ダイハツ不正問題“延焼”止まらず取引先6084社が大打撃!中小・零細が5割超占める
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2023/12/22 日刊ゲンダイ
会見で謝罪するダイハツ工業の奥平総一郎社長ら(C)共同通信社
車両認証試験の不正問題を受け、国交省は21日、道路運送車両法に基づき、ダイハツ工業本社(大阪)の立ち入り検査を開始。軽自動車の国内販売トップを誇る大企業の不正に、取引先はもちろん、地域経済にも損失は広がり、大きな痛手を被る可能性がある。
ダイハツは今年4月、海外向けの自動車で衝突試験の不正が発覚。5月に弁護士らで構成する第三者委員会を立ち上げて調査を始め、今月20日に調査報告書を発表した。新たに発覚した不正は174件に上る。
確認された一番古いものは1989年。34年前から車両の安全性を確認する認証試験で不正をはたらいていたとは、極めて悪質である。
ダイハツは国内外で販売する全車種の出荷を一時停止。26日までに国内工場すべての生産も停止する予定だ。再開時期の見通しは立っていない。
生産・出荷停止は当然、ダイハツだけの問題にとどまらない。
サプライチェーン企業の売上高は計2.2兆円
ダイハツ工業大阪本社(C)共同通信社
東京商工リサーチ(TSR)が20日、ダイハツの取引先調査に関するリポートを発表。それによると、ダイハツと直接もしくは間接の取引がある企業は全国6084社に上る。TSR情報本部の後藤賢治課長がこう言う。
「取引先を資本金別で見ると、1億円以上が31%を占める一方、1000万円以上5000万円未満が最多の41.5%。1000万円未満(12.5%)もあわせると、中小・零細が取引先の5割以上を占めています。生産・出荷の一時停止が長引けば、経営体力の弱い企業ほど大打撃を受けるでしょう。ただでさえ、新型コロナ禍や原材料高の影響で経営体力はそがれています。ダイハツに代わる新たな取引先を見つけようにも、生産・出荷停止の見通しが立たない中では、人員や資金などを振り分けようにも、そんな余裕があるのかどうか」
産業別では取引先のうち製造業(44.3%)が最多に上るが、損失は多様な業種に“延焼”しそうだ。
「例えば、町工場ひとつとっても、食事を提供したり、機械のメンテナンスをしたり、掃除に入ったり、幅広い業種が関わっています。自動車関連かどうかに関係なく、影響を受ける業種は多岐にわたると考えられます。また、取引先ではありませんが、工場周辺の飲食業や不動産業などにも影響が及び、地域経済に影を落とす恐れがあります」(後藤課長)
帝国データバンクによると、ダイハツを頂点とするサプライチェーン企業の売上高は合計2兆2110億円(推計)に上るという。34年間の不正の代償はあまりにも大きい。
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