実質賃金マイナスは半永久的に続くのか…11カ月連続減は序の口、そして「卵不足」も?(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/23/hasan136/msg/121.html
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/867.html
日米の対中露戦の最前線で陸上自衛隊のヘリコプターが墜落(櫻井ジャーナル)
http://www.asyura2.com/22/warb24/msg/478.html
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/868.html
どうなる!? れいわの地方選 全国で75人の公認候補擁立 「地方から国を揺らせ!」
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/26225
2023年4月7日 長周新聞
4年に1度の統一地方選挙の口火が切られた。統一地方選は、都道府県の知事・議員、政令指定都市の市長・議員を選ぶ「前半戦」(9日投開票)、それ以外の市町村と特別区の首長・議員を選ぶ「後半戦」(23日投開票)があり、全国の地方政治の現状が一斉に可視化される。れいわ新選組(山本太郎代表)は、発足以来初挑戦となる統一地方選に75人の候補者擁立を表明し、課題であった地方の足場固めに挑む。その行方が注目されている。
れいわ新選組が統一地方選に擁立する公認候補者は、北海道から鹿児島までの75人(4月3日現在)。公募の中から選出した。別に党推薦候補者が17人いる【地図参照】。
すでに3月31日に告示されている前半戦(9日投開票)では、北海道・札幌市議選(西区)にすぎやまえみこ(元介護福祉従事者)、埼玉県議選(南第2区)にほんだまさき(会社役員)、神奈川県・横浜市議選(磯子区)にもりた洋平(元会社員)、静岡県議選(伊東市)に犬飼このり(元伊東市議)、愛知県・名古屋市議選(千種区)にかねしげ政玉(元内閣府共生社会担当調査官)、京都市議選(右京区)に安持成美(ライフプランナー)、大阪市議選(阿倍野区)にかばた健吾(元介護福祉業従事者)、大阪市議選(東成区)に野入俊二(介護・障害者福祉事業所経営)、福岡市議選(東区)にとみなが正博(元福岡市議)の9氏が公認候補として出馬している。党推薦候補者は、千葉県議選、山梨県議選、広島県議選、鹿児島県議選、相模原市議選(南区)、神戸市議選(垂水区)に各1人ずつ。
16日に告示される後半戦(23日投開票)では、北海道4人、秋田県1人、岩手県2人、宮城県1人、福島県1人(別途9月のいわき市議選に1人)、茨城県1人、千葉県2人、埼玉県6人、東京都24人、神奈川県3人、山梨県1人、岐阜県1人、静岡県1人、愛知県5人、京都府1人、大阪府6人、兵庫県2人、奈良県2人、福岡県1人の合計66人。推薦候補は11人となっている。
元職や現職も含まれるが、多くは政治経験のない一般市民であり、れいわ新選組のボランティアとして草の根活動を続けながら、初めて政治の舞台に踏み出した人々だ。
3月下旬、統一地方選に挑むにあたり、れいわ新選組は「地方から国を揺らせ!」と題する声明とともに自治体選挙におけるマニフェスト(公約)を発表した。マニフェスト冒頭では次の様に呼びかけている。
* *
この30年、『官から民へ』『行政のムダを省く』というスローガンのもと、緊縮財政と小さな政府を目指す政治が続いてきました。そんななかで、大きなしわ寄せを受けてきたのが、地方自治体です。
財政を『健全化』させるため、中央政府は地方に配分する財源を減らし、社会保障の負担を地方自治体に押しつけてきました。地方交付税交付金は地方自治体が一般財源として使えるお金ですが、充分な額が確保されていません。国全体の最低限の生活水準を保障するための、介護・医療・保育・教育などの支出についても、中央政府は十分な財源を手当せずに、自治体に負担を強いています。
その結果、地方自治体の公務員も十分な人員を確保できず、賃金カットや非正規化、長時間労働が常態化しています。過去十数年にわたる緊縮的な経済政策の結果として、高齢化や人口縮減という地方の課題にも、対応が大幅に遅れてしまいました。就職氷河期世代は放置され、ひとり親世帯の子どもの貧困も深刻です。
今、何よりも、人々が豊かになるための経済政策への転換が必要です。特に、地方政治は、私たちの日々の生活そのものです。日々の生活を守ることが、国を守り、すべての人を守ることにもつながります。暮らしに最も近い、自治体の政治を積極財政に変え、何があっても心配しなくていい、そんな社会を一緒に実現しましょう。
マニフェスト 子ども支援や雇用創出
公認候補者の応援演説をする山本太郎(3日、京都市)
