米下院議長に続いて米議員団が台湾を訪問したが、アジア諸国は米国と一線を画す
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2022.08.19 櫻井ジャーナル
ナンシー・ペロシ米下院議長に続き、8月7日にはリトアニアの議員団11名が、そして8月14日には4名のアメリカ議員団がそれぞれ台湾を訪問した。
アメリカの議員団はエド・マーキー上院議員のほかジョン・ガラメンディ下院議員、アラン・オーウェンタール下院議員、ドン・ベイアー下院議員、そしてアマタ・キャスリーン・コールマン・レイドワーゲン下院議員。最初の4名は民主党だが、レイドワーゲンは共和党だ。
この5議員の訪問は大統領継承順位(大統領が執務不能になった場合の継承順位)が第2位である下院議長のそれとは重さが違うものの、中国を挑発する行為であることは間違いない。中国政府はマーキー議員らの訪問を批判している。
ペロシの台湾訪問で軍事的な緊張が高まることを想定し、アメリカ海軍は空母「ロナルド・レーガン」を中心とする艦隊を7月25日にシンガポールから出港させ、台湾へ向かわせた。
シンガポールはロンドンの金融街(シティ)が1970年代に構築したオフショア市場のネットワークに含まれている。これはかつての大英帝国をつなぐもので、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、ドバイ、アイルランド、そしてシンガポールが含まれている。そのネットワークは信託の仕組みが取り入れられ、その管理人以外は誰が所有者なのかを知ることができなくなる。
今でもスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコといった国がタックス・ヘイブン(税金避難地)として有名だが、その秘密性や機能性の点でシティが作り上げたオフショア市場のネットワークは上回っている。
しかし、ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーは2015年9月、サンフランシスコ湾を望むある法律事務所で行った講演の中で、税金を払いたくない顧客の金持ちは財産をアメリカへ移すべきだと語っていた。アメリカこそが最善のタックス・ヘイブンだというわけである。イギリスとアメリカは世界を腐敗させているとも言えるだろう。ペニーはアメリカのネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどへ銀行口座を移動させるべきだとも主張、ロスチャイルドはネバダのレノへ移しているとしていた。
アメリカの大企業は課税から逃れるためにデラウェア州を利用する。この州選出の上院議員を1973年1月から2009年1月まで務めた人物がジョー・バイデンにほかならない。
上院議員になった当時、彼に助言していたW・アベレル・ハリマンはエール大学でスカル・アンド・ボーンズという学生の秘密結社に入っていた人物で、ジョージ・W・ブッシュ、ジョージ・H・W・ブッシュ、プレスコット・ブッシュと同じだ。
プレスコット・ブッシュは義父のジョージ・ハーバート・ウォーカーの下でブラウン・ブラザーズ・ハリマンやユニオン・バンキング・コーポレーションの重役を務めていたが、同僚のひとりがW・アベレル・ハリマン。ふたりの金融機関はウォール街からナチへ資金を流す主要ルートに含まれていたと言われている。
デラウェア州を拠点にしている企業の中にブラックロック、バンガード、ステート・ストリートといった「闇の銀行」も含まれている。これらは金融業者なのだが、銀行のような規制は受けない。1970年代から始まった金融規制の大幅な緩和によって誕生したのである。この3社が大株主になっている会社はアメリカの主要500社の9割に近いという。
金持ちにはさまざまな種類の人が存在している。世界の政治や経済を動かしている私的権力だけでなく、その手先になっている経営者、政治家、官僚、犯罪組織の幹部などだ。その周辺に学界や有力メディア、そして無数の駒が存在している。
こうしてみるとシンガポールは米英金融資本に従属しているようにみえるのだが、副首相のローレンス・ウォン(黄循財)はシンガポールがアメリカの同盟国だということを否定、自分たち自身の外交政策を進めると主張。そうした立場から台湾をめぐる情勢が危険な領域へ入りつつあると憂慮している。アングロ・サクソンへの従属を隠そうとしない日本は異様に見える。
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