特集/新展開! ドコモ通信記録窃盗事件は創価学会の組織的犯罪か
起訴事件以外にも被害者がいた ―不可解な警察の事件への対応
山田直樹(ジャーナリスト)
https://web.archive.org/web/20090125070505/http://www.forum21.jp/contents/03-5-15.html
昨年、創価大学職員をはじめとする学会員三人によってなされた「NTTドコモ携帯電話 通信記録不正入手」事件。彼らは電気通信事業法違反容疑で逮捕・起訴されたが、立件されたのはわずか一件のみ。東京地裁の下した判決も、罪状相当との理由があるとはいえ懲役一年〜一年六カ月(執行猶予三年)という“軽微_”なものだった。
もしこの事件のウラに、かつて創価学会が行った「日本共産党議長・宮本顕治宅盗聴事件」に比肩しうる悪質性、かつ重大性が認められるとすればどうか。不正入手した携帯電話通話記録が一件だけでなく、数百件もの規模だとしたら――。そのことが分かっていながら、仮に一件のみしか立件しなかったとすれば、「通信記録の窃盗」という悪質な事件への捜査スタンスそのものが問われることになる。
実は事件の被害者以外、少なくとも二人の女性が警察の事情聴取を受けている。しかも警察は、この両名に対して、それぞれの携帯電話通信記録へのアクセスがなされ、ひとりには記録が不正入手(窃盗)されていると説明していたのである。言うまでもないが、これは冒頭に述べた学会員三人による事件に敷衍して行われた事情聴取であるから、当然のごとく、犯人のひとりでNTTドコモ関連会社(ドコモ・システムズ)へ勤務していた嘉村英二・元被告が直接、関与した部分の捜査に関連してということになる。
ところが警察(警視庁保安課および深川署)はこの二件を(現在まで)立件せず、実質的には捜査見送り状況となっているのである。すでに一審判決が下され、しかも検察・被告双方とも控訴を求めなかったこの案件で、警察がさらに捜査を続行するとは到底思えない。だから問題なのだ。埼玉県桶川市の猪野詩織さんストーカー事件は、その行為を繰り返されたあげく、駆け込み、相談した上尾警察署のまさに怠慢・非常識捜査が原因で殺害という悲劇的結果を招来した。
同様にここで、明らかに通信記録が不正入手されたのを見過ごせば、二件の当事者(被害者)の身にどのような災禍が降りかかるか、想像すらできない。果たして捜査した警察に、その責任を取る意図はあるのだろうか。しかも前述したように、実際、通信記録が持ち出されていたのは「数百件分」(当事者を聴取した警察官の弁)だというのである。
そしてついにこのほど、事情聴取を受けた女性ふたりが意を決して、東京地方検察庁に告発を行った。罪名は「電気通信事業法違反」、「窃盗」である。被告発人は元ドコモシステムズ社員・嘉村英二(元被告)と「氏名不詳の創価学会関係者 複数名」だ。告発内容に触れる前に、事件の概要を振り返ってみよう。
学会大弁護団が被告を擁護
昨年九月十〜十一日にかけて、三名の創価学会会員が逮捕された。創価大学生課副課長・根津丈伸。同大剣道部監督・田島稔。そして今回被告発者となった嘉村英二。三人の“役回り”と事件が露顕した経緯は以下の通り。
田島は自分が交際中の女性と彼女の知人男性の“仲”、つまり浮気を疑い始めていた。そこで昵懇の根津を介して、嘉村に女性ら二人の携帯電話通話記録の入手を依頼する。昨年四月二十五日、嘉村は派遣されていた江東区豊洲五丁目に所在するKR豊洲ビル六階内「NTTドコモ情報システム企画第2担当事務所」に設置された「料金明細システム」の端末機を不正に操作して、通信記録(出力印字)を入手した。
愚かなことに田島は、この印字された通信記録データを示して交際相手を詰問したため、「なぜそんなデータを入手できるのか」と不審に思った交際相手がドコモへ相談し、警視庁へ告訴する事態となった。
結局、芋づる式に三人は逮捕されるのだが、一般紙は彼らが学会員であることに触れようとしなかった。そこにこそ、実は今回の告発同様の重大な問題が横たわっているのである。彼ら三人はいわゆる社会的肩書とは別に、学会組織内での肩書や上下関係が存在する。三人のうちもっとも高位にあるのは根津だ。創価大十期生で、全国副青年部長。地域でも幹部であり、創価大出身者の同窓会「創友会」の評議員。以上が学会での“オモテ”の顔で、“ウラ”は学会批判者の調査・攻撃を専らとする「教宣部」というキナ臭い部署に在籍していたといわれる。
田島は創大地元・八王子の地域男子部主任部長とグッと格落ちする。元々警視庁巡査部長で、剣道では国際大会優勝経験のある人物だが、九五年に創大へスカウトされた。さらに嘉村は、創価大学卒。指揮系列、命令系統がどうであったかは、容易に想像できよう。
繰り返し述べてきたように、この一件だけが立件されている。が、捜査当局のシナリオは、「田島の色恋沙汰」を中心に据えたもの。学会組織への言及は、まるでなかった。被告側には、十一名もの学会系弁護団がついたのは、逆に学会の組織的関与の疑いすら抱かせる。弁護団には福島啓充(副会長)、松村光晃(同)、築地伸之らの“一線級”弁護士が顔を揃え、「事件は偶発的、単発的」と主張した。事件発覚当初、学会機関紙「聖教新聞」は、こう断罪していた。
〈社会に迷惑を、学会に迷惑を、かけゆく愚者は 我らの和合僧より 断じて追放せよ!〉
[左図] 事件発覚翌日の聖教新聞(02.9.14)に掲載
掲載されたのは昨年九月十四日、池田氏が筆を執る一面コラム「わが友に贈る」コーナーだったのだが、現実には学会弁護団丸抱えで、彼ら三人をひたすら守り、情状酌量を引き出したのであり、追放などされた形跡は微塵も見当たらない。そして判決は冒頭のごとくであった。
警察が犯罪事実を告知
一方、彼ら三人の逮捕からほぼ一週間ほどがすぎた昨年九月十九日、今回、告発者となった二人の女性のもとに警察官から電話が入る。深川署の美崎と名乗る刑事が電話を入れたのは、A・Yさん(仮名)宅である。Aさんはこう記憶している。
「自分と娘の電話番号を聞いて、その携帯を所有しているか、また、料金プランの変更や故障、トラブルでドコモに連絡したことはないかという質問でした」
一方、もうひとり、佐藤せい子さんへの電話は具体的だった。
「創価大学やドコモ関連会社社員の引き起こした事件(根津らの事件)について知っているかと訊ねていました。深川署のカワトと相手は名乗り、さらに、『あなたの携帯電話の通信記録が調べられた形跡がある』とはっきり述べたのです」
さて、ここで警察の事情聴取を受けた二人のプロフィールを詳細にしておくことが、以後、嘉村らの犯罪性を見るうえで重要だ。Aさんは、八〇年に学会入会。学会幹部と五年後に結婚したが、日蓮正宗と学会間で信仰、教義をめぐって深刻な対立が起こるとともに同会の在り方に疑問を感じて脱会した女性である。また夫とはそのことを理由に離婚の止むなきに至ったが、以来、現在まで学会からさまざまな嫌がらせ、迫害を受けてきた。
