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2024年2月08日06時30分 〜
記事 [政治・選挙・NHK293] つくづく口先だけの男だ もう露呈した「先頭に立つ」の嘘八百(日刊ゲンダイ)

※2024年2月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大


※紙面抜粋


※2024年2月7日 日刊ゲンダイ2面

※文字起こし


あー、つくづく口先だけの人(岸田首相)(C)日刊ゲンダイ

「政治の信頼回復に向けて、私自身が先頭に立って、これらを必ず実行してまいります」

 1月30日に衆参両院で行われた施政方針演説。自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、こう声を張り上げていた岸田首相の決意は一体何だったのか。

 連日の国会答弁を聞く限り、先頭に立って「信頼回復」に努める気はさらさらなく、むしろ、先頭に立って積極的、意図的に事実を矮小化し、隠蔽を図っているかのようだ。

 そもそも、今回の裏金事件について、自民党は党を挙げて政治資金収支報告書の記載ミスかのように吹聴しているが全く違う。政治資金だったのであれば、政治資金規正法にのっとって、収支報告書に記載すればよかっただけ。それなのに多くの国会議員が複数年にわたって常習的に多額の金を簿外処理していたのであり、企業が売上金の一部を帳簿に載せず、税務当局から「所得隠し」と指摘されているのと同じ。つまり、表に出てこないカネだったからこそ「裏金」と指摘されているわけだ。

 それなのに2日の参院本会議の代表質問で、「裏金」の定義を問われた岸田は、「一概に定義をお答えすることは困難」などと言い放っていたから唖然呆然。ああだ、こうだと屁理屈をこねて「裏金」の表現すら認めない。岸田がそんな調子だから、自民党の議院運営委の理事が野党の「裏金」発言にイチャモンをつける事態になるのだ。

マネロン犯罪集団の自民党にヤル気なし

 だが、これほど国民を愚弄した話はない。長年、こっそりと隠してきた「裏金」がバレたために慌てて収支報告書を訂正して「表金」に“マネーロンダリング”するような組織的犯罪集団と言ってもいい自民党が、野党に対して、あれこれ文句を言ったり、注文をつけたりできる立場にないのは明らかではないか。

 岸田は施政方針演説で、「各党との真摯な協議を経て、政治資金規正法の改正など法整備を実施する」とも言っていたが、これも口先に過ぎない。

 野党が実態解明に向けた第一歩として要求した「裏金議員」リストだって、安倍、二階両派で2020〜22年にキックバックを受けた議員名と金額を羅列しただけ。使途はもちろん、現職以外の名前も伏せられたままだ。

 立憲民主党の岡田幹事長は5日の衆院予算委で、岸田に向かって「(リストには)何に使ったのかも書かれていない。どう考えているのか」と呆れていたのも当然だろう。

 これでは真相解明もヘッタクレもない。20年までの3年間で約3000万円の不記載が明らかになった岸田派について問われた岸田自身が、「確認できていない」などとシレッとした表情で答えていたから何をかいわんやだ。大体、問題が発覚したのは昨年11月なのだから、国民に対して本気で申し訳ないと考えているのであれば、とっくに党内調査している。

 それなのに聞き取り調査は2日から、全国会議員のアンケートも5日に始めたばかり。例によって、いつもの「フリ」でごまかす気なのだろう。

 要するに岸田自民はヤル気なし。裏金事件を悪いと考えておらず、ヘタを打った、バレるとは思わなかったぐらいの感覚なのだ。

 政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。

「最大派閥の安倍派がボロボロになり、党内に遠慮する必要はなくなった。今こそ、国民生活のための政治ができるはずなのに、何もしない。政治家としての能力が欠落しているとしか思えません。『火の玉』や『先頭に立って』などと勇ましい言葉を並びたてながら、まったく何もしない。人間としてみっともない限りです」

自民党の辞書に「反省」の文字はない

「嘘はバレても徹底的につき通す」──。とりわけ安倍派議員の姿勢で見られるように、もともと自民党の辞書に「反省」の文字はなく、反省はフリだけ。鉛筆をナメナメした検察によって、たまたま逮捕、起訴を免れた裏金議員が、議員辞職どころか、今もなお除名もされずに離党もしない。あろうことか、何事もなかったかのような顔で平然と予算委員会で質問に立ち、政府の姿勢をただしているのだから国民も仰天しているに違いない。

 こんなデタラメがまかり通っているのも、「先頭に立つ」と言っていた岸田の嘘八百の姿勢が露呈したのが要因だろう。

 自身の疑惑に対してもユルユルだ。6日の衆院予算委では、自身の首相就任に関して行われた「祝う会」のパーティーをめぐる問題を追及されたのだが、「私自身とは異なる団体が開催した会ということなので、任意団体が(今後)開催するかどうか、私が申し上げる立場にない」などとノラリクラリ。

