下村博文と山谷えり子の反論の嘘! 下村が陳情を受けたのは明らかに統一教会系団体、山谷も「避妊を教えると家庭を壊す」と過去に明言
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2022.09.21 統一教会問題で下村博文と山谷えり子の呆れた開き直りと嘘 リテラ
左・下村氏/右・山谷氏(自民党HPより)
メディア各社の世論調査で軒並み支持率が急落している岸田政権。18日に公表された毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査結果では、岸田内閣の支持率は前回より7ポイント下落の29%。自民党の支持率も23%となっている。
参院のドンと呼ばれた青木幹雄・元自民参院議員会長はかつて “内閣支持率と与党第1党の政党支持率の合計が50%を割るとその政権が倒れる”という「青木の法則」を唱えたとされるが、今回は内閣支持率29%+自民党支持率23%=52%だから、岸田政権は政権崩壊寸前の危険水域にあるということになる。
無論、この背景にあるのは、世論を無視して安倍晋三・元首相の国葬を押し切ろうとしている点、そして自民党が実施した統一教会と党所属議員との関係についての「点検」がお手盛りだった点が響いていることは言うまでもない。
しかし、それでもなお自民党に反省の色はまったく見られない。いや、反省どころか、統一教会問題では、とりわけ関係が深いと見られている下村博文・元文科相と山谷えり子・元国家公安委員長という閣僚経験者2人が、メディアの追及報道に逆ギレ。下村氏にいたっては抗議までおこなっている始末だ。
しかも、下村氏と山谷氏の反論には、正当性もへったくれもない。
まず、下村氏の場合。自民党が公表した「点検」結果では、統一教会との関係について「寄付もしくはパーティー収入あり」という項目でしか名前が出てこない下村氏だが、それどころではない関係を14日配信の「文春オンライン」および15日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が報道した。
衆院選を目前に控えた2021年10月9日、下村氏は板橋区立グリーンホールで「国政報告会」を開催したが、同じ場所でその直後におこなわれたのは、統一教会および国際勝共連合の関係者である青津和代氏の講演会だった。その講演会で青津氏は、下村氏との関係や陳情の裏話を、こう語っていたというのだ。
「私も十数年前から先生とご縁を持たせて頂きまして」
「選挙のたびに、マニフェストに載せていただくように。『青少年健全育成基本法』と『家庭教育支援法』は、何としても自民党が達成して頂きたいということで。政調会長室に今回も伺いましたし、議員会館の方にも伺いました」
「総裁選の(出馬断念を)先生が発表される前々日くらいにお伺いしたんですよね。政調会長室にお伺いしたときにですね、事務方の秘書を呼びつけて下さって。『家庭教育支援法、青少年健全育成基本法を必ず入れるように』ということで。文面もちゃんとお渡しすることができまして、非常に誠意をもって対応して下さいました」
ようするに、青津氏が下村氏に長年にわたって働きかけをおこなった結果、統一教会が実現を目指している「家庭教育支援法」と「青少年健全育成基本法」が自民党の政権公約に書き込まれた、と青津氏は語っていたというのである。
さらに「週刊文春」は、この衆院選の直前に統一教会の関連団体・世界平和連合から推薦状を得ていたとし、組織的支援を受けていたのではないかと報じたのだ。
■下村博文・元文科相の反論はデタラメだらけ 統一教会とのズブズブぶりを示す数々の証拠
だが、下村氏は14日に記者団からの取材に応じ、これらの報道について「教団系団体から陳情を受けた事実はなく、公約に入れろと指示もしていない。断固抗議し撤回を求める」と真っ向から否定。推薦状については「受け取った」と認めたものの、「選挙で何か手伝ってもらったとは承知していない。依頼もしていない」と語り、組織的支援は受けていないと否定したのだ。
