英国と日本の国葬に彼我の差…自然と湧き上がったものと、無理やりつくられたものとの違い ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/311735
2022/09/22 日刊ゲンダイ
エリザベス女王の国葬(C)共同通信社
毎日新聞の世論調査で、岸田内閣の支持率がついに29%と3割を下回った。他のメディアではもう少しマシだが、平均しても30%台前半でいよいよ危険水域である。原因はいっこうに究明できない統一教会問題と、円安に物価高、そして岸田さんの思いつきで始まった安倍元総理の国葬問題だ。
検討ばかりで「検討使」と呼ばれる岸田さんには珍しく即断即決したが、法律上に規定のない、それでいて国会の承認も得ない国葬を閣議決定だけで決めてしまい、しかも国民の税金を投入するとあっては、予想以上の反発に遭い、今や国民の60%が反対だ。先日も「国葬反対」のデモが行われ1万3000人もの人が集まった。岸田さんの「聞く力」は国民の3分の2の意見も聞こえないのだろうか。
そこにエリザベス女王が崩御された。ちゃんと「国会の承認を得た」品があり、しかも華美ではない国葬が、各国のVIPを招いて厳粛に開かれたのだ。これはどうしても比べてしまう(と言っても比べるのは日本人だけだろう。他国の人は興味もないだろうし見もしないだろうから)。
賛成派には、国葬と葬儀をすり替え「黙って手を合わせてりゃいい」とか「静かに送ることもできないのか」とか「故人にムチ打つな」という意見もあるが、葬儀はすでに行われている。そこには野党議員も皆参列し、国民も多数記帳に参列した。荼毘(だび)に付され戒名もついた。だから国葬儀は葬儀ではない。お別れの会である。逆に、だったら目くじら立てて反対するなという向きもあろうが、それなら余計に国会を開き承認を得ればいい。その時間は十分あった。
エリザベス女王の国葬の弔問客は約2000人、そのうち国王級VIPは500人。ウェストミンスター寺院の式からウィンザー城へ移動して埋葬までは9時間かかったが、式次第は1時間であった。
安倍元総理国葬儀は弔問客6000人(予定)要人は700人。式次第は5時間。その間、給水所の水しか飲めない。
日本の方が規模が大きそうだが果たしてどうなるのか。文化人らにも招待状が送られているらしいが、翻ってイギリスでは、あのデビッド・ベッカムは一般客と一緒に14時間列に並んで弔問した。
まあ、国王と、首相経験者とはいえ、いち国会議員。お国柄も違うので比べても仕方ないかも知れないが、自然と湧き上がったものと無理やりつくられたものとの違いは、おのずとはっきりするのではないか。
ここで、そもそも最初にこのコラムで取り上げた、あの朝日川柳をもう一度思い出してみよう。
「疑惑あった人が国葬そんな国」
「死してなお税金使う野辺送り」
「利用され迷惑してる『民主主義』」
「ああ怖い歴史はこうして作られる」
「国葬って国がお仕舞いっていうことか」
これ、もう2カ月前ですよ。結論が早かったなあ。少しも間違えてない。
そりゃ、反対60%いくわな。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。
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