 立憲の米山議員は「総理は(このパーティーは)『合法だ』と言った。つまり、皆が『この脱法行為をやってもいい』と。それなら政治資金規正法なんて無意味ではないか。ありとあらゆる任意団体が(パーティーを)やって寄付したらよくなるではないか」と追及していたが、その通りだ。

 任意団体であれば、パーティーで集めた多額のカネを寄付しても自由。報告しなくても規正法の対象外となれば、まさに政界はやりたい放題の脱税天国になる。こんなバカな話があるわけがない。

すべてが人任せで問題から逃げている岸田

 6日付の朝日新聞が報じた、盛山文科相が21年の衆院選で、旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の関連団体から支援を受けていたという報道についても、岸田は旧統一教会との関係を断つとした自民党の方針を「閣僚に対していま一度確認する」と言うだけ。「引き続き(盛山には)職責を果たしてもらいたい」と、まるで他人事だったから呆れてしまう。

 二階元幹事長が幹事長在任中の5年間に受け取った約50億円に上る政策活動費の問題を問われても、「適切に使用されていると認識している」と繰り返すばかり。だが、5年間で50億円といえば、1年間でざっと10億円。1日約260万円、1時間で約11万円もの支出だ。

 常識的に考えても、すべての金を政治資金として使ったとは考えられない。国税庁幹部が国会で答弁していた通り、政策活動費は個人の雑所得であり、年末に余っていれば納税義務が生じる。納税していなければ当然、脱税となるわけで、それこそ総理、総裁として「先頭に立って」調査を指示するべき案件ではないのか。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。

「『先頭に立つ』のであれば、どこに向かうのか。方向性を示すのが当然ですが、何もない。すべてが人任せで、自分は問題から逃げているのです。政治資金規正法の改正も口にしていますが、どの部分をどう変えるのかという具体的な提示は一切ない。やっているフリにもなっていません」

 何を問われても真正面から答えず、後ろ向き答弁ではぐらかす。案の定と言うのか、これほど無責任の男はいない。この口だけ鉄面皮につける薬は、支持率1桁と市民団体の告発、あらゆる選挙で完敗させて鉄槌を下す以外にない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/305.html

記事 [政治・選挙・NHK293] 岸田政権下で日本の国力がどんどん落ちる…“言うだけ番長”が国会で連日火だるまの必然(日刊ゲンダイ)
岸田政権下で日本の国力がどんどん落ちる…“言うだけ番長”が国会で連日火だるまの必然
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/335899
2024/02/07 日刊ゲンダイ


結果責任(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ

「国民の信頼回復のために火の玉となる」──。昨年12月の会見で、こう訴えた岸田文雄首相(66)だが、衆院予算委では連日、野党議員から多くの疑惑を追及されて「火だるま」状態となっている。

 自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件、二階俊博元幹事長(84)が幹事長の在任中の5年間に受け取った約50億円に上る政策活動費の使途疑惑、総理大臣就任を祝う会の自身のパーティー問題に加え、6日には盛山正仁文科相(70)が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連団体から支援を受けていた疑いも浮上。はぐらかし答弁も目立つようになり、内閣支持率も再び急落し始めた。

 恐ろしいのは、岸田首相が「検討する」「よく聞く」などと言っている間にも、日本の国力がどんどん落ちていることだ。

 厚労省が6日に公表した2023年分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価を考慮した「実質賃金」は前年比2.5%減少。減少は2年連続で、減少幅は比較可能な1990年以降では、消費税率を引き上げた影響が出た2014年(2.8%減)に次ぐ。

 資源高、物価高に名目賃金の上昇が追い付いていないのが主な理由とはいえ、思い出されるのは、岸田首相が掲げていた「成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現」はどうなったのかということだ。

「岸田政権では、アベノミクスの成果の上に、新しい経済モデルである新しい資本主義の下、社会課題を成長のエンジンへと転換する中で、構造的賃上げなどを通じた成長と分配の好循環、これを実現してまいります」

 2023年4月の参院本会議で、岸田首相はこう声を張り上げていたのだが、「構造的賃上げ」どころか、この2年間で実質賃金は実に14万円余も減ってしまった。

政治は結果責任であり、逃れることはできない

 岸田政権下の国力低下はこれだけではない。

 OECD(経済協力開発機構)が発表した2023年版「デジタル政府指数」によると、日本は調査対象となった加盟33カ国中、31位となったのだが、「デジタル庁の機能強化」などを強く訴えていたのは岸田首相だった。