しかし、この下村氏の反論は、まったく反論になっていない。
下村氏は「週刊文春」の取材に対して、青津氏が政調会長室を訪問した日について「一般社団法人教育問題国民会議の理事と面会をしました。ご指摘の方(青津氏)は事務局として随行されていたのだと思います」と回答。つまり、陳情をおこなったのは教育問題国民会議であって、統一教会系団体ではない、と主張している。
だが、教育問題国民会議の事務局長だった青津氏は、バリバリの統一教会系団体である国際勝共連合の本部長や政策局長を務め、統一教会の江利川安栄・第7代統一教会会長の側近として教団の政界工作を担っていたと言われている人物なのだ。そうした人物が仕切る団体が統一教会系ではないなどという主張は通らないだろう。
しかも、2013年に下村氏の後援団体である「博友会」のパーティ券を教育問題国民会議に所属していた大塚正尚氏が購入していたことがすでに報じられているが、この大塚氏は統一教会系団体である世界平和和連合にも所属していたといわれ、さらに政治資金収支報告書によると国際勝共連合の会計責任者も務めている人物だ。ちなみに、大塚氏は2014年に「世界平和連合」として当時、文科相だった下村氏に陳情をおこなっていたことが下村事務所の内部文書から明らかになっている。
また、教育問題国民会議には、やはり統一教会との深い関係が報じられている萩生田光一氏が落選中に理事を務めていたことが判明しており、萩生田氏以外の7名の理事のうち4名が統一教会系メディア「世界日報」に登場歴があったといわれている。
つまり、下村氏は“陳情をおこなったのは教育問題国民会議であって統一教会系団体ではない”と言い張るものの、教育問題国民会議に統一教会の人脈が流れ込んでいたことは紛れもない事実なのだ。
その上、青津氏が陳情の結果、選挙公約に盛り込まれたと語った講演会を主催したのは、下村氏の元秘書である河野雄紀・元都議の後援会で、共催は「板橋石神井川クラブ」なる団体。「週刊文春」によると、同団体の代表を務める人物は、SNSのプロフィールに「世界平和統一家庭連合 青年部長」と記しているという。
さらに、下村氏の後援団体である「博友会」が2010年と2012年から2014年にかけて開催した講演会などの行事に、世界平和連合や世界戦略総合研究所、世界日報、世界平和女性連合といった統一教会の関係団体に所属する9人が計54回も出席していたことをしんぶん赤旗がスクープ。これらの統一教会系団体に所属する9人から、おおむね60万円程度の支払いがあったと見られるというが、いかに下村氏が統一教会系人脈とベッタリの関係にあったかがこれだけでもはっきりとしている。
たしかに、陳情を受けた「家庭教育支援法」と「青少年健全育成基本法」を自民党の選挙公約に入れたことについては、統一教会だけではなく日本会議や神道政治連盟といった宗教右派団体もこれらの実現を目指しており、統一教会の働きかけだけで選挙公約に書き込まれたとは考えにくい。だが、前述してきたように、下村氏が統一教会系人脈と関係を持ってきたことや、昨年の衆院選で世界平和連合から推薦状を得ていたことはれっきとした事実だ。にもかかわらず、自民党の「点検」アンケートで下村氏は「寄附やパーティ収入あり」としか回答せず、挙げ句、報道に逆ギレして抗議までしているのだ。あまりにもひどすぎるとしか言いようがないだろう。
■ジェンダーフリー教育バッシングの急先鋒だった安倍晋三と山谷えり子 統一教会の働きかけを示す内部文書
だが、ひどいのは下村氏だけではない。やはり報道に逆ギレしている山谷えり子・元国家公安委員長も同様だ。
本サイトでも報じてきたように、山谷氏をめぐっては、2010年の民主党政権下の参院選直前、統一教会の別働隊である国際勝共連合が山谷えり子氏への組織的な投票を呼びかける内部文書の存在を当時、有田芳生氏が暴露。その内部文書には、下村氏に陳情をおこなったと講演会で語ったA氏が勝共連合本部の本部長として実名で登場するほか、統一教会が山谷えり子事務所と一体になり、票読みから名簿づくり、投票の呼びかけまで、徹底しておこなっていたことが伺えるものだ。さらに〈山谷先生、安倍先生なくして私たちのみ旨は成就できません〉という記述もあり、安倍元首相と山谷氏が統一教会にとって、ほかの政治家とは別格の、重要な存在だったことも浮き彫りになっている。