れいわ新選組共同代表の櫛渕万里、大石晃子の両衆議院議員、長谷川ういこ・参議院政策委員は3月22日に会見を開き、統一地方選への意気込みとマニフェストの内容を発表した。
大石晃子氏(政策審議会長)は、「れいわ新選組はもともと国政にこだわって4年前に山本太郎が旗揚げした政党だ。なぜなら、この国には通貨発行権がありながら、この30年間、この国では社会全体にお金が回らず、“お金がないから節約”みたいなことばかりいい続け、その結果一人一人の生活が貧しくなる景気の悪循環が続いており、これを逆回転させる力は国にあるからだ。国が通貨発行権を使って社会にお金を回す――積極財政を掲げ、国政においては3年半で8名の国会議員を生み出してきた。次は、地方で私たちの仲間がどういうスタンスで議員となってたたかっていけるのかということを今回のマニフェストに込めた」とのべた。
統一地方選マニフェストのポイントは大きく以下の3つ。@ 地方から国を動かせ!――地方交付税交付金の大幅増額で全国津々浦々にお金を回す。A 地方から積極財政を!――貯めこんだ「基金」を今こそ人々の生活や地方の活性化に使い、地方から積極財政に転換する。B 民間資金も活用し地域を活性化――財政投融資や地方団体金融機構の融資を活用し、投資によって地域経済を循環させる。
大石氏は、「一つ目は、地方は国に屈服するのではなく、お金を出すようにたたかっていく仲間が必要だということ。二つ目は、地方でも緊縮財政によって介護・保育・医療などさまざまな予算が削られている。一番悪い例が“身を切る改革”だ。身を切るのではなく、国とたたかわなければならないのであって、地方もケチってはいけないということ。三つ目は、民間資金も活用して地域をもっと活性化させていくということだ」とのべた。
マニフェスト作成にかかわった長谷川ういこ氏は、「地方からも国を動かしていこうという意気込みのもとで作成したものだ。れいわ新選組は国による積極財政を掲げているが、それは地方からでも十分可能だ。国の予算では、地方に対する支援や交付金をほとんど増やしていない。今まさにコロナからの回復途上にあるが、輸入物価高騰による深刻な危機が地方を襲っている。国が地方を支えないといけないのに、それをほとんどやっていない。小泉改革以来、地方に回るお金は大幅に減らされ、多くの地方自治体は支出を削ってきた。国はさまざまなルールを課して緊縮政策を促し、地方は疲弊した。今回コロナ禍ではさまざまな支援が国から出されたが、地方はそこで貯め込んだ基金を今こそ人々の生活に回し、地方を活性化させなければいけない。またデジタルやグリーンの分野では、財政投融資を含めてお金を回す仕組みができつつある。現在、投資先がなくて困っている地方ファンドや信用金庫などとも連携して投資先を作り、さまざまな地方のさまざまな事業を活性化させることも可能だ。“地方から緊縮を打ち破れ!”ということで、この三つを柱とした」と説明した。
具体的な政策では、「子ども支援」として、全自治体での18歳までの子ども医療費や学校給食費、保育料、学費、小学校の放課後対策事業の無償化(5つの無償化)、ロスジェネ世代の公務員採用や「就職氷河期世代雇用ニューディール」などを自治体規模に応じて実施、非正規公務員の時給値上げや雇用無期限化、会計年度任用職員制度を廃止し、保育士や幼稚園教諭、図書館職員、介護職員、相談業務の職員の正規化を進めるなどの「地元の安定雇用の創出」などを挙げる。また、自治体への定住や中小企業支援で若者が抱える奨学金債務の免除、多様な教育環境の整備などを「教育は成長産業」という理念で実現を目指すとしている。
そのほか、ひっ迫する介護業界の人手不足解消のための施策として、介護職員の報酬アップ、公務員化、家賃補助(最大月10万円)の実施。地方インフラの整備、急増する空家や団地の空き部屋を活用した低廉な公共住宅の拡充、公立病院の統廃合中止と保健所機能の強化、インボイス制度の中止、中小事業支援策の充実、地域農業の保護と地産地消の推進、軍備増強に反対し地域から平和構築を目指すことなど、国に求めていくことと自治体でとりくむことの両面で多岐にわたる政策をうち出している。
東京都内の候補予定者発表会見で、櫛渕万里氏は、「何よりもこの物価高や光熱費の高騰のなかで、“何があっても心配するな”といえる公助をしっかり市民のために出していけるような政治に切り替えるため地方から揺り動かしていくことが大きなキーワードだ。自治体でそういうことができるのか? という声も聞くが、すでに全国では首長が独自政策を掲げて子育てや防災をやっている自治体がある。地方自治体だからこそできるものもある。候補者たちはこの4年間を支えてくれたボランティアの仲間であり、地域のリーダーであり、仕事を辞めて今回選挙に挑戦するという人生の決断をした人もいる。無所属かられいわに加わって選挙に臨む仲間もいる。豊かな地域を作るために、“何があっても心配するな”といえる政治を身近な政治(地方議会)から作り出していくために、仲間たちの動きに注目していただきたい」と訴えた。
