記事 [政治・選挙・NHK289] 日米首脳会談、同盟の深化方針で一致 岸田首相は敵基地攻撃能力保有などを説明、バイデン氏は防衛力強化を歓迎(東京新聞)
2023年1月14日 21時30分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/225268?rct=world
【ワシントン=浅井俊典】岸田文雄首相は13日(日本時間14日未明)、米ホワイトハウスでバイデン大統領と会談した。両首脳は共同声明で、日本が保有を決めた敵基地攻撃能力(反撃能力)の開発と効果的な運用に向けた協力の強化を表明した。覇権主義的な行動を強める中国への対応などで日米の安全保障戦略が同じ立場をとることを確認し、日米同盟をより深化させる方針で一致した。
首相のワシントン訪問は2021年10月の就任後初めて。会談は昼食を交え、約2時間に及んだ。
首相は会談の冒頭、敵基地攻撃能力の保有など防衛力の強化や防衛費の大幅な増額の方針を説明した。中国などを念頭に「両国はかつてないほどの厳しい、複雑な安全保障環境の中にある」と述べ、「新たな方針が日米同盟の抑止力、対処力を強めることにつながる」との考えを示した。
バイデン氏は日本の抜本的な防衛力強化の方針を歓迎。「米国は日本の防衛について全面的に責務を果たす」と強調し、日本の新たな国家安全保障戦略を踏まえて「同盟の現代化を進める」と述べた。敵基地攻撃能力発動時の使用を想定して米国製巡航ミサイル「トマホーク」を配備する日本の計画に、強い支持を表明した。
中国が軍事的圧力を強める台湾情勢では、海峡の平和と安定の維持の重要性を強調し、平和的解決を促した。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を巡っては、完全な非核化実現に向けた努力を続け、拉致問題の解決に米国が協力することを確認した。ウクライナに侵攻するロシアに対しては、力による一方的な現状変更の試みや核兵器の使用に強く反対する姿勢を示した。
経済安全保障分野では、半導体をはじめ重要物資の安定調達に向け連携し、日米両国の優位性を確保するとした。サイバーや宇宙の分野で、新たな脅威に対応するための協力も進める。
日本が議長国を務める5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)については、首相が被爆地・広島から「核なき世界」の実現に向けたメッセージを発信したい意向を示し、バイデン氏に協力を求めた。
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◆極まる日米軍事一体化 共同で敵基地攻撃など「実戦」想定へ
岸田文雄首相は13日のバイデン米大統領との首脳会談で、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有や防衛費の大幅増を含む防衛力の抜本的な強化方針を伝えた。今後、日米共同での相手国領域への攻撃など「実戦」段階の具体的協議に入る。集団的自衛権の行使容認など安倍政権から進んできた日米の軍事一体化が極まった形だ。周辺国との緊張の高まりに軍事力で対抗する姿勢一辺倒で、平和的な外交を通して危機を乗り越える議論は見えない。
首脳会談の共同声明では敵基地攻撃能力について「効果的な運用について協力を強化する」と明記した。軍拡を進める中国や北朝鮮を念頭に、敵基地攻撃を組み込んだ日米の共同作戦計画の見直しを急ぐ。射程1600キロの米国製ミサイル「トマホーク」の購入でも合意した。
自衛隊と米軍は指揮統制機能も含め、運用の一体化を加速させる。相手国領域内の軍事拠点にミサイルを撃ち込むのに必要な情報把握で米国に協力を仰ぐ。日本が常設の「統合司令部」を創設することを米側は歓迎する。
近年のワシントンでの日米首脳会談では、軍事面での協力の深化を確認してきた。安倍政権当時、歴代政権が「憲法上許されない」としてきた集団的自衛権の行使を認めることなどを米側に伝達。菅政権でも台湾に圧力を加える中国に日米で対抗する姿勢を明確にした。今回は、相手国の領域内への攻撃という「実戦」を想定した一体化に踏み出すことを確認した。
ただ、日米の軍事一体化は周辺国との軍拡競争を誘発し、日本が米国の戦争に巻き込まれる危険をはらむ。敵基地攻撃能力を保有しても、相手国からの攻撃を全て防げるとは限らない。
安全保障に詳しい流通経済大の植村秀樹教授は「日本は力を誇示しようとする米国に対し、中国や北朝鮮との間に入り外交的努力をする姿勢を示すべきだが、首脳会談では一切見られなかった。米国に追従するのではなく、日本は米中の緊張緩和を働きかけるなど外交に力を入れるべきだ」と指摘した。 (川田篤志)
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2023年1月15日08時06分 〜
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