妖怪の孫の憲法破壊手口
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2023年5月 3日 植草一秀の『知られざる真実』
日本国憲法の基本原理は
国民主権、戦争放棄、基本的人権の尊重
他国に類例を見ない素晴らしい憲法である。
憲法は絶対不可侵の存在ではない。
必要があれば変えれば良い。
しかし、必要もないのに変える必要はない。
憲法改定論議が喧(かまびす)しいが、憲法を直ちに変える必要性を感じる主権者は少数ではないか。
憲法が存在することの最大の意味は権力の暴走を防ぐこと。
政治権力といえども憲法の前には従順でなければならない。
憲法は政治権力の前に君臨する。
憲法が政治権力の暴走を防ぐ防波堤の役割を果たす。
これが立憲主義の考え方。
選挙で信任を受けた内閣は憲法をも支配できると考えるのは大いなる誤り。
かつて、「選挙に勝った政権は憲法解釈を変えられる」と発言した首相が存在した。
恥じるべきことだ。
安倍内閣は内閣の独断で憲法の解釈を変えた。
日本政府が40年以上にわたって維持してきた憲法解釈を勝手に変えた。
内閣には内閣法制局という独立性の高い部局が存在する。
憲法解釈を行い、政府の立法に対して高度に専門的な立場から法的見解を示す。
内閣といえども憲法の前には従順でなければならない。
内閣法制局は政府の立法措置等についての法的見解を示してきた。
法を作ったり変えたりする上での最難関が内閣法制局だった。
立憲主義は内閣法制局が正常に機能することで保たれてきた。
ところが安倍首相は憲法解釈を変えるために内閣法制局長官を変えた。
政府は憲法解釈上、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとしてきた。
この憲法判断を支えてきたのが内閣法制局。
安倍首相が集団的自衛権の行使が必要だと考えたのなら憲法改正の手続きを踏むべきだった。
日本国憲法には憲法改正に関する規定がある。
憲法改正は正当な手続きを踏むことにより実行可能である。
面倒な手続きではあっても憲法の内容を変える必要性があると考えるなら、正規の憲法改正の手続きを踏む必要があった。
ところが、安倍首相は正規の憲法改正の手続きを踏まずに、内閣法制局長官を変えるという手法を用いた。
集団的自衛権行使を合憲であるとする人物を内閣法制局長官に据えて憲法解釈変更を強行した。
邪道としか言いようがない。
蛇道と言ってもいいだろう。
集団的自衛権行使は日本が軍事攻撃を受けていないときに、日本と同盟関係にある国が武力攻撃を受けた際に、日本が武力攻撃を受けたものとして日本が軍事出動すること。
米国が創作する戦争に日本が巻き込まれることを意味する。
米国は米国軍産複合体の利益追求のために戦争を創作している。
利益追求のために戦争を人為的に創作している。
その、米国が創作する戦争に日本が率先して巻き込まれることを選択するのが集団的自衛権行使の容認だ。
法を守るための砦が内閣法制局。
その内閣法制局の人事を歪めて、法を守るための砦を壊す。
その上で憲法の内容を正規の手続きを踏まずに変えてしまう。
「壊憲」以外の何者でもない。
憲法記念日を迎えるにあたり、安倍内閣が実行した国家破壊行為を改めて確認し、その再評価を行う必要がある。
米国は米国が創作する戦争に日本を巻き込む憲法解釈変更を日本に強要した上で、今度は日本に軍事費倍増を強要している。
米国の命令にただ服従する点で岸田首相は安倍元首相と相違がない。
最後に問われるのは日本の主権者の判断。
米国に隷従する日本。
憲法を破壊して平然としている政府を野放しにする日本。
この日本を是とするのか、それとも非とするのか。
日本の主権者の見識が問われている。
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