バイデン大統領がG7の“ドタキャン”を示唆 岸田首相「成功シナリオ」完全崩壊危機
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2023/05/11 日刊ゲンダイ
岸田首相の「晴れ舞台」には何よりもバイデン米大統領の出席が必要なのに…(C)共同通信社
官邸は大慌てではないか。米国のバイデン大統領が、G7広島サミット(19〜21日)を欠席する可能性があるというニュースが飛び込んできたからだ。岸田首相が最重要視する晴れ舞台に、最も緊密な連携を望む米国の大統領が顔を見せないとなれば、大ショックだろう。松野官房長官は10日の会見でバイデン欠席について聞かれると「米国政府から通告は一切受けていない」と冷静を装うしかなかった。
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バイデン氏が抱える問題は深刻だ。米政府の借入限度額である「債務上限」の引き上げを巡って、9日に野党共和党のマッカーシー下院議長らと交渉。米政府の債務は既に上限の31兆4000億ドル(4200兆円)に到達しており、上限を引き上げなければ6月1日にも財政資金が底をつき、デフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある。無条件の上限引き上げを要請するバイデン氏に対し、マッカーシー氏は歳出削減を前提条件に求め、協議は平行線だ。
バイデン氏は「問題が解決するまでここ(ホワイトハウス)に残るつもりだ」と話し、長期化した場合のサミット欠席を示唆した。
米国がデフォルトに陥れば、世界経済が壊滅的ダメージを負うのは必至だ。12日に再び協議の場を設けるというが、バイデン氏がサミットを欠席する可能性はあるのか。上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)はこう言う。
「バイデン大統領にとっては、G7どころではないでしょう。債務上限の引き上げは、オバマ政権だった2011年にも政治問題になりました。当時は政府・民主党と共和党がギリギリのところで合意に達しましたが、米国のデフォルト危機が強く意識されたことで、米国債の格付けが引き下げられ、株価も下落。市場は大混乱に陥りました。今回も同じような展開になる可能性がある。共和党は、バイデン政権が打ち出した政策を『無駄遣い』『借金体質は子どもたちの将来を奪う』と徹底的に批判しており、妥協する様子が見えません。バイデン大統領は共和党との交渉に専念するためG7を欠席するか否か、迷いに迷っているでしょう」
G7どころじゃない
全てはただ、このサミットのために…(岸田首相)/(C)共同通信社
それにしても、サミット本番1週間前というタイミングで“ドタキャン”を口にするとは驚きだ。バイデン氏にとっては、G7よりも内政問題がより重要ということ。岸田氏の晴れ舞台なんて「どうでもいい」と思っているのかもしれない。「軽く見られているんでしょうね……」と言うのはある官邸事情通だ。
「ここ1年ほどの総理の行動原理は全て『サミットのため』でした。サミットでは、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援が主要議題の一つです。ウクライナへの電撃訪問も『防衛装備移転三原則』の運用見直し議論を始めたのもサミットのため。議長国として広島で『核なき世界』を訴え、『世界のリーダー』をアピールしたいと考えてきた。噂される『サミット後解散』もその余勢を駆ってのもの。なのに、最も重視する米国に軽く見られているなんて、総理のショックは相当でしょう」
岸田氏は、サミット最終日に日米韓首脳会談を行い、その後、広島市内でバイデン氏と夕食会を開く予定まで調整している。それもこれも全てオジャンになってしまうのか。
バイデン氏が「欠席」を口にした時点で岸田氏の“成功シナリオ”は崩れたも同然だ。
米タイム誌が特集で指摘
次号、12日発売の米タイム誌の表紙
「長年の平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる」──。米タイム誌は10日までに、岸田文雄首相を表紙に掲載した次号(12日発売=写真)でこう指摘した。
一部内容が先行公開された「日本の選択」と題した記事では、岸田氏が19〜21日のG7広島サミットで、中国やロシア、北朝鮮といった国々に立ち向かうため民主主義国の団結を狙うと説明。防衛費の増額で「世界3位の経済大国に見合った軍事的影響力を持つ国にしようとしている」とした。
一方で「核兵器のない世界」を目指す岸田氏の理念と防衛力強化が矛盾するとの意見があると指摘した。
http://www.asyura2.com/23/senkyo290/msg/387.html