 2021年12月の参院本会議でもこう言っていた。

「デジタル田園都市国家構想実現会議の下、デジタル田園都市国家構想を推進します。デジタルによる地域活性化を進め、さらには、地方から国全体へ、ボトムアップの成長を実現していきます。(略)デジタル化、デジタルトランスフォーメーションを進める司令塔であるデジタル庁の機能を更に強化します。デジタル臨時行政調査会で、デジタル社会変革の青写真を描きます」

 ちなみに岸田首相は、1998年8月の衆院予算委に出席した際、こうも発言していた。

「我々政治家、大変厳しい国民の目にさらされているわけであります。国民から大変厳しい批判の声を受けながら今この難局に立ち向かわなければいけない、こんな状況にあるわけでありますが、そこでひとつ思うことを申し上げさせていただきたいと思いますのは、政治はもちろん結果責任であります。やはり結果責任であるということ、これからは逃れることができないわけであります」

 その通り。政治は結果責任であり、逃れることはできない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/306.html

記事 [政治・選挙・NHK293] 最重要経済統計報じぬメディア(植草一秀の『知られざる真実』)
最重要経済統計報じぬメディア
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2024/02/post-d3d1dc.html
2024年2月 7日 植草一秀の『知られざる真実』

2月6日、現在の日本経済における最重要統計が発表された。

毎月勤労統計=賃金統計だ。

ところが、メディアがほとんど報道しない。

NHKがニュースウォッチ9で触れたが、その他ニュースの最後にかたちだけ触れただけ。

スタジオで取り上げることもなかった。

岸田首相は昨年10月23日の所信表明演説で

「経済、経済、経済。わたしは何より経済に重点を置いてまいります。」

と声を張り上げた。

1月30日の衆院本会議での施政方針演説では

「賃金が上がることが当たり前だとの意識を社会全体に定着させる」

と述べた。

「賃金」こそ岸田内閣が掲げる最重要経済指標である。

2023年も春闘での賃上げを岸田首相が連呼した。

そして、春闘で賃上げが実現したかのような自画自賛も演じられた。

しかし、労働者はまったく喜んでいない。

労働者にとって重要な賃金指標は名目賃金ではない。

実質賃金である。

名目賃金が増えても物価上昇率がこれを上回れば実質賃金は減る。

実質賃金が増加しなければ何の意味もない。

2月6日に、昨年12月の賃金統計が発表された。

2023年12月の実質賃金は前年同月比で1.9%減少した。

21ヵ月連続の減少。

日本の労働者の実質賃金は減少し続けている。

春闘で賃上げが行われても、物価上昇がこれを上回り、実質賃金は減っているのだ。

本年1月10日に開催されたJR総連の旗開きレセプションで、私は労働組合に対して強く要望した。

連合は賃上げを要求しており、私は賃上げを否定するものではないが、労働者にとって重要なのは実質賃金である。

賃上げが実現してもインフレがこれを上回れば実質賃金は減少する。

実質賃金の増加を獲得するには、何よりもインフレ鎮圧、物価抑止が重要である。

労働組合は政府に対してインフレ抑止を強く訴えるべきである。

こう訴えた。

この声に聴く耳を持っていただいたのかは定かでない。

しかし、現実の問題として、日本ではインフレが亢進してインフレが賃上げを上回る状況が続いている。

その結果として実質賃金が減り続けている。

このことを労働組合が問題にしないことは不当である。

12月統計発表で2023年の実績(速報値)が明らかになった。

2023年の実質賃金は前年比で2.5%減少。

マイナス1.0%だった2022年の賃金減少を大幅に上回る賃金減少が生じたのである。

この重大ニュースをテレビメディアが大きく報道しない。

さすがに日経新聞は夕刊トップで報じたがテレビメディアの取り扱いがあまりにも小さい。

岸田内閣に決定的な打撃を与えることは明らかだ。

2020年を200とする指数では2023年は97.1となり、初めて100を下回った2022年からさらに低下した。

比較可能な1990年以降で最低の水準である。

連合は賃上げを求めるが、賃上げを実行できるのは大企業に限られる。

中小零細企業は賃上げどころでない。

大企業だけが賃上げを実施すれば、大企業と中小零細企業の間の所得格差はさらに広がる。

すべての労働者の利益を重視するなら、労働組合は「賃上げ」よりも「物価抑制」を優先するべきなのだ。

「賃上げ」は大企業でしか実現されないが、「物価抑制」の恩恵はすべての労働者に行き渡る。

政府と日銀がインフレ誘導に邁進してきた理由を踏まえずに、インフレ推進に労働組合が加担することは、あまりにも思慮が浅すぎる。

岸田内閣は2024年も「賃上げ、賃上げ、賃上げ」を叫ぶが、実質賃金の大幅増は見込みようがない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/307.html

