できもしないことを押し付ける無能政府の無責任 二極化・格差社会の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/325144
2023/06/27 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
マイナカード他人が利用で会見を開く松本剛明総務相(C)共同通信社
人は何か仕事を思いついた時、それを自分の実力で成し遂げられるのかどうかを考え、可能と判断してから着手する。できっこないことには、初めから手を染めない。
深刻きわまる“マイナンバー”トラブルの連続は、わが国政府にとって「当たり前」が当たり前でなかった結果だ。「マイナ保険証」とやらに別人の情報が登録されたり、コンビニで住民票を請求したら、他人のが出てきただなんて、おぞまし過ぎはしないか。
要は無能なのである。それがまた1億2000万国民をいちいち番号扱いし、監視して、思いのままに操ろうだなどと、変質者ムキ出しの野望を抱くから、こうなった。
にもかかわらず、“マイナンバー”関連の改正法は成立。「カード」と健康保険証の一体化は予定通りに進められるという。同様の制度を始めても、反省して撤退した国がたくさんあるのに、政府はそんな現実さえ知らぬ顔の半兵衛を決め込む腹だ。
徹底した無責任でなければなせる業ではない。迷惑したり破滅したりはどうせ一握り、放っときゃジキに泣き寝入りするわサ、てなもんだ。
断言しよう。“マイナンバー”は下手をすれば未来永劫、私たちを危険にさらし続けていく。
つい先日、パソコンの「サポート詐欺」に遭いかけた同業者がいる。一心不乱に原稿を書きつつ、必要な情報をネット検索したところ、なぜか突然、画面のすべてがアラームモードに切り替わったとか。回復させるにはサポートセンターに連絡を、と電話番号が表示されて……が、いくらかけても話し中。結局は知り合いの専門家に来てもらってコトなきを得たそうだが、あれで電話が通じてしまった、としたらーー。
デジタル社会とは、イコール卑劣な詐欺集団の培養土であり、推進エンジンたり得る彼らの跳梁跋扈はむしろ大歓迎の、修羅の世界だ。それでも突っ込んでいく岸田文雄政権の正気を疑う。
今月の上旬だったか、河野太郎デジタル担当相が、埒もない妄言を口走っていた。「(デジ庁には)トラブルへの対応で、朝の4時まで残業という者もいる」とかなんとか。
だから何? 働くだけなら詐欺集団だって、暴力団だって、徹夜ぐらい珍しくないだろう。支配欲の塊みたいなシステムをでっち上げておいて、うまくいかないから大変だなんて泣きつかれても困る。国民総背番号体制などという天下の愚挙は、一刻も早く廃絶する以外に、この国の社会に残された道はないと知るべし。
斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
http://www.asyura2.com/23/senkyo290/msg/824.html