※2024年3月6日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2024年3月6日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
自身の説明責任は逃れ、かたや「個人の説明が重要」、もはやこの国の危難は底なし(岸田首相=参院予算委、5日)/(C)日刊ゲンダイ
「説明責任」「政治責任」……。自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡る国会質疑で、壊れたレコードのように同じ言葉を繰り返している岸田首相。
何らまとまりもなく、説明にすらなっていない話をダラダラ続けるだけで、具体的で的確な対応策を打ち出すわけでも、総理総裁として明確な方向性を示すわけでもない。
もはや、こんな男が首相で居座り続けていること自体が日本にとって不幸であり、まさに国難と言っていい。内閣支持率が2割台に落ち込み、過去最低を更新し続けているのも当然ではないか。
5日の参院予算委でも、野党議員から裏金事件の実態解明を求める声が上がったにもかかわらず、答弁に立った岸田は相変わらずノラリクラリでヤル気なし。
自身の処分などを問われると、「法改正など結果を出すことで、責任を果たしたい」とシレッと言い放ち、裏金事件に関与した議員の役職登用についても「説明責任、政治責任を果たしたという判断が求められる」などと、例によってナントカの一つ覚えのような発言ばかりだったから呆れてしまう。
キックバックの不記載よりも悪質
親分が親分なら子分も子分。裏金事件の全容解明が1ミリも進んでいない中、茂木幹事長にも新たなカネの問題が浮上。収支報告の記載が厳格な資金管理団体「茂木敏充政策研究会」から、公開基準の緩い別団体「茂木敏充後援会総連合会」にカネを寄付し、使途を分かりにくくさせる“マネーロンダリング”の手法で裏金をつくっていたとされる疑惑だ。移されたカネは10年間で総額3.2億円にも上っていたというから、キックバックによる裏金事件以上の衝撃と言っていい。
一部報道では、資金管理団体から別団体に付け替えする手口は「茂木派方式」と呼ばれていたといい、実際、茂木派事務総長を務める新藤経済再生担当相も、自身が代表を務める「自由民主党埼玉県第2選挙区支部」から別団体の「新藤義孝後援会」にカネを移動し、その総額は10年で約2.5億円にも上っていた。
4日の参院予算委で立憲の蓮舫議員は「茂木派は法の抜け穴を使って裏金をつくっているのではないか」と声を荒らげ、怒りの表情を見せていたのも当然だろう。
派閥パーティーの裏金事件では我関せずと「シロ」を装いながら、裏では脱法行為に手を染めていた可能性を指摘されている茂木。ザル法と呼ばれる規正法の問題点を理解した上でカネを付け替えていた確信犯の疑いがある分、ある意味、キックバックの不記載よりも悪質と断じざるを得ない。
茂木は過去の予算委で閣僚席から野党議員を罵倒する姿が報じられ、その人間性が度々問題視されていたとはいえ、あらためて、その腹黒さ、薄汚さに唖然呆然。それでいて、よくもまあ、「収支の見える化や透明性の向上を図ることも検討していく必要がある」などと言えたものだ。
岸田も岸田で「本人が説明することが重要」などとコトの重大性に気付いてないからアングリだ。
元参院議員の平野貞夫氏はこう言う。
「世論調査では裏金事件を巡る自民党の対応に回答者の8、9割が納得していないにもかかわらず、岸田首相や茂木幹事長はその状況に気付いていない。岸田首相は国民の声を聞くと言っていたが、まるで国民生活に関心がないのでしょう」
驕り高ぶった自民党に納税者の怒りを示すべき
結局、裏金事件を巡る衆参予算委や衆院政治倫理審査会(政倫審)の質疑を通じて、ハッキリしたことは岸田の嘘八百と安倍派の国民愚弄だ。
「火の玉となって国民の信頼回復に取り組む」
「政治の信頼回復に向けて、私自身が先頭に立って、これらを必ず実行してまいります」
岸田はいつも言うだけで一切、何もしない。これまで、どこの先頭に立ったのか。何を実行したのか。裏金事件の発覚前と今で一体、何か改善されたことはあるのか。
聞かれたことには答えず、自身が国民の前で断言したことも、まるでなかったかのごとく他人事。世間一般ではこういう人間を「嘘つき」「詐欺師」と呼ぶのだ。「嘘つき首相」といえば「桜を見る会」前夜祭を巡る国会答弁で計118回の虚偽答弁が指摘された安倍元首相がいるが、今回の事件で総額約5.8億円の裏金が判明した安倍派の面々もまた嘘つきばかりと指摘せざるを得ない。
発覚当初は「適正に処理している」と横並びでトボケていながら、その後、「政策活動費として受け取った」「派閥から記載しなくていいカネと言われた」などと説明が二転三転。逮捕者が出るとダンマリを貫き、特捜部の捜査が一段落した途端、「俺も」「私も」と相次いで収支報告書を訂正。と思いきや、これがまた「不明」ばかりの記載というデタラメぶり。
嘘はバレてもつき続けるのが安倍派のお家芸
政倫審では、秘書や会計責任者に責任を押し付けて知らぬ存ぜぬの幹部の茶番劇を見せられ、いまだに「すべてを正直に話す」「ため込んだ裏金は重加算税を含めて納税します」という議員は皆無。議員辞職どころか離党もせず、まるで何事もなかったかのように振る舞っている。違法、脱法行為の不記載で隠してきた裏金をいい加減な「訂正」で表のカネにロンダリング。どう見ても政治家ではなく犯罪集団だろう。嘘はバレてもつき続けるのが安倍派のお家芸なのだろうが、これが派閥が訴えていた「美しい国」の意味なのか。
過去に事務総長を務めた下村元文科相が政倫審に出席の意向を示したことについて、新聞は「全容解明なるか」などと期待を込めて書いているが、幹部を外されたとはいえ、しょせんは安倍派。仮に出席したところで「洗いざらいすべてを明かします」なんてなるわけがない。詰まるところ、自民党の金権腐敗が底なしと分かった今、脱税集団に突き付けるべきは、証人喚問と4月の衆院補選(東京15区、島根1区、長崎3区)で鉄槌を下すこと。
自民を全敗に追い込む以外に方策はないのだ。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「国会中継で岸田首相の答弁を見た有権者もいい加減、うんざりしているでしょう。立憲の泉代表が保守王国の島根に入った際、多くの有権者から『自民キックバック党を倒せ』と声が掛かったと聞きます。そうした怒りは全国に広がっています。驕り高ぶった自民党を選挙で痛い目にあわす。世論は今、その方向に確実に向かっています」
納税者の怒りを「脱税犯罪集団」に見せつける時だ。
http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/557.html