記事 [政治・選挙・NHK293] 裏金議員も「拍子抜け」と呆れる…自民党聞き取り調査は“和気あいあい30分弱”のユルユル(日刊ゲンダイ)

※紙面クリック拡大

裏金議員も「拍子抜け」と呆れる…自民党聞き取り調査は“和気あいあい30分弱”のユルユル
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/335850
2024/02/07 日刊ゲンダイ


「1丁目1番地」にしてはあまりにもお粗末過ぎる調査(自民党の森山裕総務会長)/(C)日刊ゲンダイ

「国民の信頼を取り戻していく一丁目一番地だ」

 森山裕総務会長が6日の記者会見で、派閥パーティー裏金事件に関する党内調査についてこう言ったが、とても信頼など取り戻せそうにない。

 全議員アンケート調査がA4判の紙ぺら1枚に、質問も政治資金収支報告書への記載漏れの有無とその金額を聞く2問だけだったことが批判を浴びているが、裏金関係議員らの調査も驚愕の“やってる感”だということがわかったからだ。

 調査対象は政治資金収支報告書に不記載があった安倍派、二階派、岸田派の議員ら約90人で、森山によれば6日までに半数近くから聞き取りを終えたという。しかし、その調査はユルユル。

国対委員長には「野党に譲歩しすぎ」とブーイングが


こんな紙切れ1枚のアンケートで調査完了など、国民は断じて許容できない(C)共同通信社

 対象となった安倍派議員のひとりがこう話す。

「拍子抜けでした。調査は都内のホテルで30分弱。和気あいあいとしたものでした。森山さんは、『一応、形式的にお聞きしなければなりませんから、すみませんね』という感じで、キックバックの金額と使途について聞かれましたが、この程度の調査なら、やる意味がないんじゃないかと思いました」

 身内の党幹部による調査なんて“お手盛り”に決まっているが、調査される議員が呆れるほどだとは、酷すぎる。

 自民党内では今、浜田国対委員長に対して「野党に譲歩しすぎだ」とブーイングが噴出しているという。「訂正議員リスト」の提出や全議員アンケートの実施をのんだうえ、裏金議員の政治倫理審査会への出席を検討するとしていることなどをヤリ玉に挙げているらしい。

 結局、自民党は裏金づくりを悪いと思っていないのだろう。つける薬がない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/308.html

記事 [政治・選挙・NHK293] 宗教票が日本の民主主義を破壊する!  『日本のカルトと自民党』刊行記念対談@ 〈選挙と宗教〉 統一教会 創価学会 (集英社)
宗教票が日本の民主主義を破壊する! 
『日本のカルトと自民党』刊行記念対談@ 〈選挙と宗教〉 統一教会、創価学会
集英社 2023.3.22配信
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/hashizume_arita/22899

安倍晋三元首相暗殺を機に、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が自民党に深く食い込んでいる実態が明らかになってきた。カルトに付け込まれた自民党を非難するのは簡単だが、それではカルトは根絶できない。早くもこの問題の報道が下火になる中、宗教社会学者・橋爪大三郎著『日本のカルトと自民党』(集英社新書)では、カルトの正体を見極め、もう一度原点に立ち返って政治と宗教の関係を考え直すべきだと説く。本書の緊急出版に当たって、数十年にわたって統一教会をはじめカルトの実態を取材し続けてきたジャーナリスト・有田芳生氏と橋爪氏との対談が実現。両氏ともども、カルトの組織的な政治介入は、選挙制度をはじめ、日本の民主主義を機能不全にすると警鐘を鳴らす。

構成=宮内千和子 写真=三好妙心(橋爪氏)、有田氏提供


日本に欠けているカルト教育

有田 橋爪先生とお会いするのは28年ぶりです。1995年3月20日に地下鉄サリン事件が起きて、日本の報道はオウム事件一色になりましたが、そのテレビの仕事で橋爪先生と一度だけ同席する機会がありました。私のように現場をドタバタ回っている人間から見ると、蓄積された学問に基づいての事件分析は非常に印象深かった記憶があります。