佐藤さんは、学会を厳しく批判してきた日蓮正宗信徒団体幹部(副講頭)の立場にあり、Aさん以上の迫害にあっている。犯人不詳だが、自宅からフロッピーディスクを盗まれたり、団体内特定の人物としか電話で話したことのない案件が、学会が関与したと見られる文書に記載された経験を持つ。
ふたりとも根津らの事件は、創価学会ならやりかねないとは推測していたものの、それと自分たちが直結していたとは、よもや考えても見なかった。
翌二十日、佐藤さんは前日電話で自分がそうした学会批判者としての立場ゆえ、事件が起こされた可能性を指摘したことも踏まえて、なるべく早く捜査協力すべく深川署に出向いた。ところが応対した保安課の内野氏は、佐藤さんの場合は刑事事件が成立しないと告げる。二四時間前には、カワト刑事が、
「学会関係を詳しく知りたい。不正アクセスした人のリストを見れば、反創価学会が誰か分かるか。捜査に協力してほしい」
と、甚大なる興味を抱いていたにもかかわらず、である。前出の内野刑事は、こうのべた。
「ドコモには、加入者の住所・氏名などを扱う顧客システムと通話月日、時刻を扱う料金明細システムがあり、前者(佐藤さんのケースが該当するのだと内野氏は解説)は、罪にならない」
結局、調書すら取らなかった。Aさんは多忙のため、同じく深川署に出向いたのが二十二日午後である。対応したのは同署保安課・遠藤課長。彼はこう解説した。
「あなたと娘さんの携帯電話の料金明細システムが三月七日にアクセスされ、通信記録が出されている。これにより、遡る一〜二カ月の記録が漏洩した。料金プランの変更、トラブルやクレームなどの理由で確認アクセスは違法ではないが、それらがないのにアクセスするのは違法である」
その後、約四時間半、Aさんは遠藤課長、同行した娘さんに対しては電話をかけてきた美崎刑事が事情を聞いた。翌日、約束の時間に二時間以上遅れてA宅にやってきた遠藤、美崎の両名は、
「前日と話が変わった。学会が係わっているような話をしたが、それは分からない。ほかにもアクセスされている人が全国に何百人もいて、反学会の人ばかりでないから、たまたまAさん親子が入っていたとも考えられる」旨、述べて、そそくさと供述調書を読み上げた後、署名・押印させて引き上げてしまったのである。佐藤さん同様、何らかの捜査方針の変更、あるいは圧力がかかった形跡が濃厚なのだ。
以降、Aさんは資料などをスパイ映画もどきの方法で手渡したりしたが、捜査の進展は皆目分からぬうちに、彼ら三人の判決が下されてしまった。
佐藤さんに対しても同様で、誰に対しての通話記録が漏れたのか警察が明らかにしてくれない以上、自らの力でやるしかないと弁護士会を通じてドコモに照会を試みるが、
「捜査に係わる事項」を理由に断られる。その日付は判決を過ぎてからだった。
一言加えれば、料金明細システムと顧客管理はまったく別のもので、アクセスできる人間も峻別される。捜査当局がそれを混同するなどあり得ない。また、嘉村がデータを盗み出したとされる三月七日の翌日、本誌発行人はAさんとこの「フォーラム」手渡しのため、新宿駅東口で会ったが、その際、ふたりの男が両名の写真を無断で撮影している。ちなみに両名以外、そこで会うのを知っている者はいないのに、である。
述べてきたように、これほど確実、あからさまな事実があるというのに警察の捜査は頓挫したままだ。いったい背後に何があるのか。ましてや個人情報保護、住基ネット問題など、プライバシーが声高に叫ばれている状況の中、なぜこの事件を立件しないのか。公明党はいずれも、政府案を推してきた立場である。その支持団体関係者が、かような犯罪に手を染めているのである。告発状にはこうある。
〈本件は、いずれも創価学会の関係者である被告発人らが、告発人らの反創価学会活動を嫌悪し、告発人らの交友ないし活動関係およびそれらの者との通信に関する情報を把握するため、通信の秘密を守るべき立場にある被告発人嘉村を含めて共謀し、無法にも通信の秘密を侵害した事案である〉。
つまり憲法二〇条、二一条二項を侵害する行為である。当初の事件より前に、Aさんの通話記録は取られているのである。このひとつをとっても、検察が捜査に着手すべきなのは言うまでもない。
山田直樹(やまだ・なおき)
フリージャーナリスト。1957年生まれ。文庫本編集者を経て、「週刊文春」記者。イトマン事件など経済事件を担当し、今春独立。
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「木原官房副長官vs週刊文春」はどっちが勝つのか? 警察庁長官“参戦”で新たなフェーズに 週刊誌からみた「ニッポンの後退」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/326737
2023/07/30 日刊ゲンダイ
どうなる木原官房副長官?(C)日刊ゲンダイ
木原誠二官房副長官と週刊文春の“生き残り”を懸けた死闘は新たなフェーズに入った。
7月21日、木原誠二の“本妻”が文芸春秋を相手取り、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。これまで完黙していた新聞もようやく文春の報道を取り上げたが、警察庁の露木康浩長官の会見での言葉「事件性が認められない」を引用して、文春報道を否定するような書き方であった。
20日に、木原の本妻がかつて結婚していた故・安田種雄(享年28)の遺族が会見を行い、「私たちは種雄の死の真相を知るため、捜査を続行していただけますことを、心から望んでおります」という上申書を警視庁大塚署長宛てに出したことを明らかにした。
現職の官房副長官の本妻に、元夫を殺したのではないかという重大疑惑があるという文春報道は、大きな反響を呼んだ。だが、それに対してネット上では賛否がかまびすしい。批判の典型は、推定無罪という原則があるのに木原夫人を被疑者扱いし、彼女や子供たちの生活を破壊する報道に公益性はあるのかというものであろう。
木原側はそうした空気を読んで「人権救済」を申し立て、「私人」を攻撃する文春報道を牽制し、そうした世論を盛り上げようという底意が透けて見える。
私は元が週刊誌屋だから、どうしても編集部側から記事作りや意図を考えてしまう。
この報道を時系列で見てみたい。始まりは木原の二股生活だった。元ホステスの愛人には子供がいるが、木原は認知していない。だが、子供を可愛がり、授業料などを払ってあげ、子供の誕生日をディズニーランドで祝い、そのままホテルに泊まって、翌日はそこから官邸に“出勤”している。そんな自堕落な生活を送っている夫だが、「都度妻の了承を得てのことであって、なんら不適切なことはありません」(木原の代理人の弁護士)と答えている。妻の了解を得て不倫?
