イエレン財務長官「追加利上げ不要」発言が波紋…米国で貸し渋り加速し“リーマン級危機”も
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2023/04/17 日刊ゲンダイ
FRB議長も務めたイエレン財務長官の発言は重たい(C)ロイター
「リーマン級危機」の前夜なのか──。イエレン米財務長官が「追加利上げ不要」と発言し、波紋が広がっている。16日放映のCNNとのインタビューで、最近の米銀破綻を受けて、金融機関が融資を一段と引き締める可能性を指摘。金融機関の融資引き締めが「FRB(米連邦準備制度理事会)が行う必要がある追加利上げの代わりになる可能性がある」と語ったのだ。
FRB議長も務めたイエレン財務長官の発言は重たい。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「驚きの発言です。追加利上げの代わりになるほど、金融機関の“貸し渋り”が横行するとの見通しがあると認めたに等しい。米国ではシリコンバレー銀行の破綻をきっかけに、中小銀行への信用不安が急速に広がりました。銀行は信用不安を払拭するために健全経営を示す必要に迫られ、すでに貸し出し態度を厳格化させている。その結果、リスクの高い顧客に対する貸し渋りや貸しはがしが急増しています。銀行としては生き残るための自己防衛と言えます」
疑心暗鬼の悪循環
FRBの週次統計によると、米中小銀行の融資残高は急速に減少している。今のところ、貸し渋りは市況の悪化が激しい商業用不動産向けが中心だが、今後は、ベンチャー企業やクレジットカード向けにも広がるとみられている。
「金融は経済の血液ともいわれている。血液が足りなければ、経済は回らなくなります。銀行の貸し渋りにより、企業の資金繰り悪化は避けられず、倒産件数も増える。融資先が倒産すれば、銀行の経営も悪化し、かえって、銀行への信用不安は拡大する。すると、さらに貸し出し態度を硬化させるという“悪循環”に陥ってしまいます」(森岡英樹氏)
ニッチもサッチもいかなくなれば、悪循環から抜け出すのは容易でない。
「信用不安の場合、必要以上に疑心暗鬼に陥るケースも少なくない。米国の景気後退が長期化する可能性があり、世界経済は壊滅的な影響を受ける恐れがあります」(森岡英樹氏)
米国のサブプライムローン問題を契機に起きた「リーマン・ショック」により、日本経済はボロボロになった。警戒が必要だ。
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