橋爪 前回も今回も大きな事件があって、お会いすることがいいのか悪いのか(笑)。でもお話を聞けるチャンスを心待ちにしておりました。

有田 今度の本は、生長の家、日本会議、統一教会についての分析だと伺っていましたが、実はゲラを読んでびっくりいたしました。序論で書かれた「カルト原論」、この内容が素晴らしかった。カルトとは何か、なぜ危険なのか、それが歴史的な検証を含めて非常にわかりやすい文章で端的にまとめられている。31年前の桜田淳子さんなどが参加した合同結婚式のときの統一教会の報道、そして28年前の地下鉄サリン事件の報道、そこから日本の社会は何を学んだのかと今でも強く疑問に思っているんです。オウム事件を機にフランスでは、2001年に反セクト法というカルト問題に対処する法律ができました。それをきっかけにフランスは中学生レベルからカルト教育を学ぶ社会になっていったと思います。

 ところが、日本は今もそれがないままに来ている。じゃあ、具体的に日本でのカルト教育にはどういうテキストが必要だろうかと考えたときに、橋爪先生の今回のカルト原論を読んでまさにこれだと思いました。カルトというものをわかりやすく国民に知らしめる。特に若い人たちに知ってもらう。こういう本は私が知る限り皆無に等しかった。この内容こそ中学生レベルから学ばなければいけない。そのためにも学校、図書館、そして各家庭にもぜひ普及してもらって、多くの人に読んでほしいというのが、私の率直な感想です。そのくらい衝撃的でした。

橋爪 大変意義深く受け止めていただいて感謝です。宗教絡みの事件が起きると、日本人はみんな首をすくめてしまうんです。巻き込まれずに通り過ぎればいいやと。なぜかといえば、しっかり信仰を持って、信仰を選んでいる人が少ないからです。宗教と距離を置いて、最初からうさんくさいものだと思っている。これはこれで問題です。事件を起こした宗教とそうでない宗教をきちんと区別して、問題をピックアップするべきなのに、宗教だからいけないという結論で、いい大人が思考停止になってしまう。それは日本のためにも困ったことだし、本人のためにもならない。 

 それでわかりやすくウイルスに譬えた。ウイルスはどこにでもいて根絶はできないが、その中に伝染性が高く害毒をもたらすウイルスがいる。それがカルトである。その悪さをする部分を何とかすればいい。ワクチンもあるし、いろいろな対処法がある。宗教も同じだということです。

有田 はい。しかし日本の場合、ワクチンどころか何も対処策が講じられていない。オウム事件をきっかけに、確かに宗教法人法の一部は改正されましたが、創価学会をはじめ既成の宗教団体の強い反発にあって、結果的に新しい法律的な進展はほとんどなかった。今回も、統一教会問題で、昨年末に被害者救済法という新しい法律ができましたが、やはり創価学会の方々の反発もあって、ほとんど効果のない中途半端なものになっています。


犯罪以外、宗教は法律で取り締まれない

橋爪 問題を起こす宗教が出てきたときにどうすればいいか。法に触れて犯罪行為を行っていれば、それは検察、司法の問題です。既に存在する法律を根拠にして、外形的にこれが違法だ、あれは犯罪だとやるしかない。でも、カルトはそういうふうに対応できるものだろうか。

 役人は、刑法ではなく別の法律によって変な宗教を取り締まろうという発想になりがちですが、これは間違い。変な宗教に対しては、それを見つけて、拒否して、社会から排除するのは、健全な良識を持った市民の常識。これが正しい対処の方法です。一方で、人間には信仰の自由がありますから、「ちょっと変わっていても私はいいと思うので信じます」という人がいても止めることは難しいし、止めなくていいと思う。犯罪にならないなら、少し変な宗教を信じるのは自由の範囲です。その変さを社会が認識して、一握りの人にとどまっていれば、実害はそんなにない。

 私が問題だと思うのは、役人が法律で何とかしてくれるんじゃないかと、普通の市民はぼんやりして、態度をはっきりさせないでもいいと思っている点です。だから態度をはっきりさせるために、この本を書いた。奇妙な宗教の奇妙な点はここですよと具体的に言う。統一教会はここが変です、日本会議はここが変ですと指摘すれば、態度が決まりますね。病原性の高いウイルスに対しては、普通の市民が見識をもって見極め、はっきり拒絶する態度を取る。まずはそれが必要です。

有田 なるほど。オウム事件のあと、大江健三郎さんが『宙返り』という小説を書いたのですが、その中に、ユダヤ教のメシアの話がありました。その人が宙返り、つまり転向してイスラム教徒になるわけですが、そこまで変節すれば信者たちは逃げてしまうだろうと思っていたら、イスラム教としてトルコからアジアへと広がっていったと大江さんが書いていらした。今の先生のお話を聞いて、人間の心に関わる問題というのは、法律で抑えることができないということがひとつの私の感想でした。