そんな“豪胆”な木原の妻に、文春編集部が関心を抱いたのは当然であろう。謎の本妻は何者なのか? 取材を進めると、彼女は以前結婚していて、しかもその夫は「謎の死を遂げていた」ことが分かってきた。警察は当初、覚醒剤乱用による自殺として処理しようとしたが、父親がいくつかの疑問点を提起したため「不審死」扱いになっていた。
文春は、2006年4月10日の事件当夜の父親の証言。当時、彼女の不倫相手だった男性を捜し出し、「あの時X子(種雄の妻=筆者注)から『殺しちゃった』と電話があったんだ。家に行ったら、種雄が血まみれで倒れていた」との重大な証言を聞き出したのである。
その後、くだんの妻は銀座のホステスになり、木原と知り合い、結婚する。だが、事件から12年後の2018年、大塚署の女性刑事がこの事件に疑問を抱き、再捜査に動き出した。同年10月9日、捜査員が木原邸へ踏み込み、本妻に任意同行を求めた。
木原の愛人が知人に語った録音音声には、「(X子さんが)連行された時、すぐ来たんですよ。私(のところ)に。あの人(木原)。『離婚できるよ』『離婚届も書いたから』って」と記録されている。しかし、その後、なぜか事件を担当した刑事たちは外され、この事件はないことにされてしまう。悔しそうに語る捜査員の音声を録音したものが種雄の両親の手元に残っている。これだけ有力な「状況証拠」がある疑惑を報じないのなら、それは週刊誌ではない。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/321.html
現実を直視しなければ「維新の強さ」はわからない 松本創氏が肌で感じた大阪の期待と熱狂 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/326624
2023/07/31 日刊ゲンダイ
松本創(ノンフィクションライター)
ノンフィクションライターの松本創氏(後方は、大阪市庁舎)/(C)日刊ゲンダイ
大阪が本拠地の日本維新の会が躍進を続けている。一昨年の衆院選、昨年の参院選、そして今年の統一地方選で党勢を拡大。世論調査では政党支持率でも、次期衆院選の比例代表投票先でも野党第1党の立憲民主党を上回るが、どうにも腑に落ちない。格差を拡大する新自由主義路線をヒタ走り、醜聞が後を絶たないのに、なぜ勢いが衰えないのか。「誰が『橋下徹』をつくったか-大阪都構想とメディアの迷走」を上梓するなど、維新政治に詳しい、この人に聞いた。
◇ ◇ ◇
──創業メンバーの橋下徹元大阪市長は「今の維新は、ふわっとした民意をつかめる組織になってるんじゃないのかな」と発言しています。中ぶらりんの有権者が維新を支えているのでしょうか。
むしろ、維新に対する支持は底堅い。そうした認識を持たないとダメだと気づいたのは、2019年のクロス選でした。
──大阪都構想の賛否を問う2度目の住民投票に向けた機運を高めるため、当時の吉村洋文市長と松井一郎知事がダブル辞職。立場を入れ替えて選挙戦に臨み、圧勝しました。
現職で信を問う出直し選挙であればまだしも、勝てば丸々4年の任期が手に入る。脱法的で、地方自治の本旨からしてあり得ないと批判的スタンスで取材していたんですが、有権者の判断は違った。自民党中心に組織戦を展開した反維新側は全く歯が立たず、惨敗でした。
当時の吉村氏は目立つ実績も知名度もなく、橋下氏のエピゴーネンみたいなものでしたが、それでも大勝した。維新人気はメディアに扇動されたふわっとした熱狂と言われますが、それだけではとても語れないと選挙中に実感しました。自然に湧き上がるような維新への期待があると。
地に足着いた普通の市民が支持
──支持層は勝ち組意識が強いとされます。
維新を支えているのは、地域とつながりの薄いタワマン暮らしの富裕層だとかステレオタイプ化する見方がありますが、そんな単純化はできないし、しない方がいい。私はこの2年ほど維新支持者にじっくりと話を聞いてきました。地域に根差して商売をしている3代目、PTA活動に熱心な保護者、子育て支援カフェを運営する人……地に足を着けて活動する普通の市民はたくさんいますよ。そりゃ中にはタワマン住民もいれば、「吉村さん、カッコええわ〜」で支持する人もいるでしょう。だけど、支持者はこんな層とか、踊らされているとか、乱暴に決めつけない方がいい。
──現状分析でしくじれば、戦うに戦えませんね。
統一地方選前半戦の最終日、松井氏の政治家としての最後の演説は、「松井さん、ありがとう!」とめちゃくちゃ盛り上がっていました。難波の歩道は30メートルにわたって聴衆でギッシリ。その光景をツイートしたら、「カルト宗教の動員」「どこの異世界?」「民度の低さ」「大阪終わってる」といった反応が次々と付いた。しかし、維新が広く支持されている現実から目を背け、支持者を見下すような物言いには、とても賛同できません。
──東京の演説は閑古鳥の印象なので意外です。
個人の人気というよりは、大阪で維新体制をつくり上げたリーダーへの支持でしょうね。1990年代後半から2000年代の大阪は経済が低迷し、バブル期の過剰投資で第三セクターが次々に破綻。市役所では不祥事が頻発し、閉塞感が漂っていた。そこへ、役所と公務員を叩き、改革を標榜して登場したのが橋下氏であり、「府と市の二重行政が停滞の原因」と唱えた維新でした。
その主張や手法は大いに疑問ですが、維新が府市の首長を握って以降、それ以前からの計画を含め都心部の再開発や公園再整備が進んでいるのは確かで、そこが評価されていると思う。支持者に聞けば、みんな「府と市がバラバラだった維新前の大阪に戻したらあかん」と言います。
政党イメージは「弱者の味方」
大阪の吉村洋文府知事世代へシフト(横山英幸大阪市長=左)/(C)日刊ゲンダイ
──08年に松井氏らが担いだ橋下知事が誕生し、10年に大阪維新の会を結党。都構想で「二重行政」を解消し、大阪を成長させると訴えてきましたが、実現していません。取って代わった大阪・関西万博もIR(カジノを含む統合型リゾート)も見通しは明るくない。
私が取材を始めたのは大阪維新の会ができた10年からですが、新聞記者時代に末端で取材した国政選挙での小泉ブームを重ね見るところがありました。改革を掲げ、敵を名指しし、わかりやすい構図やイメージを打ち出すとメディアは熱狂し、世論も一方向に流れてしまう。なぜこうなるのか。同じことの繰り返しじゃないかと。
維新人気に在阪メディアがいろんな形で加担してきたのは間違いない。ひとつは「二重行政」という実態の疑わしい言葉を浸透させ、都構想という欺瞞的な「改革」を、さも重大な論点であるかのように無批判に広めたことでしょう。ただ、万博やIRをめぐって問題が続出する最近の状況を見ていると、維新のイメージ戦略やメディアとの関係もようやく転換期を迎えるかもしれないとは思いますね。
──大阪の与党となった維新は「身を切る改革」と称して公共サービスの縮小や民営化に血道を上げ、弱者を切り捨てる政治を推し進めています。
有権者の印象はむしろ逆です。関西大学の坂本治也教授らが行った政党イメージ調査では、「経済的弱者の味方になってくれる」政党のトップは維新です。22年2月調査では12.2%で単独1位、同年7月調査では15%で自民党と並んで1位。都構想を封印した代わりに給食や教育の無償化を打ち出したのが効いているんでしょう。
21年の衆院選でも、吉村氏が「身を切る改革により市民サービスを拡充しました」「橋下さんの市長時代に中学給食を始め、僕の時代に温かくし、松井さんの時代においしくしました」と繰り返していた。国政選挙であっても大阪という地方自治体の改革実績を強調し、聴衆は「私らと同じ目線で政治を語ってくれる」「生活感覚に近い」と好印象を持っていた。
