余裕があれば困っている人にカネを、反対に困っているときは遠慮なくもらえばいい 適菜収「それでもバカとは戦え」
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2023/02/18 日刊ゲンダイ
トルコ南部カフラマンマラシュ、地震発生から約140時間後に救出される男性(C)ゲッティ=共同
「情けは人のためならず」という言葉がある。一部で誤解されているように「情けをかけて助けるのは、結局はその人のためにならない」という意味ではない。人に対し情けをかけておけば巡り巡って自分によい報いが返ってくるという意味だ。
私は昔からよく寄付をしていた。カネがなくても小銭を寄付した。2011年3月の東日本大震災のときは、1カ月分の収入を全部寄付した。その話を当時SNSのミクシィに書いたら、賛同して日本赤十字社などに寄付してくれる人も出てきた。ついでに私の本を買ってくれる人もいた。情けは人のためならずである。
もちろん見返りがなかったとしても、余裕がある人は困っている人にカネをあげてしまえばいいと思う。反対に困っているときは遠慮なくもらえばいい。
しかし、日本には寄付文化は根付いていない。「寄付白書2021」(日本ファンドレイジング協会)によれば、20年の日本の総寄付金額は1兆2130億円だが、アメリカは34兆5948億円。人口を考慮してもかなりの開きがある。
トルコ南部のシリア国境近くを震源とする大地震では確認された死者数がトルコとシリア両国で4万人を超えた。がれきの下に取り残された人の捜索活動は続けられているが、時間の経過により生存者発見の確率は低くなる。
国連人道問題調整室(OCHA)のグリフィス室長(事務次長)は救助の段階は「終わりに近づいている」と述べ、被災者に対する住居、食料、学校教育の提供に重点が移っていると述べた。また、トルコの災害・緊急事態管理局によると、16万人が避難を余儀なくされている。
アメリカからポンコツの武器を買う余裕があるならその分をトルコに回せとでも言いたくなるが、政府が災害援助をやっていないわけでもない。だとしたら足りない部分はわれわれ国民が払えばいい。在日トルコ大使館は義援金を受け付ける銀行口座を開設した。振込先は三菱UFJ銀行渋谷明治通支店の普通預金3195717。口座名義は「TURKISH EMBASSY」。
振り込むのが面倒なら、コンビニ店頭の災害支援の箱に持っている小銭を全部入れてしまえばいい。それが最終的に日本の国益につながる。情けは人のためならず。
適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中
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