 もうひとつ頭に浮かんだのは、安倍晋三元首相銃撃事件を起こした山上徹也被告のお母様のことです。テレビのコメンテーター、弁護士の中に、お母さんそんな宗教はもう脱会しなさいと言う人たちがいるんです。もちろん統一教会には霊感商法とか問題はありますが、そのお母様は、自分の夫が自殺をし、さらには長男が病気を患って、心の救いを求めて入信したわけで、犯罪に加担しなければそのこと自体は自由だと思うんです。ですから、他者がその信仰をやめろというのは、私にはとても違和感がありました。

橋爪 寄附をし過ぎたわけでしょう。もし寄附を強制しているとすれば、それは教団の問題であって、お母様の問題ではない。だから、何も言えないというのが日本国憲法の考え方だと思います。


創価学会−公明党の関係は憲法違反ではないのか

有田 その日本国憲法とのつながりで、創価学会と公明党の問題をどう考えるかをお聞きしたい。政教一致で創価学会を国教化するのは当然憲法違反であるという認識はありますが、政教分離という原則の中で、宗教活動がどこまで政治に関わっていいのか。これは統一教会問題での講演でものすごく頻繁に質問されることです。

橋爪 宗教団体と政府、特に選挙の関係は重要なこととして本にも書きました。選挙とは、国民、市民が政治的な意思決定を表明するほぼ唯一の機会で、主権者である国民の権利、そして義務です。その市民の投票の原則は、一人一人が自分の良心と見識と理性をもって、立候補している候補者の中でこの人がよいと思った人に投票する。無記名秘密投票なので、結果責任は問われない。しかし、投票の結果は全部自分に返ってきますから、最善の努力を尽くして、個別に投票するというのが正しいのです。これがゆるがせになったら、民主主義のミの字がもうない。

 そこで、団体として組織票が存在してよいのかどうか。存在してよいのは職能に関するもの。医師とか農民とか漁業組合とかの業界団体、そういう人たちが選挙のときに利害を表明し、この候補に投票しようと申し合わせる。こういうことをしても民主主義はゆがまないのです。民主主義は市民社会の様々な利害や矛盾をいかに調整するかということですから、有権者が利害に基づいて投票するのは当然のことです。

 じゃあ、何がいけないかというと、政治的な利害や政治的な決定に全く関係のない団体というのを使うのがよくない。今回のことで言うと、宗教団体です。宗教というのは、個々人が信仰を持ち、その信仰を深め合うために団体をつくっている。よい政治を望むのは自由ですが、宗教団体が政治をしてはいけない。それをすればもう宗教団体ではない。宗教団体が特定の候補者を応援したり投票することを指示したりすれば、それは即、民主主義にもとることになる。

 共産党はどうか。共産党は政党です。だから、この候補者に投票しましょうと活動するのはいいと思います。共産党は政党だからです。でも、創価学会は政党じゃない。創価学会が政党をつくって、政治に関与している。これは共産党と似ているようですが、違うと思います。宗教団体が公明党をつくったという点が問題なのです。もしアメリカでこのようなことがあれば大スキャンダルですし、どこの国でも問題ですよ。

有田 すっきりして、よくわかりました。創価学会だけではなく、去年の参議院選挙では、統一教会が自民党の安倍晋三さんの秘書官をやっていた人に組織として票を集中したり、野党で言うと、立憲民主党を立正佼成会が組織として応援するという歴史がずっと続いてきています。そういうことは問題だと理解してよろしいわけですね。アメリカではスキャンダルになるということですが、何か法的な対処策はあるんですか。

橋爪 法律以前の問題で、それは市民の常識だと思います。でも、ここ数十年、福音派とかクリスチャンナショナリズムが出てきてから、その原則が少し揺らいでいます。共和党保守派に宗教組織票が投じられたり、ちょっと妙なことになっています。宗教がだんだん都市部で退潮していく中で、私たちは見捨てられている、アメリカが間違った方向に行っていると考える教会の人々が増えてきて、あたかも教会が組織した運動が特定候補を応援するような現象が出てきているんです。

有田 アメリカでも政教分離の原則が揺らいでいるんですね。日本では、もっと深刻です。創価学会や、ほかの宗教団体に対して、日本でどういうことをこれから進めていくことが必要だとお考えでしょうか。