かたや、例えば大阪10区で敗れた立憲の辻元清美氏(現・参院議員)は、自公政権批判や国対委員長としての実績に時間を割いていた。国政選挙だから国政を語るのは当然なのですが、普通の市民感覚からは抽象的で遠い印象がある。地方行政を握り、生活に近い具体的な施策を語る維新の演説の方が響くんですね。
吉本NSCとダブる人集め
──維新は国政進出10年にあたる22年に「中期経営計画」を策定。次期衆院選で「野党第1党を獲得」、3回以内での衆院選で「政権奪取」を掲げて目下、候補者擁立を急ピッチで進めています。
維新の組織運営は中小企業やベンチャー経営のように見えます。創設者の松井氏自身が経営者で、「民間の感覚」というフレーズを多用しましたし、起業経験のある藤田文武氏が21年に幹事長に就任して以降、その傾向は顕著です。選挙前の「候補者エントリー説明会」は企業の就職説明会のノリ。12年に始めた「維新政治塾」は「地盤・看板・鞄」がなくても、政治経験ゼロでも政治家になれるとうたい、藤田氏自身が1期生でもある。世襲だらけの自民党と比べれば、ある意味、政治を大衆化したとも言えます。
吉本興業がタレント養成所のNSC(吉本総合芸能学院)を立ち上げ、芸人になるハードルを下げたのにも似ている。弟子入りしたり、新喜劇で修業を重ねたりしなくても、学費を払って1年間通えば芸人への道が開けるようになった。
──裾野は広がりますね。
その意味で維新の戦略は極めて合理的。ただ、人材確保の間口の広さと急速な党勢拡大は、粗製乱造と表裏一体です。もうひとつの特徴が世代交代。松井氏は引退後に出版した著書「政治家の喧嘩力」で、公募選考などについて〈政治家を辞めても生活できる基盤があるほうが、議員の身分にこだわることなく、公約を一直線に、スピード感をもって実現できる〉と書いている。実際、維新はそういうタイプが多いですし、松井氏も59歳で政界を引退した。
──党の顔は数年で代わっています。
15年までが橋下氏、それ以降は松井氏と吉村氏の二枚看板、現在は吉村世代へ移行している。橋下氏と松井氏の引退は都構想の否決が原因ですが、維新支持者にはそれがまた「潔い」と映っている。私自身は維新の政策や政治手法に賛同しません。けれども、大阪維新の会ができて十数年のうちに、大阪では維新に代わる選択肢はほぼなくなった。全国化は未知数ですが、他の政党が現実を直視し、有効な対抗軸を立てられないと痛い目に遭うと思います。
(聞き手=坂本千晶/日刊ゲンダイ)
▽松本創(まつもと・はじむ)1970年、大阪府生まれ。同志社大卒業後の92年、神戸新聞社に入社。06年に退社後、関西を拠点にフリーランスのライター・編集者として活動。著書に「軌道-福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い-」「地方メディアの逆襲」など。
http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/322.html
露骨なマイナ格差政策に国民激怒! カード普及がんばった自治体に地方交付税“ご褒美”優遇
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/326772
2023/07/31 日刊ゲンダイ
集中企画・マイナ狂騒(27)
交付税の精神を知っているのか(松本剛明総務相)/(C)日刊ゲンダイ
総務省は28日、各地方自治体に配分する2023年度の地方交付税の額を決定した。
配分総額は前年度比1.7%増の17兆2594億円。1688自治体に配られる。
驚くことに、このうち500億円は、住民のマイナカード保有率(5月末時点)が73.25%を超える572市町村に“優遇”する形で配分される。全自治体の3分の1にあたる。
カードを使った住民サービスの充実を後押しするためと説明するが、政府の言いつけを守り、普及をがんばった自治体への“ご褒美”に他ならない。
さすがに、マイナンバーのトラブルが相次ぐ中でのマイナ優遇策にネット上は大炎上だ。
《この期に及んでマイナごり押しかよ。先にシステム見直しが先やろ》《どこかのブラック企業みたい。営業成績上げないとカネやらん的な》《任意のカードなのに、国民の税金が原資の交付税を優遇配分するのはおかしい》
「共通番号いらないネット」事務局の宮崎俊郎氏が言う。
「地方交付税は地方の固有財源ですが、自治体間の収入の格差を是正するために、国が地方に代わって徴収し、配分する仕組みです。格差是正のための制度を使って、マイナカードの普及に応じて配分格差をつけるのは、交付税の精神に反します。国にそんな権限があるのでしょうか」
29日付の信濃毎日新聞は、長野県内の自治体の声を報じた。保有率が県内で最低の60.6%だった下水内郡栄村の宮川幹雄村長は、高齢者の多い村ではカードを不要と考えている人もいると指摘し、「保有率に応じて交付額に差をつけること自体、あってはならない」と語っている。
政府はいつもの“アメとムチ”のノリ
自治体や住民は納得するのか(地方郵便局に試験導入されたマイナンバーカードリーダー)/(C)共同通信社
マイナ普及のために政府は“アメとムチ”を繰り返してきた。マイナポイント付与は“アメ”だったが、マイナ保険証を使ったオンライン資格確認に参加しない医療機関には保険医の取り消しをチラつかせるという“ムチ”もあった。
「政府はこれまでのアメとムチ政策のノリで交付金に格差をつけ、普及を狙ったのでしょうが、これだけマイナ問題が炎上しているのに、そうしたやり方に自治体や住民は納得するのか。カードの普及どころか、マイナンバー制度への不信はさらに拡大すると思います」(宮崎俊郎氏)
31日の日経新聞の世論調査によると、マイナカードのトラブルへの政府対応について72%が「評価しない」と回答している。
交付税格差のようなやり方は、評価されるはずはない。
http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/323.html
※補足 2023年7月17日 福岡県久留米市田主丸で災害支援活動する山本太郎代表
https://twitter.com/yamamototaro0/status/1681201845648371713
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自民党女性局の仏研修写真が大炎上! れいわ山本太郎氏の大雨被災宅掃除と比べられ“火に油”
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/326812
2023/07/31 日刊ゲンダイ
松川るい参院議員のSNSより
自民党女性局長の松川るい(52)、今井絵理子(39)の両参院議員ら38人が7月下旬に訪仏した際に撮影したとみられる一部写真に対し、ネット上で《観光旅行している場合なのか》などと怒りの声が出ている問題が“炎上”し続けている。
批判されているのは、松川氏が「大阪の仲間と」と題して投稿した研修中の写真だ。エッフェル塔の前に並んで立つ3人の女性が、それぞれ両手を高く上げながら塔をまねるポーズを取り、修学旅行中の女学生らのように笑顔で写っていたのだ。
《岸田ぼっちゃんの観光旅行と同じではないか》
