※2023年12月20日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
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※2023年12月20日 日刊ゲンダイ2面
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いよいよ本丸へ(C)日刊ゲンダイ
自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金疑惑についに司直のメスが入った。東京地検特捜部は19日、億単位に上る収入を政治資金収支報告書に記載しなかった疑いがあるなどとして、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)容疑で、最大派閥の「安倍派」(清和政策研究会)と「二階派」(志帥会)の事務所(いずれも東京・千代田区)を家宅捜索した。
特捜部はすでに秘書や会計責任者らを任意聴取。両派とも不記載額が大きく、故意性も強いことから、実態解明には強制捜査が必要と判断した。
収入の不記載額は時効にかからない2022年までの5年間で安倍派が約5億円、二階派は1億円超に上るとみられる。
両派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職などによってノルマが設けられ、超過分は議員側にキックバック。安倍派では、派閥と議員側のそれぞれの収支報告書に記載せず裏金化していた疑いも浮上している。
安倍派の大半の議員側がキックバックを受けていて、判明しているだけでも大野泰正参院議員が約5000万円だったほか、派閥幹部の松野前官房長官、高木国対委員長、世耕前参院幹事長が各1000万円超などとされる。
特捜部は、政治資金規正法違反容疑の立件を視野に入れ、派閥の不記載を中心に捜査。安倍派議員の任意聴取も始めており、議員側の不記載については悪質性などを踏まえ立件の可否を判断するとみられる。
票をカネで買うような仕組みが横行している
「令和のリクルート事件」「パー券疑獄事件」とも指摘されている今回の事件。強制捜査を受け、安倍派は「重大に受け止め、捜査に最大限協力し、真摯に対応していく」、二階派は「事案の解決に向けて努力していく」とコメント。岸田首相は党役員会で「党として国民の信頼回復のための新たな枠組みを立ち上げるなど、必要な対応を果断に講じたい」と言い、茂木幹事長も「大変遺憾だ。厳粛に受け止め、捜査の推移を見守りつつ必要な対策を取る」などとほざいていたが、何を今さら寝言を言っているのか。
茂木は会見で、再発防止のため政治資金規正法を改正する可能性にも言及。パーティー券販売のノルマ超過分をキックバックする慣行の自粛も検討する考えを示していたが、NHKの取材に応じた自民党関係者によると、「裏金というのはどんな形にも使える自由なカネなので、それを人件費に使おうと、銀座のクラブでの飲み食いに使おうと、選挙に使おうと、自由にその財布から出せる。裏金がなければ何もできない。今回の事件を受けて政治資金規正法を厳しくしても、いたちごっこだと思う」なんて平然と言い放っていたから、小手先の法改正など、まったく期待できないだろう。
盗人が防止策をつくり、神妙な顔をしても、派閥とパーティーを温存させる自民党の利権政治は変わらないのだ。
政治評論家の小林吉弥氏がこう言う。
「政治は数の力であり、グループ化、つまり派閥がつくられるのはやむを得ない。しかし、政治資金の扱いについては変えられる。今の自民党は票をカネで買うような仕組みが横行し、カネのために政治家になったような人たちばかり。政治資金規正法の罰則規定を強化し、(公選法の)連座制を取り入れるなど抜本的な対策が不可欠だと思います」
政治資金パーティーは金権政治の温床であり、利権政治の元凶だ
「決して悪意を持って裏金をつくるようなことはしていない」
キックバックに関与した自民党の派閥議員はこう言っているらしいが、すっとぼけもいい加減にしてほしい。横領や詐欺が発覚した際、「悪意はなかった」と言えば罪に問われないのか。そんなはずがないだろう。
悪意があろうがなかろうが、違法・脱法行為に手を染めていたことに変わりはない。この期に及んでも、まだ言い訳を続けていれば許されると考えているのであれば救い難いが、もはやそんな腐った自民党の体質に国民はとっくに気付き、サジを投げている。
各メディアの世論調査で、岸田内閣の支持率が軒並み1〜2割台と過去最低を記録。「危険水域に入った」などと報じられているが、世論調査の肝はそこじゃない。
朝日新聞が16〜17日に実施した全国世論調査(電話)で、自民党は体質を変えられると思うか質問したところ、「変えられない」が78%にも達し、「変えられる」が17%にとどまったことだ。
「変えられない」との回答は無党派層では81%に上り、自民支持層でも59%というから驚愕ではないか。つまり、国民の大部分が、今回の事件を受けても、この先、「カネに汚い」自民党の悪しき体質が変わると思っちゃいないのだ。林官房長官は会見で、支持率低迷の理由について「政治への不信」と答えていたが全く違う。国民の不信感がかつてないほど高まっているのは「政治」ではなく、「自民党」に対してなのだ。
問題は法律ではなく自民党の反道徳性と反社会性
「派閥からの指示だった」「収支報告書に記載しなくて構わない政策活動費だと思っていた」
よくもまあ、次から次へとロクでもない屁理屈をひねり出せるもの。
悪事がバレて慌てふためき、論理のすり替えに必死な自民党議員はホント、見ていて見苦しい。
政治資金規正法は分かりにくいなどと、したり顔で“解説”している議員には唖然呆然だ。
かつて政府主催の「桜を見る会」の招待客をめぐり、反社会勢力の定義が議論されたことがあったが、反社とは「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」のこと。まさに「威力(権力)」と「詐欺的手法(政治資金パーティーのキックバック)」を駆使して「経済的利益(裏金)」を追求する集団が自民党であり、反社そのものではないか。つまり、問題は法律ではなく、自民党の反道徳性、反社会性にあるのだ。
それにしても、コロナ禍や物価高、資源高で国民生活が苦境に追い込まれる中、その裏では政権与党の国会議員が違法・脱法行為を繰り返し、私腹を肥やし続けていたわけで、あらためて国民は怒り心頭に発しているに違いない。
一部報道では、販売ノルマを超えたパー券を多く売った議員ほど、出世したり、比例上位で優遇されたりしていた可能性もあったというが、これだって「振り込め詐欺」を行う反社グループ組織のシステムと変わらない。なるほど、どうりで近年、マトモとも思えない大臣や副大臣、政務官が自民党からワンサカ出てくるわけだ。
自民党の金権政治体質を問題視し、長年、追及してきたジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「自民党の政治資金パーティーというのは金権政治の温床。大企業や取り巻きにたくさんのパー券を買ってもらう代わりに要望を聞く。利権政治の元凶とも言えるでしょう。今の仕組みをガラリと変えない限り、自民党の悪しき体質は今後も続くと思います」
裏金汚職まみれの腐敗政権を早く潰さないと国が壊れる。
http://www.asyura2.com/23/senkyo292/msg/691.html