橋爪 まず、創価学会には反省してもらって、公明党は少なくとも国会に代表を送らないようにする。昔、公明党が解散したとき、地方政治レベルでは実質公明党のままけれど、中央では新進党と合体して表に出ないというやり方を取りましたね。あの線でよいのです。大体、公明党は最初に参議院に進出したときに、衆議院じゃないからいいんだと言っていたはずですよ。参議院は良識の府で、そこに宗教代表がいるのは国民の健全な良識を反映している証だというようなことを言っていたんですから。

有田 そうです。公明党が1955年にはじめて政治に出てきたときは、地方議会でしたからね。その翌年に参議院選挙に出て当選して、そこからどんどん衆議院にまで進出していったことが問題点だということはよくわかります。

橋爪 だから、公明党、創価学会には見識や一貫した方針があるわけではない。そのときそのときに言い抜けをして、事実問題として政治勢力になってしまおうという考え方だったと疑われるわけですね。もしそうなら、日本の民主主義にとって大変よろしくない。

統一教会より深刻な日本会議の影響力

有田 もうひとつ、今度は日本会議のことを伺いたい。本の中でも指摘されていますが、日本会議が出している新憲法大綱と、安倍元首相が提唱していた自民党の憲法改正案がそっくりだということ。緊急事態条項や、家族保護条項の追加、憲法9条の見直しなど、安倍さんの考え方と日本会議の方針がぴったり一致しているんですね。私は長いこと統一教会を取材してきましたが、統一教会が日本の政治を動かしているという見方は過大評価だと思っています。むしろこの憲法改正案を見る限り、日本会議のほうが政治的な影響力は強いと思うのですが、いかがでしょうか。

橋爪 集票力、政治への影響力ということで言えば、一頃の日本会議のほうがずっと大きかったと思います。日本会議は、谷口雅春という宗教家が創始した生長の家が母体なのですが、復憲論、つまり帝国憲法に復帰しましょうというのが谷口さんの考え方。その谷口さんが引退して、政治運動の実務部隊が生長の家の事務局を原点にしたグループ、集票構造を作った。それが日本会議です。そこで反発を招きやすい「復憲」ではなく、改憲として、復憲案に近いことをバラバラと箇条で提案していく。このやり方が安倍さんの考えとぴったり一致したのだと思います。

有田 私もそう思います。第一次安倍政権で新しい教育基本法ができて、第10条に家庭教育というものが入った。それをてこにして、2012年12月に、熊本県が初めて家庭教育支援条例を制定し、さらに鹿児島、静岡でも同様の条例ができて全国各地に広がっていきました。だけど、その実態を調べてみると、この条例の創案者は、国際勝共連合の熊本県本部の責任者なんですよ。彼らは前から家庭教育支援条例をつくって、各家庭に道徳の時間をつくろうなどと提唱していた。そこだけを見ると、統一教会がすごい力で日本の政治を変えているように見えますが、私はそれを過大評価だと言っているんです。もともと生長の家のメンバーの高橋史朗さんなどは、1970年代から統一教会系の機関誌にも常連執筆者として出ていて、統一教会の提唱はその受け売りだと私は見ています。

橋爪 統一教会と生長の家、日本会議は、別系統ですから関係がないと言えば関係ないです。でも、戦術面で一致できるところはあって、もしかすると共同戦線を組んだのかもしれない。社青同と中核派みたいな感じですか。政治の世界は、一致できるところは一致して合同したほうがパワーが強くなるので、そういう論理は働くと思います。

有田 1985年当時、天皇奉祝運動が活発に行われているときに、この間お亡くなりになった一水会の鈴木邦男さんなどが、国際勝共連合、統一教会は愛国団体ではない、非常に極端な韓国ナショナリズムなのだと厳しく批判して、右翼団体の人たちが、天皇奉祝運動から勝共連合を追い出したことがありました。けれどこの30年間、ほとんど統一教会に対する監視の目がなくなっていたことで、最近ではまた統一教会の古参信者が、堂々と演説している。そういう意味で、この統一教会と日本会議、生長の家との政治的な関係など、先生の今度の本で理解が広がってくれれば、統一教会への監視の目もより強化されていくのかなと思います。


統一地方選挙を前にはっきりさせるべきこと

橋爪 統一教会の政治力を過大評価することはないという点は、おっしゃるとおりだと思いますが、その危険性を看過してはならないですよ。
 統一教会は、ウイルスで言えば、生長の家や日本会議よりも毒性がずっと強いんです。ひとつは、メシアが現にいるという考え方です。メシアは政治権力より上にいるものです。統一教会の言い方だと、イエス・キリストがメシアとしてもう一回韓国人に生まれて、神の王国を地上で建設するという話でしょう。

