックコメントを募集した。半分以上は「種子の自給を盛り込むこと」だったが、一言も書かれていない。鈴木先生は食料自給率の重要性を説かれたが、はるかに後退した内容になった。
私ども「日本の種子(たね)を守る会」は2017年に主要農産物種子法(種子法)廃止が決まったことを受けて発足した。これまで日本の穀物のコメ、麦、大豆は種子法によって国が管理して、安く農家に提供してきた。
やめた理由は、「みつひかり」というF1(一代交代種)の「優良な」民間品種ができたから国が各都道府県にお金を出して作らせる必要がないというものだった。
そこで「守る会」は各自治体に種子法に代わる条例を作って、「コシヒカリ」「ゆめぴりか」などの優良品種の種子を安く提供し続けることを考えた。今、条例は34道県で制定されている。国は種子法を廃止する際、農水省が全国を説明に回った際配ったチラシには、「みつひかり」が「超多収」と書かれている。
「みつひかり」は全国1500ヘクタールで作付けされていたが、23年2月、販売元の三井化学が突然、種を「提供できない」と農家に通知してきた。粗悪品だったために発芽率が低く、他品種を混入させ、産地などを不正表示していたのだ。しかも、民間の種子は価格が従来品種の10倍もする。
農水省は促進した手前か「厳重注意」にとどめたが、私たちは同年11月、三井化学を刑事告発した。告発人には川田龍平・須藤元気・福島瑞穂・阿部知子ら国会議員のほか、鈴木宣弘教授やジャーナリストの堤未果氏、元外交官の孫崎享氏、政治経済学者の植草一秀氏ら総勢19人が名を連ねた。民間でも優良品種の提供が可能であるというのが種子法廃止の理由だったが、その前提が崩れたからである。
三井化学は種子事業から撤退したとも聞く。私たちが本気で動けば、世の中は変えることができる。
今からやりたいのは、食品表示の是正だ。23年4月に遺伝子組み換えの表示義務がなくなり、ゲノム編集の表示義務化が見送られた。消費者庁は、「化学調味料不使用」や「無添加」の表示も罰則付きで規制するという。一方で、「国内製造」という表示が認められ、混乱を招いている。
ぜひ、「食品表示問題ネットワーク」に参加してほしい。表示問題については、訴訟を検討している。(下)へ続く
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