これに対し、SNS上では《何が視察だ。岸田ぼっちゃんの観光旅行と同じではないか》《この旅費って、どこから出ていますか?我々から搾り取った血税ですよね》といった投稿が相次ぎ、松川氏は31日、自身のSNSに《私の投稿のせいで、中身のある真面目な研修なのに誤解を招いてしまっており、申し訳なく思っております》《38名の参加者は、全国の女性局所属の地方議員及び民間人で女性局幹部となっている方々であり国会議員の参加は私含め4人です。費用は党費と各参加者の自腹で捻出しています》などと釈明する展開となっている。
れいわ山本太郎氏は大雨被災者宅をそうじ
松川るい参院議員のSNSより
ただ、それでもネット上では怒りの投稿が続いており、《自腹って言っても、結局は税金》《そもそも費用が超高い円安のこの時期に海外に行く必要は全くない》と収まる気配はみられない。
そんな中で、チラホラみられるのが、《我々が収めた血税を使うにふさわしい行動は山本か、それとも海外観光旅行で大はしゃぎの自民党女子か》といった声だ。
山本とは、れいわ新選組代表の山本太郎参院議員(48)のこと。山本氏は記録的な大雨被害を受けた秋田県を訪問した際の詳細をネット上に投稿。マスク姿で汗を流しながら、被災者とみられる人たちと一緒に土砂で汚れた家屋をそうじする写真とともに、《はっきり言えば実態調査が間に合っていない。秋田だけの努力では厳しいのだ。(略)被害状況が見えなければ必要な支援の内容や規模、その道筋をつけることも難しい。だからこそ迅速に正確で深い調査が行えるよう、被災自治体を支えていただきたい》などと訴えていた。
山本氏の被災地視察と、自民党女性局の議員らの訪仏の時期がほぼ同じだったことから、《災害で苦しむ国民生活に本気で寄り添う政治家は誰なのかが一目瞭然》との投稿のほか、《ノンビリ外遊から戻ってきて慌てて被災地に向かった岸田さんと、エッフェル塔観光を楽しむ女性議員。どちらも同じマインド》などと冷ややかな意見が出ている。
http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/324.html
首相秘書官に“増税請負人”登用の危うい伏線…岸田政権「サラリーマン増税やらない」は本当か
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/326773
2023/07/31 日刊ゲンダイ
やはりやる気なのか(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
「サラリーマン増税は考えていない」──。今月25日、自民党の宮澤洋一税調会長との面会でこう語った岸田首相。増税を否定してみせたが、果たして本当なのか。どうも本人はヤル気満々になっているようにしか見えない。その一端を示すのが、今月初旬に決まった首相秘書官人事だ。“増税請負人”と称される財務省出身の一松旬氏が就任したのだ。
「一松氏は財務省の主計局で主計官を務めたスーパーエリートです。とくに社会保障の分野のプロとして名を馳せた。彼が“増税請負人”とされるのは、税制に通じているだけでなく、これまで防衛増税の制度設計に関わり、『子ども予算倍増計画』の絵を描いた人物でもあるからです」(霞が関関係者)
■本丸は退職金、配偶者、通勤手当
岸田政権が「サラリーマン増税」を実施するとみられている直接の原因は、6月末に提出された政府税調の中期答申の中身が「増税」のオンパレードだったからだ。
退職金増税や通勤手当への課税、各種控除見直しといった「サラリーマン増税」がテンコ盛りだった。今回、提出された答申は23年ぶりの大型答申で「税の教科書のよう」(同)といわれるほど網羅的な内容になっている。ページ数も、直近の4年前にまとめられた答申の10倍増の261ページにも及ぶ。さらに、今回の答申には、4年前の答申では言及されていなかった「扶養控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「通勤手当」に加え、社宅の貸与、食事の支給といった「現物支給」が新たに追加されている。
今年10月からは「第3のビール増税」がスタート
本丸は退職金、配偶者、通勤手当。気づいたら増税連発…(C)日刊ゲンダイ
宮澤税調会長は25日の岸田首相との面会後、報道陣に「中期答申は(政府税調メンバーの)“卒業論文”みたいなもの」「正直言って制度の紹介がほとんど」と発言しているが、過去には、答申の内容に沿った形で増税が決まったこともある。
「05年の答申では、当時、発泡酒や第3のビールが大ウケしていたことを念頭に〈酒類の分類の簡素化を図り、酒類間の税負担格差を縮小する方向で早急かつ包括的に見直すべきである〉とする文言が盛り込まれた。この答申に沿うように、今年10月からはビール系飲料の税率一本化を狙う『第3のビール増税』が始まる。“卒業論文”程度の存在でないことは明らかです」(永田町関係者)
■気づきづらいところからスタートする姑息
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「『財務省内閣』といわれる岸田政権は将来的な『消費税増税』をもくろんでいるとみられます。その前に、国民が揃って反対しづらい分野から、増税を実施していくのではないか。退職金増税なら、すでに退職金をもらった人や、控除の対象外の人には関係ありません。配偶者控除の見直しにしても、夫婦でバリバリ働いている人には無関係。通勤手当への課税見直しも、自営業の人には関係ない。『消費税増税』と言うと多くの国民が反対するでしょうが、退職金、配偶者控除、通勤手当の課税見直しは、まとまった反対が起きづらい。そうした気づきづらいところから手を付けていく可能性があるとみています」
気づいたら増税連発か──、国民は注意した方がいい。
http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/325.html
ビッグモーター追及に便乗した吉村知事「街路樹は公共物」発言にツッコミ殺到! 大阪の街路樹を伐採しまくる維新行政
https://lite-ra.com/2023/07/post-6290.html
2023.07.30 リテラ
吉村洋文大阪府知事SNSより
連日大きく報道されている、中古車販売大手のビッグモーターによる保険金不正請求問題。顧客から預かった車を故意に傷つけるという手口の悪質さのみならず、前社長が社員に責任を押し付けた会見の内容などもあり、マスコミはここぞとばかりに大々的に報じている。
たしかにビッグモーター経営陣のコンプライアンス意識の欠如やガバナンス不全の実態は酷いが、マスコミ報道がここまで過熱するというのは異常ではないか。ビッグモーター以上に問題をはらんでいる木原誠二官房副長官の警察捜査介入疑惑やジャニーズ性加害問題はほとんど報じないくせに、ビッグモーターにはとことん食いついて叩きまくる──。ようするに、叩ける相手は叩き、叩きづらい相手にはダンマリを決め込んでいるにすぎない。
だが、醜いのはマスコミだけではなかった。大阪府の吉村洋文知事がビッグモーター問題に絡んで、あ然とするようなブーメラン発言をして、ツッコミが殺到しているのだ。
一連の報道のなかでビッグモーターが店舗の前にある公道の街路樹に除草剤を撒き、枯らせていたという問題が発覚したが、吉村知事が26日、SNS にこんな投稿をした。
〈大阪府内でも不自然な枯れ木案件が見受けられましたので、担当部局に調査の指示をしました。街路樹は公共物ですので、調査すべきと考えてます。〉
パビリオン建設の遅れをはじめとする大阪・関西万博問題の渦中にある吉村知事だが、そんななか、ビッグモーターの除草剤使用問題にいち早く食いつき、“すばやい対応”をアピールしたのである。
