安倍氏国葬で「得をしたのは菅前首相だけ」 弔辞がSNSで大絶賛、評価うなぎ上りの想定外
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2022/09/28 日刊ゲンダイ
たどたどしさが「実直」に(弔辞を述べる菅前首相)/(C)JMPA
絶賛の嵐だ。27日の安倍元首相の国葬で友人代表として弔辞を読んだ菅前首相。「原稿棒読み」の印象が強く、周囲も気をもんでいたが、予想に反する“名スピーチ”に菅氏の評価はうなぎ上りである。
「あなたにお目にかかりたい、同じ空間で、同じ空気を共にしたい」
菅氏は自ら原稿を書いたという弔辞の冒頭で安倍氏の銃撃直後、搬送先の病院に駆けつけた当時の心境をそう振り返り、「あなたならではの温かな、ほほ笑みに最後の一瞬、接することができました」と続けた。
これが弔辞でなければ、たどたどしいオッサンの恋文のようだが、ツイッターでは《恋人に送る言葉の様に優しく、美しい》《愛しい人を失った深い深い哀しみが伝わってきてた》と高評価。訥々とした口調も《実直な部分がにじみ出てウルっとなった》なんてツイートされているから何が幸いするか分からない。
「日本よ、日本人よ、世界の真ん中で咲き誇れ。これが、あなたの口癖でした」と“ホンマか?”と首をかしげたくなる述懐もあったが、「覚悟と決断の毎日が続く中にあっても、総理、あなたは常に笑顔を絶やさなかった」と涙をこらえ、声を詰まらせながら回顧。喪服姿の昭恵夫人が追悼の辞を聞きながらハンカチで涙を何度も拭う姿も相まって、菅氏に感動を伝える書き込みが続出した。
安倍氏の読みかけの本に、ここまで読んだと端を折ったページ。マーカーペンで印をつけた箇所にあった山県有朋が盟友・伊藤博文の死を悼んだ歌「かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」──「この歌くらい、私自身の思いをよく詠んだ一首はありません」というデキ過ぎた展開でも追い風は収まらない。
紹介した本はアマゾン1位に
菅氏が紹介した岡義武著「山県有朋」(岩波文庫)は弔辞の後、大手書店で売り切れ続出。アマゾンの売れ筋ランキングでも突如1位に躍り出て、早くも「ガースー感動効果」が表れている。
「6割の国民が反対する空虚な儀式を象徴するように、形式的で口先だけの岸田首相の弔辞の後でしたからね。多くの人々が冷ややかな目で見ていただけに、情に訴え、気持ちのこもった菅さんの弔辞は余計に良く映ったのでしょう。結局、国葬強行で得をしたのは唯一、菅さんのみ。混乱と分断を招いた岸田首相の責任が問われます」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
ここまで再評価されると、菅氏が安倍氏を銀座の焼き鳥屋で口説いたように党内から首相再登板を求める声が上がりかねない。菅氏は今後の政界を「いかにせむ」と考えているのか。
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