《#万博中止して被災地に回せ》拡散中 能登半島地震で逆風強まる大阪万博、赤字濃厚でも責任押し付け合い
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/334250
2024/01/05 日刊ゲンダイ
万博の国費負担は1647億円、巨大リングだけで350億円(C)共同通信社
年明け早々、巨大地震が北陸を襲い、改めて、莫大な税金がつぎ込まれる2025年大阪・関西万博への風当たりが強まっている。
〈#万博中止して被災地に回せ〉──。こんなハッシュタグがX(旧ツイッター)上で拡散している。〈大阪万博より被災地復興! 万博は中止しかない!〉〈予算も資材も人手も被災地に回せる〉などの投稿に付けられて急速に広がっているのだ。
万博開催の直接経費は国費だけでも1647億円。そのほか、道路や鉄道を含むインフラ整備事業費などの間接経費を含めると、軽く10兆円を超える。
一部でも寒空の下で救助や支援を待つ被災者に回せたらと願う声が高まるのは当然だ。
「救助や支援を待つ被災者へ」の声が高まるのは当然(巨大地震で大規模火災が発生、焼け落ちた石川県輪島市の「輪島朝市」付近=2日)/(C)共同通信社
ただでさえ、万博は国民からそっぽを向かれている。
昨年11月30日から販売が始まった前売りチケットの売れ行きは12月13日までの2週間で12万8425枚。日本国際博覧会協会(万博協会)は前売りチケットの販売目標を1400万枚に据えるが、テンで盛り上がっていない。
主にチケットや会場内の飲食店などの収入によって、万博の運営費は賄われる。今のままでは赤字に陥る可能性が極めて濃厚だが、万博開催を進める関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は毎日新聞(1日付)のインタビューで、万博の運営が赤字となった場合について「経済界が(穴埋めのために)資金を出すことは難しい」と明言。ともに万博を推進する国も大阪府・市も赤字補填に否定的で、主要3者が互いに責任を押し付け合っている醜悪ぶりだ。
そんなグダグダな状況の中で北陸を襲った巨大地震。万博に巨額のムダ金をつぎ込むぐらいなら、被災地の復興に回す方が、どれだけ「国民の生命・財産を守る」という政府本来の役割に資することか。岸田首相に「聞く力」があるなら、今こそ遺憾なく発揮すべきだ。
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