奈良県知事選“自滅”の高市早苗県連会長に党内冷ややか…調整力不足で自民分裂
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2023/02/21 日刊ゲンダイ
自らまいた種に(高市早苗経済安保担当相)/(C)JMPA
4年に一度の統一地方選で4月9日投開票の9道府県知事選の告示(3月23日)まで約1カ月。徳島、奈良では自民党が候補者を一本化できず、分裂選挙になる見込みだ。
徳島では誰が勝っても自民系に変わりはないが、奈良では分裂に乗じて日本維新の会が勝利をおさめる気配があり、注目を集めている。
奈良県知事選は、5選を目指す現職の荒井正吾知事(78)と、高市経済安保担当相が総務相時代に秘書官を務めた元総務官僚の平木省氏(48)が自民県連に推薦を要請。県連会長の高市氏の判断で平木氏の推薦を決定した。
ところが荒井知事は、「自民の推薦がなくても出る」と出馬を表明。事実上の選挙戦をスタートさせている。維新は公認候補として前生駒市長で弁護士の山下真氏(54)を擁立した。
「現職には多選批判もあり、維新に勝つためには若い候補者を立てるべきだという意見が多かった。本来は党本部もスンナリ平木氏に推薦を出すはずでした。候補者を一本化できずにこじれてしまったのは、高市さんの根回し不足が原因です」(地元関係者)
「ポスト岸田」から完全に脱落
新春会見で、奈良県知事選への出馬を表明した荒井正吾知事(C)共同通信社
元海上保安庁長官で参院議員を務めた後に奈良県知事に転身した荒井は、中央政界と独自の太いパイプを持つ。
「県連は平木氏の推薦を党本部に上申しているが、荒井知事は二階元幹事長や古賀誠元幹事長らの支持を得て党本部に働きかけ、巻き返しをはかっている。県連会長に昨年なったばかりの高市氏にとっては初の大型選挙で、その手腕が問われますが、党本部の推薦は中ぶらりん状態です。二階氏と親しい森山選対委員長は調整に乗り出す気配がないし、“ポスト岸田”をうかがう茂木幹事長も、高市氏が自滅してくれれば都合がいいと考えているのか、静観の構えです」(自民党ベテラン議員)
18日に地元で開かれた後援会の会合で、荒井知事は、党本部の推薦について「向こう(平木氏)にも出す動きがない」と話していたという。
このまま分裂選挙に突入すれば、維新にとっては有利な展開になりそうだ。
「維新に知事を取られるようなことになれば、県連会長の責任問題に発展する。かといって、候補者一本化のために自身の秘書官だった平木氏を降ろしても求心力を失う。どちらに転んでも評価を下げるだけで、総理候補からは脱落です。選挙の勝敗以前に、この段階で政治力不足を露呈してしまいましたが、党内に同情する声はなく、支える人もいない。安倍元首相の後継者をアピールして、岸田政権の方針に突っかかっていた高市氏のことは総理周辺も快く思っていないでしょうから、高市氏の窮地は自らがまいた種だと、冷ややかに見ているのではないでしょうか」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
昨年末に岸田首相が防衛増税を表明した際は猛反発し、「一定の覚悟を持って申し上げている」と威勢の良かった高市氏が最近やけにおとなしい。“高市潰し”の包囲網で足元がグラグラの焦りからなのか。
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