代表の山本太郎参議院議員は、「れいわ新選組は、緊張感もなく弛緩しきった国会でガチンコの喧嘩を仕掛ける存在にならなければいけない。野党の弱点である経済政策を強化して塊にし、野党の形も変えていく。その先頭に立ちたい。この国を変える力を集め、一緒に変えていける政治家を育てていただきたい。地方議会は、あなたが払った税金が実際にどう使われているのかについて最もわかる場所だ。心ある政治家を選んでいただき、地元に密着した問題解決の力にしてもらいたい」と呼びかけている。
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/869.html
最優先課題は岸田暴走止めること
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2023/04/post-8aeaa5.html
2023年4月 9日 植草一秀の『知られざる真実』
岸田内閣支持率は依然として極めて低い。
内閣支持率3割割れという政権崩壊秒読み状況からなんとか抜け出そうとしているが国民支持を失っていることに変化はない。
元々「何もし内閣」で行動力が欠落していた。
何を問われても「検討します」と繰り返すばかり。
「検討使」と揶揄された。
状況が一変したのは7月8日に安倍元首相が銃殺されて以降。
7月14日に岸田首相は安倍首相国葬を実施する方針を表明。
法的根拠がない、銃殺事件の背景に統一教会問題がある、憲法違反であるなどの反対論が沸騰した。
ところが、岸田首相は国葬を強行。
連動して内閣支持率が暴落した。
統一教会と安倍元首相、自民党議員の密接な関係が浮き彫りになった。
岸田首相は統一教会との関係断絶を宣言し、統一教会に対する宗教法人法上の解散命令請求を行う方向性を示唆した。
ところが、時間が経つにつれて、岸田首相が示した方針があいまい化される恐れが強まっている。
自民党と統一教会の関係遮断は地方組織において極めて不透明。
依然として関係が温存されている疑いが強い。
文科省は統一教会に対して質問権を行使しているが解散命令請求発出を具体化しない。
重要選挙が終結すると解散命令請求問題もうやむやにされるのではないか。
その心配が増している。
「何もし内閣」だった岸田内閣が安倍国葬を契機に独断専横に転じた。
軍事費倍増路線を提示。
軍事予算を激増させた。
同時に、原発稼働の全面推進方針を明示。
脱原発を完全に粉砕している。
さらに、今後の財源不足を強調。
大増税の方向性を明示した。
言語道断の岸田三原則である。
政策内容を見れば、岸田内閣が誰の意向に服従しているのかが分かる。
米国と米国に隷従する日本の官僚機構の意向に服従している。
岸田氏が看板に掲げた「聞く力」とは米国と官僚機構の命令を「聞く力」。
言い換えれば「大きな声を聞く力」だ。
岸田氏の発言は官僚が用意したペーパーを読むことと同義。
麻生太郎氏や安倍晋三氏よりは漢字を読めるのかも知れない。
岸田氏の売りは「読む力」である。
岸田氏は日本のReaderを目指しているように見える。
軍事費を倍増し、米国が極東で創作する戦争に従順に突き進む。
ウクライナにしても極東にしても、米国から遠く離れた地での戦乱勃発は米国軍産複合体にとっての朗報、吉事である。
巨大な不良在庫一掃が実現する。
戦争は米国軍産複合体の利益のために創作されている。
その戦争で犠牲になるのは戦場とされる場所に住む住民と、最前線に駆り出される末端兵士だ。
戦争を創作する者は我が身を安全な場所に置き、利益をむさぼる。
岸田首相が日本国民の利益を最優先に考えるなら、米国のための戦争創作などまっぴら御免だと突き放すべきだ。
ところが、岸田首相は嬉々として米国の命令に完全服従する。
フクシマの教訓を破棄して原発稼働に突き進むのは愚の骨頂。
政府の無駄な散財を拡張しつつ、庶民に大増税を強要することを許してよいわけがない。
岸田内閣の暴走を止めること。
まずは、これが最優先課題だ。
何をすればよいか。
4月23日投票の五つの国会議員補欠選挙で自民党系候補を落選させること。
ここに注力することに大きな意味がある。
『千載一遇の金融大波乱
2023年 金利・為替・株価を透視する』
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『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
をぜひご高覧ください。
Amazonでの評価もぜひお願いいたします。
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/870.html
維新は大阪W選でカネの話に触れず…万博予算積み増しはお得意の“後出しジャンケン”で?
