永岡文科相はもう日和っているのか…旧統一教会「調査」に“防衛線”で問われる本気度
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2022/10/23 日刊ゲンダイ
怪しい本気度(永岡文科相)/(C)日刊ゲンダイ
「年内のできる限り早いうちにできるよう進めていく」──。宗教法人法に基づく旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する「報告徴収・質問権」の行使について、永岡文科相は21日、改めてそう強調した。担当課である文化庁宗務課の体制を強化するなど「やる気」を見せてはいるものの、本気度はまだまだ怪しい。
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宗務課は常勤職員が庁内最少の8人。遅くとも年内に解散命令に該当する疑いがある場合などに行使する質問権を用いるかどうかも含めて判断し、調査に乗り出さなければならない。文科省は弁護士資格を持つ職員など、他省庁からの派遣も含め20人強まで人員を増やす方針だ。
文化庁は来週25日、前例のない質問権行使の基本的な考え方や基準の策定に向け専門家会議を開く予定だ。議論を踏まえて事務方が質問を作成し、宗教法人審議会に質問内容の原案を諮る。こうしたプロセスを経て、ようやく調査にたどり着く。
専門家会議と審議会は別の会議体だが、中身は同じ。宗教関係者や学識者で構成される審議会メンバー計19人が、そっくりそのまま専門家会議のメンバーとして委嘱される。つまり、同じメンツが質問権行使の基本的な考え方を議論し、どんな質問をすべきかの判断に関わるのだ。
文化庁文化部長などを歴任した元文部官僚の寺脇研氏(京都芸術大客員教授)がこう言う。
「別の会議体のメンバーがまったく同じなのは異例です。恐らく専門家会議をイチからつくる余裕がないから、審議会メンバーに委嘱したのでしょう。審議会の中には、信教の自由を守る観点から、宗教法人の関係者もいれば、宗教とは関わりのない学者もいる。それぞれの立場から、『こういう質問を聞いた方がよい』『聞かない方がよい』などの意見が出てくるでしょう」
「質問権の行使だけではあまり意味がない」
宗教法人法で定められた審議会への諮問に対する答申を無視するわけにはいかないが、永岡文科相は「審議会でダメだと言われれば、なかなか難しい」と言い始め、日和っているようにも見える。質問権の行使に関して、審議会の答申はどの程度の影響力があるのか。文化庁に聞いた。
「諮問した結果、質問権の行使の可否に関する意見が出ないとは限りません。一般論として言えば、条文上は審議会に〈意見を聞かなければならない〉とされていますが、審議会で『行使しない方がよい』との意見が出た場合でも、理論上は所轄庁が決定権を持ちます。ただ、あくまでも理論上の話であり、意見は考慮しなければならないと考えています」(宗務課)
つまり、質問権行使の最終決定権は文化庁にあるが、審議会の意見次第では「行使しない」という選択に傾くこともあり得るということだ。
「仮に行使しても、それだけではあまり意味がない。結局は岸田政権が政治判断を下し、旧統一教会に対する宗教法人解散命令を請求できるかどうかに尽きます」(寺脇研氏)
法的手続きはもちろん重要だが、そもそも請求に及び腰の政権が質問権すら行使しなければ、腰砕けもいいところ。ただの時間稼ぎは通用しない。
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