※2022年8月31日 日刊ゲンダイ9面 紙面クリック拡大
・
新型コロナワクチン4回目接種キャンセル急増の背景…予約していた人々に生じた不安
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/310653
2022/09/01 日刊ゲンダイ
4回目の接種を受けた岸田首相も感染(代表撮影)
8月21日、岸田文雄首相がPCR検査の結果、新型コロナウイルスに感染していることが判明した。首相は8月12日に4回目のワクチン接種を受けており、そこから9日目のことだった。
症状は軽症で、首相公邸で自宅療養しながらテレワークで職務を続ける傍ら「感染防止対策、3回、4回目のワクチン接種に取り組むよう」国民に呼びかけている。
新ワクチン接種の条件が影響か
しかし、いま現場のクリニックでは4回目接種の予約キャンセルが急増しているという。首相の感染が影響したわけではあるまいが(ネット上では首相の感染で一部ワクチン効果を疑問視する声もあるが)、接種予約キャンセルの理由を追った。
千葉県君津市の君津寛衆堂医院の金光敏和院長が言う。
「10日ほど前から(8月15日ごろ)1日5〜6件のペースで4回目ワクチンの予約キャンセルが増えてきています。岸田首相が感染してワクチンの効果がないという理由ではなく、原因は10月半ばからオミクロン株対応の新しいワクチンの接種が始まることです。いま4回目を打てば、接種条件で10月に新ワクチンは打てませんからね」
キャンセルの理由は、厚生労働省の専門部会が、オミクロン株(BA.1)に効果があるとされる新ワクチンの接種を10月から開始することで了承したことだ。対象は2回接種を終えた全住民を想定している。使用するワクチンはオミクロン株と従来型の成分を含む2価ワクチン。
ここでネックになっているのが接種条件だ。4回目の接種条件は、3回目のワクチン接種から5カ月後が対象になっている。しかし、10月に接種が開始される新ワクチンの接種条件について政府はいまだに発表がない。
つまり、いま4回目のワクチンを接種すれば、今後発表される接種条件により10月の新ワクチンを接種できなくなる不安があるということだ。
専門家は「既存ワクチンを打つのが賢明」
ワクチン接種のキャンセルが広がることについて、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長がこう述べる。
「キャンセルは合理的だと思います。ただ、夏のピークは終わっていますし、2価ワクチンは急には大量に生産できません。この秋から冬に国内に入るのはごくわずかになるはずです。しかし、厚労省は承認しながら『(新ワクチンが)足りない』とは言えない。そのため接種条件は前回から5カ月後といった厳しい縛りを付けるはずです」
そしてこう付け加える。
「確保できなかった場合を想定し、既存のワクチンでも接種した方がいいと、政府の専門家が言うべきです」
新ワクチンはファイザー製とモデルナ製の2種類だが、2価ワクチンは従来のワクチンに比べウイルスの働きを抑える中和抗体の量は増える。浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫氏が指摘する。
「モデルナ製でBA.1に対する中和抗体量は従来のワクチンに比べ1.75倍に増えています。しかし、臨床効果がそれだけ改善するかどうかはまだ十分わかっていない。重症化の予防のためには、新ワクチンを待つのではなく既存ワクチンを打つことが賢明でしょう」
接種条件待ちのキャンセルから感染を広げてはなるまい。
(ジャーナリスト・木野活明)
・
関連記事
<ついに明かされる医学界のタブー>私が見た新型コロナワクチンの実態<勤務医有志の座談会・第1回> ワクチンの効果は机上の空論(女性セブン)
http://www.asyura2.com/22/iryo9/msg/674.html
http://www.asyura2.com/22/iryo9/msg/677.html