有田 はい、信者はみんなそう信じています。

橋爪 つまり、信者は神ではなく、彼に従わなきゃいけない。これはもう普通のキリスト教ではなく、完全な権威主義的体制になるはずです。
 聖書に即して言うと、神は完全ではない。神は世界の設計図を95%までアレンジするけれど、最後の5%は人間の努力だと言っている。つまり、人間のできることを最大限やっても、最後は神のおぼしめしで、努力してもうまくいかないことはあるし、努力しなくてもうまくいくことはある。これがキリスト教の普通の考え方です。

 ところが統一教会に言わせると、うまくいかないのはサタンの罪に侵されているあなたが悪いということになる。その罪をあがなうには、どうすればいいか。うそをついてもいいから偽募金でお金を集めなさい、相手をだましてもいいから霊感商法でお金を集めなさい、ただ働きでも代議士の事務所に行って選挙を手伝いなさいなんですよ。そうやって根こそぎに人々のエネルギーとお金と資源、ありとあらゆるものを動員できる。

 こうやってかき集めたエネルギーが、落ち目でエネルギー不足の自民党にとても役に立っている。この持ちつ持たれつです。取りあえずは、統一教会から自民党への一方的贈与です。一方的贈与は、贈与された側に義務感を生むんです。その借りをつくったお返しとして、講演したりメッセージを送ったりと、その団体に協力して信者を集めたり、教勢の拡大に手を貸している。私に言わせれば、統一教会は反社会的集団ですよ。

 中には、何を間違えたか、政策協定まで個人的に結んでいる代議士もいる。これは国が乗っ取られる一歩手前とは言わないが、三歩か四歩手前ですよ。それなのに何の警戒もなしに危険な宗教団体と付き合っている。それが今の日本の政権与党です。これがどれだけ危険なことか、みなさんは理解しているんだろうかと、声を大にして言いたい。

有田 全く同感です。しかも、4月には統一地方選挙が全国で行われます。共同通信の調査では、昨年の11月の段階で、都道府県議の334人が統一教会と関わりがあって、その8割が自民党なんですよ。岸田文雄総理も、野党の追及があっても、建前的な答弁ばかりで、自民党の東京都連なんかは、候補者が多過ぎて調べようがないとか、神奈川県連も統一教会とは縁を切るという確認書を書かせてはいても、非常に及び腰なんですね。それだけ断ち切れない関係がもうできていると私は思っていますが。

橋爪 多分そうでしょう。ではどうするか。国会に責任があるのは、民主主義の原則からして理の当然のことですから、国会に対して市民が声を上げる。マスメディアが声を上げる。機会あるごとに声を上げる。そういうものなんだと思う国民が少しずつ増える。これがまず第一です。

有田 私もいろいろと働きかけてみます。

橋爪 お願いします。今度の選挙で何人立候補するか知りませんが、全員にマスメディアから、あなたは統一教会と関係ありますか、関係あるとしたら何と何かと聞く。関係ないと答えたら、もし当選した後でその事実が明らかになった場合は責任取れますかと、そういう質問状を作る。これを新聞社が個別にやると大変だから、理想的には、新聞協会が各社連名で統一の質問状を選挙前に作成して、立候補届出と同時に候補者全員に送るべきです。

有田 いい案だと思います。当選後に関係が明らかになったときは、約束通り責任を取ってもらう。

橋爪 過去のことは何食わぬ顔をしてしらばっくれても、今後は危ないから関係を断つしかない、リスクが大き過ぎると自民党議員が思えば、目的は果たせる。そうして市民もメディアも全力で日本の民主主義を守る。反社会的カルトに対するには、それしかないと思います。【了】

https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/hashizume_arita/22899

http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/309.html
記事 [政治・選挙・NHK293] 公明党 福井県会議員 福井一成氏が創価学会の犯罪教唆を批判。 『脱会者を自殺するまで追い詰めろ』 (時局ニュース)

時局ニュース 平成4年3月1日 
『脱会者を自殺するまで追い詰めろ』

公明福井県会議員・福井一成氏が、池田氏が総講頭資格喪失後も本山参詣を続けることに対し、止めるよう森岡正昭副会長ら幹部が執拗に迫る。

次女が昨年暮れに脱会していたことから、嫌がらせが激化。副会長らは会館に呼び寄せ吊るし上げた。

1.日顕の悪口を言って歩くことが君の目的だ。ただちに実行せよ。

2.脱会した者が自殺するまで追い詰めろ、それが池田先生の指令だ・・・ と強烈に詰め寄った。
氏が副会長に『脱会した娘を自殺に追い詰めろということですか?』と聞き直すと『そのとおりだよ』と答えた。

https://soka-news.jp/jiken.html

http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/310.html

   

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