「衆議院議員、岸信夫当選」と言い間違え 山口の衆院補選は面白過ぎ、すばらしかった
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2023/04/28 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
政治を私物化するなと言う話(衆院山口4区補選、当選した吉田真次氏と安倍元首相の昭恵夫人)/(C)共同通信社
日本は完全にギャグマンガみたいな国になってしまいましたね。山口2区と4区は、最後の最後まで笑わせてくれた。23日投開票が行われた衆議院の補欠選挙で、山口2区は岸信介のひ孫、防衛大臣を務めた岸信夫の息子の岸信千世が勝利。当選確実と報じられると、山口県岩国市のホテル内のホールに集まった支持者らを前に県議会議長が「万歳三唱」の音頭をとり、「衆議院議員、岸信夫当選」と言い間違えた。世襲批判が高まる中でのこの発言。面白過ぎる。
信千世は「これまで父をご支援いただき、引き続き私にもご支援を賜りましたすべての皆さまのお力のおかげ」と述べ、3バン(地盤・看板・カバン)で当選したことに対し、胸を張った。また、父の信夫から「おめでとう。これからしっかり頑張りなさい」と携帯電話のメッセージが来たことも明かしている。子供かよ。
山口4区もすばらしい。
安倍の後継として「遺志を継ぐ」と訴えた元下関市議の吉田真次が当選。吉田を担いだ安倍昭恵は選挙戦で「主人の最後の選挙のつもりで戦っている」と発言。吉田は「安倍先生の無念を晴らすため」とも言っていたが、政治を私物化するなという話。
吉田の出陣式では後援会長が「このアベシンジ候補こそが……。ああ、ごめん」と発言。要するに、安倍の勢力を引き継ぐためなら、猫でも杓子でもなんでもよかったわけだ。
その後、あいさつに立った萩生田光一は〈私の心配は、この下関のみなさんは投票所に行って、白い投票用紙に向かったら、「安倍」としか書いたことがないんですよ。後援会長でさえ、候補者の名前を間違える〉と発言。冗談のつもりなのだろうが、おぞましいの一言である。
24日朝、下関市の事務所で吉田は記者会見。
投票率が34.71%にとどまり、21年の衆院選から14ポイント近く下がったことについて質問されると「政治側の責任でもありますし、選挙制度そのものを考える時期にきていると強く思っている。どういうことをやっているか明確に市民、有権者にお伝えしていく機会をもっともっとつくっていかなくてはならない」と返答。
政治がどういうことをやっているか。山口2区と4区は、それを如実に示している。
適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中
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