だが、「街路樹は公共物」とはよく言ったものだ。というのも、大阪市では住民への説明会の開催などもないまま街路樹などを大量に伐採しており、2022年度から24年度にかけて、大阪城公園などの公園樹も含めて約1万本を撤去する予定。この問題が報じられた今年2月には、SNS上で「身を切る改革」ならぬ「木を切る改革」だとして批判が巻き起こったばかりだからだ。
■“政界のビッグモーター”維新 市民にまともな説明なく街路樹も公園樹も切りまくり
実際、吉村知事の「街路樹は公共物」発言に対しては、SNS上でツッコミが殺到した。
〈ビッグモーターの除草剤の件を吉村知事が批判していますけど、それただのブーメランですから。〉
〈市民が疑問を呈しようが問答無用で街路樹を切るくせに、ビッグモーターの件では正義面してパフォーマンスに利用。下衆。〉
〈「街路樹は公共物」だと吉村知事が名言ツイートをされましたが、その公共物を維新市政がどう扱ってきたか、ビッグモーターの比ではないひどさを大阪の方は知るべきだと思います。〉
〈あんたらなんの問題もない街路樹切りまくってましたよね??〉
しかも、こうした反応に対し、横山英幸・大阪市長は〈除草剤まくのと樹木管理は別次元だよ。老朽化等管理が必要な樹木は伐採後原則植え替え。住民の安全とゆとりある都市空間創出に努めます〉と投稿したのだが、これも詭弁だ。
横山市長は大阪市の伐採を「樹木管理」と言い張るが、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)3月12日号では、伐採データを市に情報公開請求した谷口るり子・甲南大学教授に取材。市が公開した伐採理由には〈「落ち葉で滑る」「木の間隔が密だから」というものや、「伐採するための道を確保するために伐採する」という笑い話のようなもの〉まであったといい、谷口教授は「大阪市は『公園樹木のヒマラヤスギは根が浅くて倒れやすい』との理由で、弱っていなくても全部伐採する方針です。しかし、他の自治体でそんなことは聞かない」と指摘している。
しかも、毎日新聞2月16日付記事によると、大阪市は「安全対策事業」として2018年度から2020年度のあいだにすでに約9000本を撤去しているのだが、植え替えされたのは6割。その上、公園樹と街路樹にかんする市の維持管理費は2012年以降、9億5000万円前後でほとんど変わっていない一方、人件費上昇に伴う作業費の高騰などによって管理できる本数が2012年度の約12万6000本から2020年度には約6万2000本にまで激減。つまり、予算が抑えられているばかりに木の管理が難しくなり、そのために伐採を進めているのではないかという疑念が生じているのだ。
そもそも、大阪市は橋下徹氏が市長を務めていた2014年、大阪城公園などの管理・運営をおこなう指定管理者に電通や読売テレビなどからなる共同事業体を選定。2015年度から大阪城公園の再開発がおこなわれたが、2017年度までのあいだに、劇場など施設建設を目的にして安全性に問題のないケヤキやクスなどの高木を計1174本も伐採。移植されたのは2016年から2019年でわずか230本だった(「AERA」6月12日号/朝日新聞出版)。このとき、〈劇場ができる場所にある樹木がどうなるかは、市民に知らされていなかった〉という。
大阪城公園の再開発について、吉村知事も市長時代の2016年、〈来年、さらに大阪城公園の景色を変えていきます〉〈大阪城のポテンシャルを最大限引き出します〉などとPRしていたが、街路樹の伐採を含め、ようは市民に計画や経緯を周知徹底したり議論することもすっ飛ばし、「公共物」たる樹木を大量伐採しているのが実態なのだ。
■大阪・関西万博もボロボロ! 過労死招く長時間労働を要求、予算も膨れ上がり続け…
ようするに、吉村知事はビッグモーター批判に注目が集まっていることに丸乗りし、「街路樹は公共物」などと言行不一致な言葉で、人気取りとやってる感を演出しているだけなのだ。いつものやり口とはいえ、厚顔無恥としか言いようがない。
だいたい、大阪の府政にはいま、ビッグモーターなどより、もっと追及されるべき問題が山ほどある。その筆頭が、大阪・関西万博をめぐる問題だ。
まず、大阪万博をめぐっては、パビリオン建設の遅れが深刻化しているが、なんと、日本国際博覧会協会(万博協会)は、来年4月からはじまる時間外労働の上限規制を建設業界に適用しないよう政府に要請しているとメディアが報道。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げておきながら、過労死や事故を招きかねない長時間労働を認めろと言い出したというのである。
それでなくても建設業務の時間外労働の上限規制は先送りにされてきたというのに、このような例外がまかり通れば法律が骨抜きになりかねず、到底許されるべきではない。当然、SNS上では怒りの声が広がっているが、そんななか、この問題を問われた吉村知事は、こう発言したのだ。
「万博の建設事業者側から、(上限規制を)除外してもらえないかという声が協会に届き、その声を政府に伝え、事務レベルでさまざまな課題の論点の一つとして議論していると報告を受けている」
まるで“万博協会の声を政府に伝えただけで、自分は関係ない”と主張するかのような言い草だが、吉村知事は万博協会の副会長(理事)でもある。だいたい、大阪万博の誘致委員会でも副会長を務め、これまでさんざん万博の開催を自分や維新の手柄としてアピールしてきたではないか。それを批判が高まると他人事のようなフリをするとは、無責任にもほどがある。この態度こそ、もっと批判されるべきではないのか。
しかも、ここにきて万博協会は、政府、大阪府・市、財界が3分の1ずつ負担することになっている万博の会場建設費の上限1850億円を、さらに増額させる検討に入ったという。それでなくても会場建設費は誘致段階では1250億円だったのがすでに1.5倍に膨れ上がっている上、つい先日まで吉村知事は「できるだけ1850億円の中でやるというのが今の予定で、今はその範囲に収まると聞いている」と言い張っていたのだ。
このままでは、東京五輪よろしく、すべてがなし崩しになって、またも血税が無駄遣いされるのは火を見るより明らかである大阪万博。吉村知事の無責任ぶりと合わせて、こうした問題こそマスコミは大きく報じるべきだろう。
https://www.sankei.com/article/20230730-7G5GXWVRYVNZXHK4DCQGU7VRWM/
記事では繰り返し「科学的根拠」という言葉が使用されている。
そもそも、ここで言う「科学的根拠」とは何を指して言っているのか。
記事に目を通す前に、下調べすることは無駄にはならない。
調べると、「科学的根拠」(エビデンス)とは、
「あるテーマに関する試験や調査などの研究結果から導かれた、科学的な「根拠」「裏付け」のこと。」
とある。
次に、「科学的な」とはどういうことか、調べてみた。
理解するには、二つの性格に着目すると分かり易い。
一つには「再現性」
「ある事柄について考えたり調べたりする時、その方法が同じならば、いつ・どこで・誰であったとしても、同じ答えや結果にたどり着くこと。」
もう一つは、「因果関係」
「原因と結果の関係がきちんとあるということ。」
ここまでで、「科学的根拠」の言葉の意味は理解したとして、記事を読み込んでいくとよいかなと思う。
そうすると、あることに気が付く。
それは・・・、解は記事の中にある。
「再現性」を重視し、その記事の全文を転載する。