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/321221
2023/04/08 日刊ゲンダイ
カネの話には触れない(現職の吉村洋文府知事と横山英幸候補)/(C)共同通信社
「責任を持って、この2025年大阪・関西万博を最後までやり切りたい」──。そう街頭演説で訴える吉村知事は、カネの話には触れようとしない。9日に投開票を迎える大阪ダブル選。情勢調査では府知事選、市長選はそれぞれ大阪維新の会公認で現職の吉村と新人の横山英幸候補が大きくリードしているが、すでにパビリオンなど万博の建設費は大きく上振れ。資材価格の高騰に加え、独創的なデザインがアダとなり、入札不成立が相次いだ結果、予定価格を最大5割も引き上げているためだ。
再入札で予定価格を引き上げたのは、開会式会場の大催事場や、各界の著名人がプロデューサーとなって建設する8つのテーマ館の一部など。
「大催事場は過去2回の入札で予定価格内の応札者はゼロ。昨年12月の2回目には予定価格を当初の47.6億円から約5割増しの約71.2億円まで引き上げたのに、誰も手を出さなかった。今月28日開札の3回目の入札では基礎工法を簡素化し、資材の使用料を減らすデザインに変えましたが、予定価格は前回より約40万円増えました」(運営主体の日本国際博覧会協会関係者)
■建設費は軒並み億単位で上昇
大催事場と同じ日に開札される映画監督・河瀬直美氏のテーマ館の再入札も、予定価格は約15.7億円で前回より5億円ほど上乗せした。こちらも約5割アップである。
1回目の入札が不成立だった計10施設の予定価格は約23億6000万円上乗せした大催事場を筆頭に、再入札では軒並み億単位で上昇。建設予算額は1850億円で国、大阪府市、経済界が3分の1ずつ負担する。暑さ対策の見直しなどで2020年に当初の1250億円から増額されたが、さらに膨らむのは必至だ。
それでも上振れの可能性について、万博協会は「(他の事業で予定価格より)低いものもあり、問題ない」(藁田博行・整備局長)と説明する。ダブル選を乗り切った途端に増額発表は許されないが、万博跡地のカジノに「税金を使わない」(松井前市長)との公言を覆し、約790億円を投入するなど「後出しジャンケン」が維新政治の歴史である。大阪の有権者はダマされることに慣れたらアカンよ!
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/871.html
「Ceasefire Now!今こそ停戦を」「No War in Our Region!私たちの地域の平和を」 G7広島サミットに向け専門家や市民が声明
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/26235
2023年4月7日 長周新聞
国際政治や紛争問題の専門家を中心とした有志が5日、G7広島サミット(5月19〜21日)を前に、G7首脳に向けてウクライナ戦争の停戦とアジアで戦争の火種を広げないことを求める声明を発表し、衆議院第一議員会館で記者会見をおこなった。以下、声明文を紹介する
「今こそ停戦を」とする声明を発表した学者や市民有志の記者会見(5日、東京・永田町)
「Ceasefire Now!今こそ停戦を」 「No War in Our Region!私たちの地域の平和を」 ――2023年5月広島に集まるG7指導者におくる日本市民の宣言――
私たちは日本に生きる平和を望む市民です。
ウクライナ戦争はすでに1年つづいています。この戦争はロシアのウクライナへの侵攻によってはじまりました。ウクライナは国民をあげて抵抗戦を戦ってきましたが、いまやNATO諸国が供与した兵器が戦場の趨勢を左右するに至り、戦争は代理戦争の様相を呈しています。数知れぬウクライナの町や村は破壊され、おびただしい数のウクライナ人が死んでいます。同時にロシア軍の兵士もますます多く死んでいるのです。これ以上戦争がつづけばその影響は地球の別の地域にも広がります。ロシアを排除することによって、北極圏の国際権益を調整する機関は機能を停止し、北極の氷は解け、全世界の気候変動の引き金となる可能性がうまれています。世界の人々の生活と運命はますますあやうくなるのです。核兵器使用の恐れも原子力発電所を巡る戦闘の恐れもなお現実です。戦争はただちにやめなければなりません。
朝鮮戦争は、参戦国米国が提案し、交戦支援国ソ連が同意したため、開戦1年と15日後に、正式な停戦会談がはじめられました。ウクライナ戦争では開戦5日目にウクライナ、ロシア2国間の協議がはじめられ、ほぼ1カ月後にウクライナから停戦の条件が提案されると、ロシア軍はキーウ方面から撤退しました。しかし、現実的な解決案を含むこの停戦協議は4月はじめに吹き飛ばされてしまい、戦争は本格化しました。以来残酷な戦争がつづいてきたのです。開戦1年が経過した今こそ、ロシアとウクライナは、朝鮮戦争の前例にしたがって、即時停戦のために協議を再開すべきです。Ceasefire Now!の声はいまや全世界にあふれています。
幸いなことに、この戦争において、穀物輸出と原発については、国連やトルコなどが仲介した一部停戦がすでに実施されています。人道回廊も機能しています。こうした措置は、全面停戦の道筋となりうるのです。中国が停戦を提案したこともよい兆候です。ヨーロッパ諸国でも停戦を願う市民の運動が活発化しています。G7支援国はこれ以上武器を援助するのではなく、「交渉のテーブル」をつくるべきなのです。グローバル・サウスの中立国は中国、インドを中心に交渉仲裁国の役割を演じなければなりません。
