岸田首相の能登視察は90分以下…あまりの“駆け足”に被災者冷ややか、寄り添う姿勢見えず
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2024/01/15 日刊ゲンダイ
「寄り添う」「全力で」繰り返すが滞在わずか25分、どこか他人事のよう…(珠洲市を視察する岸田首相=代表撮影)
「今更来たのか」「励ましが足りない」──。被災者も冷ややかな視線を向けた。岸田首相は14日、能登半島地震が元日に発生してから14日目に初めて現地入り。石川県輪島市と珠洲市の避難所を訪れ、避難者の声に耳を傾けたが、現場の視察時間はたったの90分以下。パフォーマンスのような駆け足視察で必要な支援を把握できたのかは甚だ疑問だ。
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「大変な状況が続いているようですが、全力で引き続き頑張るので心を強く持ってください」
避難者550人が滞在する輪島市立輪島中学校を訪れた岸田首相は、被災者にそう呼びかけた。発災以来、「被災者に寄り添う」と繰り返している割に、どこか他人事だ。「皆さまの未来に向けて希望が持てるように努力する」と胸を張ったが、不安と寒さに震える被災者の心に届いたのかどうか。
大事なのは被災者が今、直面している問題をいち早く解決することだ。視察は首相自らが現場のニーズを確認し、被災者支援や避難所の環境改善などに生かす目的だったが、視察当日の動きを見ると、とてもじゃないがニーズ把握に万全を期したようには見えない。
岸田首相は14日午前9時31分、空自輸送機で石川県小松市の空自小松基地に到着。陸自ヘリで輪島市の空自輪島分屯基地を訪問し、自衛隊員や警察・消防への激励を8分で済ませると、松村防災相や同県の馳知事も同行して輪島中へ徒歩で移動。輪島中での滞在時間は、わずか25分だった。
一部の教室などを回って切り上げた岸田首相の背中を見つめ、被災者のひとりは「体育館で皆を大声で励ませば、心持ちも違うのに」と不満がった。
防護服一枚ににじむ「やってる感」
2万人近くが避難生活を余儀なくされ、不安と寒さに震えている(輪島市で給水を受ける女性)/(C)共同通信社
その後、岸田首相は陸自ヘリで被災現場を上空から約26分にわたって視察。そのまま珠洲市へと移動し、約310人が身を寄せる同市立緑丘中学校を訪問した。こちらも滞在25分で切り上げ、そそくさと石川県庁へ足を向け、午後4時24分に石川を後にした。
視察後、岸田首相は県庁内の会見で「被災者のためにできることは全てやるとの決意のもとで、現下の震災対応、被災者の生活と生業の再建支援に全力で、取り組んでいく」と強調。今月中にも1000億円超の予備費の使用を決定する意向を表明した一方で、被災現場の視察は避難所2カ所への訪問と上空からの確認だけ。合わせて正味1時間半に満たない。
それでいて「きめ細かく対応を考えていかなければならない」と神妙に語っていたのだから、いかに言行がチグハグなことか。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「ただでさえ初動対応が遅れたのだから、まずそのことを謝罪したうえで被災者の言葉に耳を傾けるべきではなかったかと思います。石川県内では2万人近くが避難生活を余儀なくされています。たった2カ所の避難所を回り、それぞれ30分に満たない意見交換で、どうやって被災者のニーズを把握できたというのでしょう。被災者支援や医療の専門家への聞き取りも十分に行うべきでした。全体的にあまりにも短い視察で、とても『被災者に寄り添う』姿勢は見受けられません」
極寒の被災地に防災服一枚で乗り込んだのも、また「やってる感」のパフォーマンスにしか映らない。リーダーシップも「聞く力」もない宰相では、被災地の不安は増すばかりだ。
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