政府が計画する東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、与野党の姿勢の違いが目立っている。科学的根拠に基づかない偽情報を発信する中国政府や韓国野党に対し、自民党や日本維新の会、国民民主党などが反論している。一方、一部野党は中国などと同様に、原発敷地内で浄化処理する前の汚染水をそのまま放出すると誤解させかねない表現を使い続けている。
「科学的根拠に基づいた議論を行うよう強く求めたい。事実に反する発言はわが国としても累次にわたって適切な反論を行っている」
自民の茂木敏充幹事長は25日の記者会見で、海洋放出に反対する中国の主張を、こう批判してみせた。
中国政府や韓国の最大野党「共に民主党」は処理水を「核汚染水」と表現。放出計画について「太平洋を『下水道』にしようとしている」(中国外務省)などと批判を展開している。
だが、放出計画については国際原子力機関(IAEA)が包括報告書で「国際的な安全基準に合致する」と結論付けた。危険をあおる中国や韓国野党などの非科学的な主張を放置すれば、日本に批判的な国際世論や風評被害が広がりかねない。
維新の藤田文武幹事長は韓国野党の主張を「プロパガンダ」と非難し、国民民主の榛葉賀津也幹事長も「『汚染水』ではなく処理水だ」と反発する。公明党の石井啓一幹事長は、中国の姿勢について「冷静に科学的根拠に基づいて判断してほしい。IAEAがお墨付きを与えた」と疑問を呈する。
一方、立憲民主党の泉健太代表は28日の会見で、中国の主張に関し、「IAEAが出した結果については同じ評価がなされるべきだ」と述べた。ただ、長妻昭政調会長は20日の会見で、「汚染水」という呼称を用いた上で、「それぞれの政治家がいろいろな考えで使っている」と許容する考えを示した。来日した韓国野党議員の記者会見に同席し、放出計画に反対する共同声明を出した議員もおり、チグハグな対応が際立つ。
共産党と社民党も「汚染水」などの表現を繰り返している。(奥原慎平)
記事は以上。
この記事を書いた記者は、どうも、「汚染水」と表現するのは非科学的で、「処理水」と表現するのは科学的根拠に基づいた表現だとでも言いたげだが・・・。
果たしてそうか。
そもそも、福島事故原発由来の、燃料デブリに触れた「汚染水」をALPSという名の浄化装置を通した上で、海洋放出をしようとする際に、さらに海水で100倍超に希釈しなければならない「あの液体」は、「処理水」なのか「汚染水」なのか。
科学的にはどちらが正しい表現なのか。
そのことは「飲んでも」分からないだろう。
以下は、エビデンスを示しながらなので、長くなり、一部過去の投稿の再掲になってしまうが、ご容赦願いたい。
一応は国際機関である「IAEA」はどう捉えているのか。
IAEAによる汚染(放射能汚染)の定義:(ウィキペディアから抜粋)
1. 表面上、または固体、液体、気体(人体を含む)内の放射性物質、または、それを生むプロセスで、その放射性物質の存在が意図しないか望ましくない場合。
2. ベータおよびガンマ線と低毒性(low toxicity)アルファ線の場合は0.4 Bq/cm2を超える量、または他のすべてのアルファ線の場合は0.04 Bq/cm2を超える量の放射性物質が表面に存在する場合。・・・
2. については、この定義は国際輸送規則上の定義であって、その数値以下であっても、1の科学的定義が考慮されなければならないとしている。
また特に、汚染の語には意図しないということを含意している場合があり、汚染の語は単に放射能の存在を示すにすぎず、関連する危険有害性の大きさを示すものではないとしている。
以上はウィキペディアから抜粋引用。
IAEAによる汚染(放射能汚染)の定義、特に1の「科学的定義」に従えば、「汚染水」をALPS等によって一定量の放射性物質を除去したとしても、意図ぜずして混入した放射性物質が残っている以上は、”その危険有害性の大きさに関らず”「汚染」水と言うことになろうか。
IAEAの科学的定義に照らして評価すると、放射能に「汚染」された水・・・「汚染水」。
溶け落ちた燃料デブリに触れて「放射能に汚染」された水・・・「核汚染水」。
「処理水」と言おうとも、”その危険有害性の大きさに関らず”放射能に「汚染」された水・・・であるから「汚染水」。
すなわち、プロセス的には「汚染」水に「浄化」処理を施した、いわば「浄化処理水」なのだろうが、除去できない放射性物質が残る以上「浄化水」あるいは「浄水」とは言えない。
結論的には、正確にいえば、「汚染水」を浄化処理で放射性物質を除去しきれなかった「不完全浄化処理水」ということになる。
政府と東電は、この「不完全浄化処理水」を(完全を装って)「処理水」と言っているわけだ。
こうしてみると、「処理水」という表現は、恣意的に「汚染」を隠すために作られた悪質な造語と言える。
科学的には、「放射能に汚染された水」という実態は変わらない。
「汚染水」という表現こそが科学的であり、「処理水」と表現するのは、もはや科学とは無縁の「詭弁」の類いだろう。
そして、産経の記事では、
放出計画については国際原子力機関(IAEA)が包括報告書で「国際的な安全基準に合致する」と結論付けた。
さらに「・・・IAEAがお墨付きを与えた」
と、続ける。
IAEAが公表した包括報告書は、海洋に放出された「汚染水」が含む放射能が、人類、生物、或いは環境に対して悪影響を与えることはないと。その因果関係を示して科学的に評価したものではない。
記事にもあるように、
「放出計画については・・・国際的な安全基準に合致する」と書いてあるに過ぎない。
放出計画については・・・だとさ。
放射能が、人類、生物、或いは環境に対して与える影響・・・のことではないんだとさ。
そこで言う「国際的な安全基準」が何なのかも、記事では分からない。
適用した安全基準が科学的に妥当なものなのかも評価できない。
第一、原発が爆発し、核燃料が溶けて燃料デブリとなり、それを冷やすために水を放水し続けることが前代未聞の事態であれば、その燃料デブリに触れて60種以上の核種の放射能に染された「汚染水」を海洋放出することも、人類史上初めての事態に違いない。
しかも、信頼性が担保されていない怪しげな性能の浄化処理装置を通し、それだけでは不十分と、海洋放出する前に、何故か、わざわざ海水で100倍超に希釈してから、何故か、わざわざ海底トンネル通して、何故か、僅か1kmという目と鼻の距離の沖合の海底から放出する計画という。。
そして、希釈が想定通りにいかない時は海洋放出を緊急停止する機能を付けているから「安全」だと言いたいらしい。
この一連のプロセス、放出計画、のどこに科学性があると言えるだろうか。
燃料デブリに触れて、放射能に汚染された「核汚染水」を海洋に放出するなどといったことは、非科学的な「原発の安全神話」が語られてきた妄想の世界では、想定することすら「タブー」であったことを踏まえれば、「核汚染水」を海洋に放出するときの「国際的な安全基準」などあろうはずがないではないか。
にも拘らず、政府は、IAEAが公表した包括報告書を振りかざし、海洋放出の安全性と正当性が示されたかのように主張する。
しかし、この報告書に、海洋放出の方針を「推奨するものでも承認するものでもない」との記載があることには触れようともしない。
さらには、「IAEAとその加盟国は、この報告書の利用によって引き起こされるいかなる結果に対しても責任を負わない」
と自ら書いているということになってしまえば、報告書そのものが非科学的であり、政治的に利用するためだけの書類だという証左ではないか。
「IAEAとその加盟国は、この報告書の利用によって引き起こされるいかなる結果に対しても責任を負わない」
と言われて手渡された報告書のその内容を、あなたは信用できますか?。
ちょっと、待て!