ところが、山谷氏は8月3日、毎日新聞の取材に対して「(統一教会とは)私は関係ありません」と回答する始末。自民党がおこなった「点検」でも、統一教会との関係があった議員リストに、山谷氏の名前はなかった。
当然、ネットやメディアで疑義を呈する声が噴出。9月11日放送の『サンデーステーション』(テレビ朝日)では、ジャーナリストの鈴木エイト氏が、2005年に統一教会の友好団体が作成した資料において、こんな記述があることを指摘した。
〈第二次5カ年計画(基本計画)においてジェンダーという文言を使用させない。安倍晋三官房長官と山谷えり子内閣府政務官でチェックできるように関係省庁、議員に積極的に働きかける〉
しかも、この資料には、女性信者による「山谷えり子さんと相談して、いま戦いの中にいる」というメモも残されていると伝えた。
本サイトで繰り返し指摘してきたように、山谷氏は2005年、安倍氏が座長である「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の事務局長を務め、ジェンダーフリー・バッシングの急先鋒にたち、国会においても第二次男女共同参画基本計画について、「次の5カ年計画にジェンダーという定義を入れるべきではない」と主張していた。そこにこんな資料が出てきたとすれば、山谷氏が統一教会系団体から何らかの働きかけを受けていたと疑われるのは当然だろう。
ところが、山谷氏は9月13日、ツイッターに〈2005年に旧統一協会の関連団体が作成したとされる「内部文書」と、同年3月に私が行った参議院予算委員会での質疑などをもとに、旧統一教会との関係性が疑われるとの報道がなされています。〉として、〈報道は事実に基づかない誤ったイメージを与えるもの〉と反論する文章をアップしたのだ。
だが、そのあと、山谷が「以下の点について明確にしておきます」と並べた主張は、なんの説得力もない代物だった。
■山谷えり子の反論文書は説得力なし 「選挙カーに乗ってアナウンスした」という元信者の証言も
まず、山谷氏は“国会質疑に旧統一教会の働きかけを受け行ったものは一切ない”“政務官に着任後に旧統一教会の働きかけを受けたことも、政策決定に影響を受けたことも一切ない”と否定していたが、鈴木エイト氏が公開した「山谷えり子内閣府政務官でチェックできるように働きかける」と書かれた統一教会の内部資料、「山谷えり子さんと相談して、いま戦いの中にいる」という女性信者のメモについては、なんの具体的な反論もできなかった。
また、有田氏が入手した2010年の参院選で国際勝共連合が山谷への組織的投票を呼びかける内部文書についても、〈そのような事実は一切ありません。〉と否定したが、その論拠は、〈番組内で、支援したとする団体自体が「内部文書とは怪文書のたぐいであり(中略)当時山谷氏への支援に対し好ましく思わない声もあり関係を持たなかったのが事実」と回答した〉。ようするに、統一教会が怪文書と言ってるでしょ、というだけのもの。
そもそも、有田氏が公開した内部文書は内部の人間でしかわからないような言葉が出てくるリアルなもので、有田氏も「これは統一教会の古参信者で幹部も務めた人に確認した」と語っている。
しかも、山谷氏が統一教会の選挙支援を受けていたという証言はほかにもいくつも出てきているのだ。
たとえば、AERA(朝日新聞社 9月11日号)にも、「選挙カーに乗ってアナウンスした」という元信者の証言が紹介されているが、その内容は〈渡されたのは「山谷えり子は〇〇します!」といった、10項目くらいのアナウンスマニュアル。「み旨を進める人だ」と感激した。「過度な性教育に反対」「ジェンダーフリーの反対」「家庭の再建」といった内容。一人づつマイクを持って全文を交代で読んだ。残る3人は窓の外にいる人々に手を振って明るく「山谷えり子をよろしくお願いいたします」と大声を出した〉と、かなりリアルなものだった。
