※2022年9月17日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年9月17日 日刊ゲンダイ2面
【岸田首相には「辞めろ」コール】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) September 17, 2022
安倍国葬 このまま突っ込めば「世紀の赤っ恥」
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※文字起こし
大型で非常に強い台風14号が日本列島に接近。そろそろ台風シーズンで警戒が必要だ。
日増しに秋の気配が色濃くなってくるが、それを痛感しているのが岸田首相だろう。処暑を過ぎた頃から、秋の日のつるべ落としのごとく、内閣支持率が急降下している。
時事通信の最新調査では、前月から12.0ポイント減の32.3%にまで落ち込み、政権運営が難しくなる「危険水域」の20%台は目前だ。
不支持率も急増している。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党との親密な関係や、安倍元首相の国葬問題が影響しているのは間違いない。
国葬に関しては、各社が調査を実施するたびに「反対」が増える状況だ。今ではNHKから読売新聞まで、すべての調査で「反対」が多数になっている。
時事の調査でも、「賛成」が25.3%、反対は51.9%とダブルスコアだった。
反対の理由はさまざまだ。まず、法的根拠が曖昧なこと。
国葬には少なくとも16.6億円の税金が使われるのに、国会にはかることもなく、閣議決定だけで済ませたことへの異論。
そして、国葬に値する人物なのかという問題もある。
祖父の岸信介の代から続く統一教会との密接な関係は政界随一で、安倍は教団票を差配する立場にあったとされる。統一教会の広告塔であり、庇護者でもあった安倍を国葬で送ることは、死してなお教団にお墨付きを与え続けることになりかねない。
統一教会が7日に韓国の新聞13紙に展開した意見広告には、<平和運動を推進しながらも不意の逝去を迎えた安倍晋三元首相に対して深い哀悼の意を表します><安倍元首相の崇高なる犠牲を家庭連合は絶対に忘れません〉などと、安倍への思慕がつづられていた。
二階元幹事長は「議論すべきでない」
「自民党は『統一教会との関係を断つ』と宣言したのに、教団とズブズブの安倍元首相を国葬によって美化するのは筋が通らない。それでも岸田首相が国葬を強行すれば、支持率はますます下落するでしょう。そもそも、安倍元首相には国葬に値する業績があるのでしょうか。当時は戦後最長政権でノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作だって国葬ではなかった。国民の半数以上が反対する国葬で、なおかつカルト教団と関係が深い元首相の国葬には各国のトップも参列しづらいから、現職はほとんど来ません。このままでは、統一教会のための国葬になってしまい、出席するのも憚られる。百害あって一利なしです。日本国民としても恥ずかしい。岸田首相に国葬を撤回する英断を下す勇気さえあれば、支持率は上がったでしょう」(政治評論家・本澤二郎氏)
国論を二分する国葬について、自民党の二階元幹事長はきのう(16日)、CS番組の収録で、「国葬がどうだとか、こんな時に議論すべきではない。控えるべきだ」と発言した。「(国葬が)終わったら、反対していた人たちも、必ずよかったと思うはず。日本人なら」とも言った。まるで、国葬に反対するのは非国民とでも言わんばかりだ。
しかし、実際は世論の大多数は国葬に反対している。それでも内閣が決めたことに黙って従えというのでは、民主主義国家の看板がむなしい。自民党や支持者が費用を全額負担するならまだしも、血税で賄われる国葬が国会の承認も得ず、議論も経ずに強行されることに対し、主権者が反対するのは当然の権利だろう。
二階は「みんな黙って手を合わせて見送ってあげたらいい」とも言っていたが、国葬に反対する国民だって、そうしたいと思っている。静かに送れたらどんなによかったか。横死した安倍を悼む気持ちと、国葬に賛成することは別の話だ。国民が納得できない国葬を強行する岸田政権が、反対の声を大きくしているのである。
