サミットに習・プーチン両氏招くべき
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2023年3月25日 植草一秀の『知られざる真実』
中国の習近平主席はウクライナとロシアの停戦を模索するためにロシアを訪問し、プーチン大統領と協議した。
岸田文男首相はウクライナを訪問して「必勝しゃもじ」を贈呈した。
岸田氏は停戦を模索するためではなく、戦勝祈願のために訪問した。
こう受け取られる。
国際社会がいま注力するべきことは戦乱の終結。
戦乱の拡大ではない。
戦乱が生じたのには理由がある。
何もないところに、突然ロシアが攻め入ったわけではない。
ウクライナは異なる民族が同居する複雑な事情を抱える。
ウクライナ民族主義勢力が暴力革命で政権を転覆して新政府を樹立。
この新政府がロシア系住民に対して人権侵害、虐待行為を実行した。
ロシア系住民が立ち上がり、内戦が勃発した。
内戦を終結させるためにミンスク合意が締結された。
合意は国連安保理で決議され、国際法の地位を獲得した。
ウクライナ政府が誠実にミンスク合意を履行していれば問題は解決した。
しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は米国の誘導に乗ってミンスク合意を踏みにじる行動を示した。
その結果としてロシアが特別軍事作戦を始動させた。
このような経緯がある。
ロシアが一方的に悪いということでない。
国際社会は戦乱が終結することを最優先の課題に位置付けて努力を注ぐべきだ。
しかし、米国は異なる対応を示してきた。
ウクライナへの軍事支援を行い、戦乱の拡大、長期化を誘導してきた。
戦乱の拡大と長期化は米国軍産複合体の利益になる。
軍産複合体の利益のためにウクライナを利用している。
ゼレンスキーはウクライナ国民の利益など考えていない。
ただ一つ、考えていることは、自分の利益。
ゼレンスキーが戦乱の拡大と長期化を目指しているために、多数のウクライナ国民が犠牲になっている。
平和憲法を持つ日本はウクライナを訪問して、停戦を呼びかけるべきだ。
停戦=平和である。
まずは戦乱を終息させること。
これが最優先の課題だ。
ところが、岸田首相が土産に持参したのは「必勝しゃもじ」。
戦乱を鼓舞するもの。
「戦争に勝ちも負けもない、あるのは滅びだけだ。」
長崎原爆被爆者で妻を原爆で失い、被爆者の救済に命を捧げた永井隆博士が遺された言葉。
被爆地広島を本拠とする岸田文雄氏は永井隆博士の言葉をどう受け止めるのか。
ウクライナの軍事行動を鼓舞して、何を目指すのか。
必勝悲願など戦争推進者の行動でしかない。
広島サミットにゼレンスキーをリモート参加させるなら、プーチン大統領もリモート参加させるべきだ。
サミット議長国としてプーチン大統領とゼレンスキー大統領の対話を促すべきだ。
ゼレンスキーに必勝しゃもじを贈っているようではゼレンスキーとプーチンの対話促進など夢のまた夢。
ウクライナで人権状況を調査している国連の人権監視団がロシアとウクライナ双方を拷問や虐待の行為で批難した。
日本のメディアは「ロシアが悪い」としか報じないが、ロシアもウクライナも変わらない。
2014年にウクライナで親ロシア政権が暴力革命によって転覆された。
樹立された非合法政府はロシア系住民に対する人権侵害、虐待行動を展開した。
このことは、アムネスティー・インターナショナルや国連人権監視団の多数の報告で明らかにされている。
ロシアは人権侵害や虐待行為に苦しめられているロシア系住民の安全を確保するために、独立を宣言した東部2共和国の要請によって特別軍事作戦を始動させた。
歴史的経緯、ロシア・ウクライナ双方の軍事行動を正確に捕捉し、事実を伝えることが重要だ。
戦乱を終息させ、対話によって解決策を見出すことが重要。
しゃもじを贈るのではなく、戦争終結に向けての提案を示すことこそ求められている。
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