ウクライナ戦争をヨーロッパの外に拡大することは断固として防がなければなりません。私たちは東北アジア、東アジアの平和をあくまでも維持することを願います。この地域では、まず日本海(東海)を戦争の海にはしない、米朝戦争をおこさせない、さらに台湾をめぐり米中戦争をおこさせない、そう強く決意しています。No War in Our Region!―−私たちはこのことを強く願います。
日本は1945年8月に連合国(米英、中ソ)に降伏し、50年間つづけてきた戦争国家の歴史をすて、平和国家に生まれ変わりました。1946年に制定した新憲法には、国際紛争の解決に武力による威嚇、武力の行使をもちいることを永久に放棄するとの第9条が含まれました。日本は朝鮮の独立をみとめ、中国から奪った台湾、満州を返したのです。だから、日本は北朝鮮、韓国、中国、台湾と二度と戦わないと誓っています。日本に生きる市民は日本海(東海)における戦争に参加せず、台湾をめぐる戦争にも参加することはなく、戦わないのです。
私たちは、日本政府がG7の意をうけて、ウクライナ戦争の停戦交渉をよびかけ、中国、インドとともに停戦交渉の仲裁国となることを願っています。
2023年4月5日
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伊勢崎 賢治(東京外国語大学名誉教授・元アフガン武装解除日本政府特別代表)
市野川 容孝(東京大学教授)
上野 千鶴子(東京大学名誉教授)
内田 樹(神戸女学院大学名誉教授、武道家)
内田 雅敏(弁護士)
内海 愛子(恵泉女学園大学名誉教授、新時代アジアピースアカデミー共同代表)
梅林 宏道(NPOピースデポ特別顧問)
岡本 厚(元『世界』編集長・前岩波書店社長)
金平 茂紀(ジャーナリスト)
姜 尚中(東京大学名誉教授)
古関 彰一(獨協大学名誉教授)
小森 陽一(東京大学名誉教授)
酒井 啓子(千葉大学教授)
桜井 国俊(沖縄大学名誉教授)
鈴木 国夫(「市民と野党をつなぐ会@東京」共同代表)
高橋 さきの(翻訳者)
高村 薫(作家)
田中 宏(一橋大学名誉教授)
田中 優子(前法政大学総長)
田原 総一朗(ジャーナリスト)
千葉 真(国際基督教大学名誉教授)
暉峻 淑子(埼玉大学名誉教授)
西谷 修(東京外国語大学名誉教授)
羽場 久美子(青山学院大学名誉教授)
藤本 和貴夫(大阪経済法科大学元学長)
星野 英一(琉球大学名誉教授)
マエキタ ミヤコ(環境広告サステナ代表)
水島 朝穂(早稲田大学教授)
毛里 和子〈早稲田大学名誉教授〉
吉岡 忍(作家・元日本ペンクラブ代表)
和田 春樹(東京大学名誉教授)
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私たちは、この想いを声明にして、2023年5月19日から21日まで広島で開催されるG7広島サミットに出席する首脳たちに届けたいと考えてています。ぜひ、賛同署名をお願いします。またG7広島サミットに出席する首脳に向けて新聞広告も出したいと思っています。こちらのクラウドファンディングにもぜひご支援、ご協力、周りへご紹介ください。
■ 新聞広告「今こそ停戦を」クラウドファンディング
https://greenfunding.jp/sustena/projects/7234
■ G7サミット首脳にむけ、「#今こそ停戦を」Change署名
https://chng.it/ZrHvPh8x
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/872.html
坂本龍一氏から届いたメール。原発事故の後に世界的音楽家から頼まれた事
https://www.mag2.com/p/news/572059
2023/4/5 きっこのメルマガ まぐまぐニュース
日本を代表する音楽家として、常に世界のミュージックシーンをリードし続けてきた坂本龍一氏ですが、彼はまた社会活動家としての顔を持ち合わせていたことも広く知られています。そんな坂本氏から直接メールを受け取った経験を持つのは、人気ブロガーのきっこさん。きっこさんは今回の『きっこのメルマガ』で、福島第一原発事故の数カ月後に届いたというそのメールの内容を明かすとともに、坂本氏が音楽活動以外の行動を起こし続けてきた理由を考察しています。
【関連】「本物」だから為せる技。なぜ坂本龍一氏の作品は世界で通用するのか?
坂本龍一さんから届いたメール
疲れが溜まっていたあたしは、4月2日の日曜日、晩ごはんを食べてすぐに、夜8時頃には寝てしまいました。そして、ハッと目が覚めると、日付けの変わった深夜2時でした。あたしは基本的にショートスリーパーなので、6時間も寝れば十分なのです。そして、せっかく目が覚めたのだから朝まで原稿書きをしようと、PCを立ち上げ、ラジコでNHK『ラジオ深夜便』を選局しました。すると、ちょうど深夜2時のニュースが始まり、坂本龍一さんの訃報が伝えられたのです。
あたしは、あまりにも突然の訃報に、自分がまだ寝ぼけているんじゃないのか?と思い、急いでネットニュースを見ると、それは事実でした。坂本龍一さんの訃報は、4月2日の夜に報じられていたようですが、早く寝てしまったあたしは、この時まで知りませんでした。