国民の分断を招いてでもメンツや保身を優先
「何事も検討して先送りばかりの岸田首相が、珍しく素早く決断した国葬が支持率下落の要因になったのは皮肉ですが、そもそもの発端が党内の安倍派や岩盤支持層をつなぎ留めるためであったり、弔問外交で点数を稼ぐというヨコシマな発想から来ているから、こういうことになる。すでに世界各国に通知して出席者が決まりつつある以上、今さら中止にはできないという現実も重くのしかかっています。こういうタイミングで英国のエリザベス女王が亡くなり、19日に国葬が執り行われることになった。安倍氏の国葬より後に決まったのに、日本には来ない米国のバイデン大統領も参列するなど、各国の国家元首クラスが勢ぞろいしますから、彼我の差を見せつけられることになる。二階元幹事長が言うように『やってよかった』とは、決してならないでしょう。エリザベス女王の国葬の1週間後では、よりどころだった弔問外交も成果などない。ますます法的根拠や正当性が問われかねません。国葬直後の10月初旬からは臨時国会も始まり、岸田首相は真正面から追及を受けることになる。戦国時代の武将ではなく平時の公家タイプの岸田首相に乗り切る力量や胆力があるでしょうか」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
各国元首が参列するエリザベス女王の国葬は、所要約1時間を予定しているというが、安倍の国葬は5時間にも及ぶ。その間、給水所の水しか飲めず、途中退席もできない。海外からの要人もそうだから、なんだか申し訳ないような気持ちになってくる。こんな国葬を強行して、誰が喜ぶのだろうか。
安倍政権の負の遺産に苦しめられる
立憲民主党の小沢一郎衆院議員もツイッターでこうつぶやいていた。
<「国葬なんて言わなきゃ良かった。でも海外からも来ちゃうし、今更やめますと言えば責任を問われるし、もうやるしかない」。岸田総理の内心は大方そんなところ。国民の分断を招いてでも、メンツや保身を第一に考える時点で、この総理は総理たる資格が無く、完全に終わっている。一刻も早く辞めるべき。>
7月8日に安倍が凶弾に倒れ、わずか6日後の7月14日に岸田が国葬の実施を発表。その後、国会の議論もないまま閣議決定だけで実施を決めてしまったのだが、この2カ月の間に撤回する機会はあったはずだ。
そうでなくても、国葬と言うからには国民の代表である国会の議決を得るとか、少なくとも三権の長の了承を取り付ける必要はあっただろう。閣議決定だけで決めた国葬なんて、実態は政府葬か内閣葬でしかない。それは、「多大な功績を残した」安倍に対しても失礼じゃないのか?
「いったん閣議決定を撤回して、国会で議決することからやり直せば体裁は保てたかもしれません。国会は自公与党が多数派なのだから、やろうと思えばできたはずです。そうはせず、閉会中審査に出席して通り一遍の説明をすればOKと考えていたとすれば、あまりに見通しが甘いし、閣議決定で何でも決められるというおごりがあったと言わざるを得ない。第2次安倍政権からの悪しき前例を踏襲したことが、つまずきの原因となった。閣議決定で何でも決める強権手法だけでなく、急激な円安による物価高はアベノミクスの副作用だし、統一教会の問題も安倍元首相の置き土産で、ここへきて岸田首相はことごとく安倍元首相の負の遺産に苦しめられている。それもこれも、政権維持のために党内政治を優先して、安倍シンパにおもねってきたせいです。民意に対して自慢の『聞く力』を発揮すれば、ここまで窮地に陥ることもなかったでしょう」(五十嵐仁氏=前出)
今から国葬を中止するのは大変なことだが、それは「一時の恥」で終わる。このまま突っ込めば、世紀の赤っ恥で、未来永劫語り継がれることになる。そんな目に遭わされる安倍がかわいそうだ。
もちろん、国葬を決めた岸田本人は自業自得で、支持率下落で危険水域に突入という民意の「辞めろ」コールを突きつけられることになる。
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