人を追い込む情報空間の歪み
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2023年7月12日 植草一秀の『知られざる真実』
人は社会的存在。
孤高の精神を持つ人もいる。
他者の言動に左右されない人も存在することはある。
しかし、希有だ。
山にこもり、人と交わりを絶って暮らすなら孤高の暮らしもあり得るだろう。
しかし、現代の文明社会でその生活を実現することは容易でない。
同時に人には社会的欲求、承認欲求がある。
社会に受け入れられたいと思う欲求、社会で承認されたいという欲求がある。
社会と隔絶して生存することは困難である。
その社会における認識を形成するための材料として用いられるのが「情報」である。
日々刻々と変化する人間模様。
人の暮らし、活動に対する認識を形成するための素材になるのが情報である。
情報がなければ判断はできない。
流布される情報が重要な意味を持つ。
その情報の流通を司るのが「メディア」。
私たちは日々、新しい情報を主として「メディア」から入手する。
この意味で「メディア」が持つ意味は決定的に大きい。
日々刻々と変化する「時事情報」を私たちはどこから入手しているか。
それぞれの個人が自分自身の体験として獲得する情報もある。
一次情報だ。
自分目と耳と感性で捉えた生の情報である。
しかし、入手する全情報のなかでそのウエイトは極めて小さい。
圧倒的な部分を「メディア」からの情報に依存する。
その「メディア」とは何か。
情報の流れを司る二つの主流がある。
「マスメディア」と「インターネットメディア」である。
「マスメディア」はテレビ、新聞、雑誌が中心になる。
「インターネットメディア」で大きな比重を占めているのが「ニュースの大手ポータルサイト」とSNSだ。
SNSには多くの個人が参入している。
「世間の声」の影響が従来に比べれば格段に大きくなった。
しかし、これ以外の主要な情報源は特殊なもの。
「マスメディア」と「ニュースの大手ポータルサイト」が人々の入手する情報の大半を握っている。
問題は「マスメディア」と「ニュースの大手ポータルサイト」を一握りの大資本が支配していること。
新聞・テレビの経営はスポンサー収入に依存する。
NHKは国のバックアップによって存立が支えられている。
他方、インターネット上のニュースの大手ポータルサイトも大資本の支配下にある。
つまり、国家権力と大資本が人々の入手する情報の大半を握ってしまっている。
SNSの影響が拡大しているが、SNSで情報を発信する個人が、国家権力と大資本によって支配される情報の影響を受けている。
日本列島で大規模な水害被害が広がり、通常ならNHKが特別報道体制を敷くところだが、今回は通常放送体制を維持した。
岸田首相がNATO首脳会談に出席するからだと考えられる。
特別報道体制を敷き、深刻な水害が広がるなかで外遊に出れば批判が沸騰する。
このことを念頭に通常放送体制を維持したと見られる。
インターネットメディアは鳩山友紀夫元首相に対する批判記事を積極的に掲載する。
メディアを支配する国家権力と大資本にとって鳩山友紀夫元首相は「好ましくない存在=ペルソナ・ノン・グラータ」なのである。
元参議院議員であるガーシー氏は国際手配のグレードを引き上げられて逮捕、勾留された。
長期勾留は明らかに不当であると考えられる。
しかし、社会で流布される情報を支配する国家権力と大資本が正義の存在である保証はない。
逆である。
「悪徳の極み」と表現して差し支えないだろう。
この歪んだ情報、歪んだ社会によって、「正義」が迫害を受けている。
「歪んだ情報」、「歪んだ情報社会」からの人々の解放が重要なテーマとして浮上している。
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