1月11日に70歳で亡くなった高橋幸宏さん、1月29日に74歳で亡くなった鮎川誠さんに続き、坂本龍一さんも71歳という若さで3月28日に亡くなってしまったのです。あたしは、坂本龍一さんが癌で闘病中だったことは知っていましたし、そうとう厳しい状況であることも報道レベルで知っていました。でも、高橋幸宏さんの時もそうでしたが、どれほど厳しい状況だと聞かされても、「絶対に元気になって帰って来る!」と信じているファンにとって、訃報は常に「突然」です。
あたしは、悲しさよりもショックが大きく、とても原稿どころではなくなり、次々と流れて来るニュースやいろいろな人のコメントを読み続けました。スポーツ紙などのWEBニュースの多くは、坂本龍一さんの音楽家としての功績を讃えるだけでなく、反原発や辺野古の新基地反対、喫緊では神宮外苑の再開発を考え直すように小池百合子都知事に手紙を送ったことなど、平和や環境に対する活動家、言論人としての一面にも触れていました。
あたしが初めて坂本龍一さんからメールをいただいたのは、12年前、福島第1原発事故の数カ月後でした。2012年から『NO NUKES』という反原発をテーマにした音楽イベントを開催するので、メッセージを依頼したいという内容でした。あたしは、福島第1原発事故の何年も前から、反原発の集会やデモなどのアクションに参加したり、原発や再処理施設に反対するエントリーを『きっこのブログ』で発信していたので、それを見ての依頼でした。
訃報を伝えた記事の多くは、坂本龍一さんが普段から原発問題や環境問題に大きな関心を持ち、積極的に行動していたと好意的な書き方をしています。そして実際にも、坂本龍一さんは精力的に行動して来ました。しかし、それは、決して心から望んでの行動ではなかったと思います。自らがオーガナイザーをつとめた音楽イベント『NO NUKES』をスタートさせてから数年後、「まだ、こんなことをやっているのか?」という心無い声に対して、坂本龍一さんは次のように答えているからです。
「僕たちミュージシャンが、こんなことをやらなくてもいいような社会が来たら、すぐに止めるつもりです」
ミュージシャンたちが何の不安もなく音楽活動に専念できる世の中、誰もが安心して生活できる世の中、それが坂本龍一さんの目指していた社会でした。しかし、現実の社会は、世界最悪レベルの原発事故を起こし、その収束の目途も立たない状況で、平然と「原発推進」を口にするような者たちが国の舵取りをしています。100年もかけて育てた貴重な都心の緑を、再開発の名のもとに片っ端から伐採してしまうような者が、都知事の椅子に座り続けています。
日本を代表するミュージシャンの一人である坂本龍一さんが、たとえ「音楽イベント」とは言え、本来の趣旨とは違った方向性の活動に大切な人生の時間の何割かを消費して来たのは、すべて未来のためであり、子どもたちのためだったのです。坂本龍一さんのインスタグラムには、灰色の背景に生年月日と没年月日だけが記入され、そこに朽ち果てたピアノの画像が浮かび上がる動画が投稿されました。
坂本龍一さん、あなたからのバトン、確かに受け取りました。
本当に、本当にありがとうございました。
そして、お疲れ様でした。
心よりご冥福をお祈りいたします。
(『きっこのメルマガ』2023年4月5日号より一部抜粋・文中敬称略)
image by: Matteo Chinellato / Shutterstock.com
きっこ この著者の記事一覧
「きっこのブログ」のメルマガ版です。ブログと同様に、政治や芸能から文学やお料理、流行やファッションから日々の出来事まで、多岐にわたって綴って行きますが、よりディープに攻めて行こうと思っています。
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/873.html
「中国軍の工作だ!」自衛隊ヘリ事故、現地で流布する“陰謀論”尖閣問題が身近ゆえの島民たちが持つ「疑い」
https://smart-flash.jp/sociopolitics/230338
2023.04.09 19:48 FLASH編集部 Smart FLASH
消息が不明になったヘリに搭乗していた坂本雄一陸将(写真・時事通信)
ヘリの一部と思われる漂流物が発見されている(写真・アフロ)
4月6日に発生した、陸上自衛隊ヘリコプターの“消失”から3日。いまだ、同ヘリに搭乗していた第8師団長の坂本雄一陸将はじめ、幹部ら10人の行方は分からないままだ。
「宮古島周辺で突然、ヘリがレーダーから消えました。その2分前まで通信がおこなわれており、救難信号も出ていないため、『急に何かが起きた』としかいえない状態です。自衛隊は、潜水艦救難艦や300人規模での陸上での捜索などもおこなっていますが、まだ10人を見つけられていません。回転翼や燃料タンクらしき漂流物だけが発見されている状況です」(週刊誌記者)
【関連記事:シャインマスカット中国流出「損失100億円」で蒸し返される「柴咲コウ」の名前】
森下泰臣陸上幕僚長は、6日の夜に記者会見で「当該期の燃料枯渇、および発見された機材から総合的に判断し、航空事故と概定した」と、今回の事件を事故だと断定している。
しかし、現場となった宮古島の島民の間では、別の説がささやかれているという。
「何も証拠があるわけではありませんが、中国軍の工作員がレーザーを使ったり、あらかじめ、ヘリに工作をするなどして、“撃墜した”のではないか、とみんなで話し合ってます。今回、事故が起きたUH60ブラックホークは、米軍を中心に、世界中で愛用されている定番のヘリ。機械トラブルが原因による事故とは思えません。昼間で、天候が荒れていたわけでもないし、やはり何かあったんじゃないかと……」(宮古島で居酒屋を営む店主)