また、全国霊感商法対策弁護士連絡会の代表世話人である山口広弁護士も、9月11日の『サンデーステーション』で、「彼女(女性信者)が活動する地区で組織的に山谷えり子さんを支援することになったと、アベル(先輩信者)から指示をされて、どこかのマンションに住み込んで選挙の期間中、ウグイス嬢をした。他の信者の皆さんは、戸別訪問とかチラシ配りとかをやったと言ってた」と女性信者の証言を紹介していた。
にもかかわらず、山谷氏は「ない」の一点張り。しかも、反論の根拠が、統一教会系団体の言い分なのだから、なんの説得力もない。
■山谷えり子の「避妊を教えることは家庭を壊す」発言、性教育攻撃は紛れもない事実
しかし、山谷氏のこの反論でもっともひどいのは、自分が過去に問題発言をしながら「してない」と言い張っていることだ。
番組内では性教育に尽力してきた産婦人科医が、山谷氏が「避妊を教えることは家庭を壊す」といった攻撃をおこなってきたことに言及した部分があったのだが、これについて山谷氏は〈一切そのような発言はしていません〉と否定した。
よくもまあ、こんな嘘が言えたものである。山谷氏は2013年に放送されたドキュメンタリー番組『ニッポンの性教育』(中京テレビ制作/第51回ギャラクシー賞優秀賞受賞作)の取材のなかで、山谷氏ら自民党議員がやり玉に挙げた性教育の教材などについて、このような持論を述べていた。
「こういう具体的なことを教えることは、もうすなわち、あなたたちは避妊具さえはめればセックスしていいのよということを教えることになりますから、それは私は反対です」
「みなさんは命の教育とおっしゃられますよね。私は家族を壊すんじゃないかと思ってますが」
「本当に子ども時代はですねえ、ちょうちょが飛んでいる姿、お花がキレイに咲く姿、昆虫が一生懸命歩いている姿、それでじゅうぶん命の尊さというのは私達は学んできたんですよね」
(具体的なことは教える必要はないということか?という質問に)「年齢にふさわしい……」(年齢にふさわしいとは何を基準にしたらいいのか?という質問に)「本当は結婚してからだと思いますね、はい」
つまり、避妊を含めた具体的な性教育に対して、山谷氏は“家族を壊す教育だ”と述べており、〈一切そのような発言はしていません〉などと到底否定できないことをカメラの前で語っていたのだ。さらに言えば、具体的な性教育は「結婚してから」おこなうべきという主張は、統一教会の純潔運動を想起させるものだ。
ともかく、山谷氏はジェンダーフリー・バッシングの急先鋒として当時、一部の公立学校でおこなわれていたオープンな性教育を徹底批判し、教育現場は萎縮、オープンな性教育は封印され、義務教育では「性行為」や「妊娠の経過」についてすら教えないというところまで後退。若年層の無知からくる望まない妊娠や性感染症が増加の一途をたどるという悲惨な状況に陥ってしまった。いま、こうした攻撃が統一教会を含む宗教右派団体の働きかけによっておこなわれていたのではないかと問われているが、そんななかで過去の自身の発言をこのようになかったかのように振る舞うとは、恥知らずにもほどがあるだろう。
統一教会とのズブズブな関係が指摘されながら、いまだに知らぬ存ぜぬで押し通そうとしている下村氏と山谷氏。だが、このような態度を自民党が許しても、メディアは見過ごすわけにはいかない。もちろんそれは、下村氏には元文科相時代の統一教会の名称変更問題が、山谷氏は警察行政を監督する国家公安委員長に就いていたという問題があるからだ。そして、下村・山谷両氏をそうした立場に据えたのは、ほかならぬ安倍元首相である。
下村氏や山谷氏が統一教会との関係をもとに行政を歪めることはなかったのか。安倍元首相と統一教会の関係はいかなるものだったのか。こうした疑念に取り合おうとさえしない岸田政権に対し、世論はさらに厳しい目を向ける必要がある。