もしかしたら・・・それは「詐欺だ!」
今すぐ電話しよう。・・・110番
一部メディアが「日本政府応援団」と化して、科学的に「核汚染水」と呼び、科学的に安全が確認されていない「汚染水の海洋放出」の中止を迫る中国や、韓国の野党、さらには日本国民に対して、科学的根拠を示さずに非難を煽っている。
本記事もその例に漏れない。
別記事では、
「・・・来月18日に米国で開催される日米韓首脳会談で議題に上げ、中国が処理水を「核汚染水」と呼び、科学的根拠に基づかない偽情報を拡散していることに、3カ国で対抗する構えだ。・・・」
と報じている。
IAEAでさえも、海洋放出の方針を「推奨するものでも承認するものでもない」としている。
世界中のどこの国が、誰が、「汚染水」の海洋放出を推奨するものか。
IAEAが承認しない「汚染水」の海洋放出を、日本は誰の承認を得て、強行しようとしているのか。
「汚染水」の海洋放出を承認できる人間は、地球上に存在しない。
承認を得ているなら、国民に「丁寧に説明する」必要があるだろう。
「汚染水の海洋放出、 絶対反対!」
http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/327.html
※2023年7月31日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2023年7月31日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
前任者のカーボンコピー化してきた日銀の植田和男総裁(C)共同通信社
長引くインフレは収まらないと覚悟した方がいい。
日銀は先週28日まで開いた金融政策決定会合で、国債を買い入れて長期金利を低く抑え込むYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正を決定。長期金利の上限を「0.5%程度」から1.0%へと事実上、引き上げた。
会合後に会見した植田総裁は「金融政策の正常化へ歩み出すという動きではない」とし、「YCCのもとで粘り強く金融緩和を継続する必要があり、運用を柔軟化し、上下双方向のリスクに機動的に対応することで、この枠組みによる金融緩和の持続性を高めることが適当だと判断した」などと説明。つまり、円安物価高を引き起こすアベノミクスの大規模緩和路線を維持する姿勢に変わりはないということ。にもかかわらず、YCCを微修正したのは、インフレ圧力に弱まる兆しが見えないからだ。
6月の消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比で3.3%上昇。3%超えは10カ月連続で、日銀が物価安定目標に据える2%を長いこと上回っている。伸び率は2カ月ぶりに拡大し、高インフレに苦しむ米国の上を行く。 物価の先行きを甘く見積もる日銀は案の定、3カ月に1度見直す経済・物価情勢の展望(展望リポート)の修正に追い込まれた。足元の物価高を反映し、2023年度のコアCPIの上昇率の見通しを4月時点の1.8%から2.5%へ引き上げ。インフレや日米の金利差拡大などに伴う金利上昇圧力にあらがうには、日銀が際限なく国債を買い入れなければならない。今年1月には月間の買い入れ額としては過去最大の23兆円を費やした。日銀の国債保有割合は史上最大で、3月末時点で53.34%に達した。黒田前総裁就任前の12年12月末時点が11.48%だったから、10年あまりで4倍超に膨張したことになる。
3年間で10%のインフレ直撃
日銀のバランスシートは肥大化する一方だが、金融正常化へカジを切れば、財政ファイナンスに味を占める岸田自民党から突き上げを食らう。それで、植田日銀はYCC撤廃に踏み込むでもなく、中ぶらりんな運用柔軟化でお茶を濁したわけだ。植田は「長期金利が1%まで上昇することは想定していない。念のための上限、キャップだ」と歯切れが悪かった。市場の投げ売りも招きかねないことから、会見は中途半端。それがまた金融市場の荒れた動きにつながり、28日の外国為替市場では日米の金利差が縮小するとの思惑から円買い・ドル売りが加速し、円相場は短時間で約3円乱高下。一時1ドル=138円台前半まで上昇し、日経平均株価は前日終値比で一時800円超下落。長期金利の指標となる新発10年債利回りも一時0.575%まで上昇した。これは14年9月以来、約9年ぶりの高水準だ。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「植田総裁はYCCの弾力化について、大規模緩和を継続するためだと言い切った。『物価の番人』たる日銀が国民生活をむしばむインフレはお構いなし、放置すると宣言したに等しい。昨年度のコアCPIの上昇率は3.0%。今年度も3%超えは必至です。展望リポートは24年度について4月時点の2.0%から1.9%に引き下げましたが、過去の例に照らせば日銀の物価見通しは当たらない。3年間で10%近いインフレに直面する可能性大です。5月の実質賃金は前年同月比1.2%減で、14カ月連続のマイナス。長期化するインフレが懐を直撃しています。物価上昇のダメージはそれにとどまらない。名目賃金は17カ月連続のプラスですから、所得税や社会保障費の負担は増える。かたや政府の税収は膨らむので、インフレ増税になる。日本の金融資産は2000兆円とされますが、3%のインフレで60兆円も目減りするのも大問題です」
大マスコミに蔓延するマーケット論理
デタラメな金融政策を10年以上も続ける日銀を前に、引き合いに出すのは微妙ではあるが、欧米の中央銀行は大胆で強気だ。インフレ退治に躍起の米国はFRB(米連邦準備制度理事会)が22年3月以降、10回連続で利上げ。先月は据え置いたが、今月は0.25%引き上げ、政策金利は5.25〜5.50%と22年ぶりの高水準となった。ECB(欧州中央銀行)も22年7月以来、9回連続で利上げ。今月も0.25%引き上げ、主要政策金利は4.25%になった。恐る恐るの植田日銀を批判できない大マスコミも責任重大だ。
「大手メディアには誰のための金融政策なのか、という視点が抜け落ちています。株式市場にとって、金融市場にとって、究極的には国際金融資本にとって好ましい形が日本にとっていいことだ、というマーケットの論理が蔓延している印象です。大規模緩和の継続により、企業の資金調達で苦労せず、輸出すれば円安で濡れ手で粟。株高にもつながる。大手メディアは政府や大企業が個人に負担を押し付けている現実を真正面から報じない。このままインフレが続けば景気は悪化し、企業業績も悪化するのは自明の理。元のもくあみです」(斎藤満氏=前出)
東京新聞(30日付朝刊)の調査が官邸と大マスコミの距離感を浮き彫りにしている。官邸で行われる首相会見について、岸田政権発足以降、官邸側に指名されて質問した回数を集計したところ、内閣記者会の常勤19社の間で3倍以上の格差があったという。
21回の会見のうち、指名最多だったのは産経新聞で13回。言わずと知れた自民党政権寄りの媒体だ。NHKが12回。日経新聞、読売新聞、毎日新聞、朝日新聞、フジテレビが9回で続いた。最少だったのは東京新聞・中日新聞とTBSの4回。政権にとって都合の悪い質問をするメディアを遠ざけているのが透けて見える。大マスコミが日銀のガンジガラメに“理解”を示すわけだ。
新たな使命は防衛財源下支え
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「岸田首相の『聞く耳』は誰に向けられているのか。米国と財界です。マイナンバーカード問題で内閣支持率が急落し、慌てて地方視察に出向いていますが、一国の指導者が当事者の元に足を運ばなければ事の重大性を理解できないのかという話で、パフォーマンスに過ぎません。岸田首相は米国のバイデン政権からお墨付きを得るため、防衛費倍増を打ち出した。その財源を確保するため、歴代政権が踏襲した公債を軍事目的に活用しないという方針を転換し、建設国債を充てようとしている。国債買い入れの新たな使命を担わなければならなくなった日銀は、購入枠に余裕を持たせるため、YCC微修正に動いたのでしょう。キシダノミクスは定着しませんが、岸田政権の経済政策はアベノミクスよりも残酷です。岸田首相は支持率について『上がったり下がったりするものだ。いずれ上がる』と言ったそうですが、政治オンチもいいところ。乱暴な言い方かもしれませんが、この状況で支持率が上向いたら、国民はアホだということになる。岸田政治を総括し、暴政を止めなければ、経済的にも軍事的にも悪い方向へ向かうばかりです」
日銀法は金融政策の独立性を定めているが、第2次安倍政権が骨抜き。国の借金は膨らみに膨らみ、1270兆円を突破した。生前の安倍元首相は「日銀は政府の子会社だ」とメチャクチャなことを言って正当化していたが、あらゆるツケは国民に回されることを忘れちゃいけない。
http://www.asyura2.com/23/senkyo291/msg/328.html
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