一方、陸上自衛隊の現役隊員は冷めた見方をしている。
「公式発表どおり、何かの事故でしょう。もし撃墜されたとなれば、もっと騒がしくなるはずですが、上層部が事故以外のことにあわてている様子はありません。パイロットの空間識失調の可能性がいちばん高いのではないでしょうか。パイロットが、自分の操作している航空機がどんな高度で、どういう状態にあるのか分からなくなってしまう現象です。フライトレコーダー(飛行記録装置)やボイスレコーダー(音声記録装置)が見つかれば、もう少し事故の概要もわかるでしょう。いずれにせよ、10人の発見を祈ります」
陸自トップの発表に逆らう“陰謀論”が、なぜ現地で流布しているのか。
「そもそも、宮古島、石垣島、そして与那国島の人たちは、沖縄本島や内地の人たちと感覚が違いますから。尖閣諸島が身近にあって、中国海警局の船を目撃した人たちもたくさんいるんですよ。台湾有事になったら、絶対に巻き込まれるという感覚があります。だから、今回の件も真っ先に中国を疑ってしまうんです。恐ろしいし、早く解明してほしいですよ」(前出・居酒屋店主)
少しでも早く、搭乗者10人が発見されることを願いたい。
( SmartFLASH )
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/874.html
政治学者・五野井郁夫氏 山上徹也被告の全ツイートを言説分析して見えてきたドロっとしたもの 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/320822
2023/04/03 日刊ゲンダイ
五野井郁夫(高千穂大経営学部教授)
高千穂大経営学部教授の五野井郁夫氏(C)日刊ゲンダイ
統一地方選の幕が上がり、岸田政権に中間評価を下す衆参5補選の同時実施が迫る中、上梓された「山上徹也と日本の『失われた30年』」が話題だ。昨夏の参院選の最中に噴き出した自民党と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着はいまだ解明されていない。憲政史上最長政権を率いた元首相はなぜ銃口を向けられたのか。山上徹也被告の全ツイートを言説分析し、事件の背景に迫ったのが著者のひとりである政治学者だ。被告と同世代、宗教2世の共通点を持つ。何が読み解けたのか、聞いた。
◇ ◇ ◇
──被告のものとみられるツイッターアカウント「silenthill333」は、事件発生8日前まで992日にわたり、1364件(リツイートを含む)のツイートをしていました。なぜ言説分析を試みたのですか。
事件の第一報に触れた時に、映画「ジョーカー」型の犯罪ではないか、という直感があったんです。社会的、あるいは経済的に追い詰められ、何も失うものがない「無敵の人」による犯行ではないかと。取り掛かるきっかけになったのは、共著者の池田香代子さんとの対談、それに成蹊大の伊藤昌亮教授が事件発生からおよそ1カ月後に発表した調査です。被告のツイート1147件(リツイートは除外)を統計的手法で分析し、頻出語をカウント。「憎悪度」「嘲笑度」を抽出したところ、「安倍」「統一教会」などよりも「女」「差別」などの出現率が高かった。伊藤教授の分析によって、被告の観念の連合のようなものがあぶり出されたのです。そこからもう一歩踏み込んで、なぜ被告はその言葉に思いを込めたのか、なぜその言葉を使わざるを得なかったのか。旧統一教会に対する恨みだけではない、宗教2世が抱える苦しみだけでもない、元首相に対する失望だけでもない。もっともっとドロッとしたものが見えてくるんじゃないかと考えた。言説分析は本人の悩みをすくいあげる有用な方法なのです。
──どんなものが見えましたか。
ツイートを通じて浮き彫りになったのは、「失われた30年」がこの国にもたらした宿痾です。被告でなくても、誰かが暴発する可能性はあった。被告の場合は旧統一教会が引き金になりましたが、そうではない動機で凶行に走るパーソナリティーがあちらこちらに潜在し、ちょっと針でつついただけで破裂しそうな何かがこの社会にはあるのではないか。現代日本の世代論に思い至りました。
ロスジェネに影を落とす「インセル」問題
山上徹也被告の初公判は2024年の見通し(C)日刊ゲンダイ
──被告はロスジェネ世代。母親が旧統一教会に入れ込んだことから経済的事情で大学進学を諦め、任期制自衛官として3年間、海上自衛隊に勤務。その後、非正規雇用で職を転々としていたとみられる時期に〈残念ながら氷河期世代は心も氷河期〉(2021年2月28日)とつぶやいていました。
ロスジェネ世代の男性をめぐっては、「インセル」(involuntarily celibate=非自発的単身者)という問題が影を落としています。恋愛やセックスの相手を欲しているもののかなわず、その原因は女性側にあると考える女性蔑視主義者一般を指し、「非モテ」とも呼ばれます。反フェミニズム、ミソジニーの傾向が強い。
──新自由主義によって低賃金の非正規雇用が拡大し、その流れで生じた歪みのひとつですね。
ですが、現実を見れば、女性の権利は弱く、社会的地位は低いまま。2022年の日本のジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム公表)は146カ国中116位です。にもかかわらず、男性は自分たちが力を失っていると感じている。とりわけ中年男性、つまりロスジェネ世代が精神的に追い詰められている。被告のツイートも「女」「女性」への言及が非常に多かった。ただ、〈ええ、親に騙され、学歴と全財産を失い、恋人に捨てられ、彷徨い続け幾星霜〉(19年10月23日)というツイートからは、かつては恋人がいたけれど、そうした時期からは長い年月が経ったと読み取れる。被告はいわゆるインセルではないものの、インセルという単語に一定の思い入れがあり、フェミニストに反論を試み、ミソジニーと言われても仕方のない書き込みもしていましたが、本音のところでは家庭に憧れ、人間的な愛に飢えていたのだと思います。
──〈この人達は異性からの愛が皆無でも今の自分があったと言えるのだろうか?インフラなんだよ。一定以上豊かに生きるための。これを理解しない限りキリスト教的素地のない日本人は行きつくところまで行く。愛は必ずしもセックスを意味はしない〉〈金が金を産む資本主義社会においても最も金が必要な脱落者には最低限の金が与えられるが、何故かこの社会は最も愛される必要のある脱落者は最も愛されないようにできている〉(いずれも20年1月21日)などとも連投していました。
東大大学院医学系研究科のグループの分析で、年収が多いほど子どもがいる人の割合が高くなる傾向があることが分かっています。とりわけ、男性は高学歴・高収入であるほど子どもを持つ割合が高い。この30年間の賃金がOECD(経済協力開発機構)諸国並みに上がっていれば、被告も恋愛をして、家庭を築いていたかもしれない。まさに日本社会がぶち当たっている問題です。再分配や賃金政策がうまくいかなかったゆえに、結婚適齢期を逃した一定層がいる。被告はそのひとりで、本人だけの問題ではありません。
ふと見つめた手にあったものは…
──「失われた30年」は賃金が横ばいだっただけでなく、労働者の4割を非正規雇用が占めるようになりました。
その弊害は、ロスジェネ世代ばかりでなく、ミレニアル世代やZ世代にも及んでいます。40代に差し掛かるまでは頑張れても、次第に体力的にキツくなってくる。仕事の口がどんどん心細くなっていく中で、自尊心をどう保つか。被告のツイートには「尊厳」「プライド」といった言葉も多く出てきます。「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ」という石川啄木の歌がありますが、ロスジェネ世代には花をともに楽しむ妻はいない。「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」という心持ちで何とかやってきて、ふと見つめた手は何もつかめておらず、数々の資格を取ったけれども徒労に終わった。それが被告の胸の内だったのではないでしょうか。
新自由主義の内面化による自己貫徹
──事件を起こす1カ月ほど前に〈もう何をどうやっても向こう2〜30年は明るい話が出て来そうにない〉(22年6月12日)とツイートしています。
生活が足元から崩れていく中、尊厳を失わないうちに行動を起こした。自身を追い詰める以外に選択肢を持ち得ないように育ってきてしまったがゆえではないでしょうか。新自由主義を内面化した人は、自己責任を貫徹しようとしますから。
──どういうことですか?
そもそもがおかしな主張なのですが、新自由主義の信奉者は社会の構成員に過ぎない個人個人に「経営者マインドを持ちなさい」とけしかけ、「一国の首相のようにリーダーシップを持ちなさい」と説いた。その結果、新自由主義にのみ込まれた人は社会による救済を求める弱者になることを嫌う。被告は自分の半生も、事件を引き起こすことも、宗教2世として背負わざるを得ない「運命」だと自己規定してしまったのでしょう。ですが、被告が直面した問題は、旧統一教会をめぐる問題にしろ、経済的な問題にしろ、社会全体で考え、政治が解決すべき問題であり、孤独に抱え込む必要はなかった。東大の内田隆三名誉教授が著書「社会学を学ぶ」で〈運命なら決まっていて、ただそれを受け入れるしかない。だが、社会なら、未決定〉と喝破していますが、個人に降りかかる問題が社会に起因するとみれば解決の術はある。裏を返せば、政治が人々の暮らしにしっかりと向き合わない限り、ロスジェネ世代による事件はこれからも続くと思います。
*インタビューは【動画】でもご覧いただけます。
(聞き手=坂本千晶/日刊ゲンダイ)
▼五野井郁夫(ごのい・いくお) 1979年、東京都生まれ。東大大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、立教大助教を経て現職。専門は民主主義論、国際秩序論。「立憲デモクラシーの会」の呼びかけ人も務める。著書に「『デモ』とは何か 変貌する直接民主主義」など。
■独文学翻訳家の池田香代子氏との共著「山上徹也と日本の『失われた30年』」(集英社インターナショナル)では、カトリックの宗教2世としての自身の背景にも言及している。同書は、山上被告が事件前にジャーナリストに送った犯行を示唆する手紙に自身のツイッターアカウントとして記していた「silenthill333」(ユーザー名:@333_hill)で投稿されたツイートをもとに分析、検討したもの。
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山上徹也の全ツイートを言説分析し読み解けたものとは <五野井郁夫・注目の人直撃インタビュー>
2023/04/03 日刊ゲンダイ
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/875.html
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