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※2022年8月8日 日刊ゲンダイ
【目くらましの人心一新】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) August 8, 2022
「統一教会隠し」の 内閣改造 焦りと後ろ暗さの裏返し
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※文字起こし
「電光石火」と評される内閣改造・自民党役員人事が10日に実施される。麻生副総裁や茂木幹事長など重鎮らと会談を重ねた岸田首相は8日、党の臨時役員会と総務会で役員人事の一任を取り付け、一気にコトを進める構えだ。当初、人事は8月下旬から9月上旬とみられていたが、岸田は1カ月近い前倒しに踏み切った。理由はひとつ。政権を揺るがす大スキャンダルに発展した自民と統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の“癒着”から世間の目を欺くためだ。
教団のフロント組織への祝電などを含めれば、自民の国会議員100人以上が反社会的団体と関わりがある事実にもブッたまげるが、最大派閥の清和会(安倍派)に所属していた元参院議長の伊達忠一氏の証言によって、安倍元首相が国政選挙で教団票を差配していたことも明るみに出た。憲政史上最長の8年8カ月もの間、首相の座にあった安倍は、言うまでもなくその間は党総裁を務めていた。茂木は「党として組織的関係がないとしっかり確認した」とか言っていたが、嘘っぱちだ。総汚染は否定しようがない。だからこそ、実態解明を求める世論は8割超に達し、内閣支持率も下落傾向だ。にもかかわらず、それができない岸田は目くらましの人心一新にまっしぐら。唐突な人事はなりふり構わぬ統一教会隠し、岸田の焦りと後ろ暗さの裏返しなのである。
この国にとって8月は特別な月だ。6日は広島原爆の日、9日は長崎原爆の日。15日は終戦記念日だ。今年は被爆から、そして終戦から77年を迎える節目の年でもある。この国の来し方を振り返り、平和希求への思いを新たにする時空間は政局にかまける岸田によって吹き飛ばされた。核兵器使用をチラつかせながらウクライナ侵略を続けるロシア、台湾海峡の緊張を高める核保有国の中国の脅威によって、核廃絶へ向けた世界の機運が高まる中でのドタバタ。被爆地広島出身を売りに、「核なき世界」の実現を訴える岸田の本性が透けて見えるというものである。
国家安保会議に関係3大臣
岸田が前のめりで実施を決めた安倍の国葬に関する閉会中審査も8月下旬に控えている。教団と関係する閣僚を一掃し、野党の追及をかわそうという意図がミエミエ。参院選に出馬せずに民間人となった二之湯国家公安委員長や、健康不安も抱える岸防衛相、宗教法人を所轄する末松文科相、山口環境相、小林経済安保担当相あたりは交代確実。岸田はこれで逃げ切るつもりなのかもしれないが、このタイミングでの改造こそが、問題の闇の深さの証明でもある。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「前倒し改造の引き金を引いたのは二之湯国家公安委員長です。反社会的団体の関連イベントで実行委員長を務めた人物を警察行政のトップに据えたのも問題ですが、組織的犯罪行為が認定されている統一教会について〈教義もよく知らなかった〉と言い放つなど、発言はメチャクチャ。銃撃事件を阻止できず、国葬も迫る中で、当事者能力を欠いたトップでは組織がもたないとの判断です。国家公安委員長、防衛相、経産相は国家安全保障会議のメンバーでもあり、関係議員は交代させざるを得なくなっている。安倍元首相の側近で、清和会に影響力を持ちつつある萩生田経産相については党3役へ横滑りが濃厚です。ハッキリ言って、自民党内に統一教会と無関係の国会議員はほとんどいない。内閣改造・党役員人事がプラスに働くかどうか」
韓国から渡ってきた統一教会と政治の接点となったのは、安倍が敬愛してやまなかった祖父の岸信介元首相だ。教団の政治団体「国際勝共連合」の創設を支援。強い結び付きは娘婿の安倍晋太郎元外相にも引き継がれ、信者を議員秘書として斡旋し、議員を教団セミナーに送り込んでいたという。統一教会は半世紀以上にわたり、岸と福田赳夫元首相が源流となる清和会と密接につながり、安倍に集約されていく。
不倫バレ釈明に置き換えるとメチャクチャ
朝日新聞(7日付朝刊)によると、教団側はこの20年ほどは安倍との関係を重視。〈教団関係者はこれまでの朝日新聞の取材に、友好団体「世界平和連合」の幹部が窓口となり、晋三氏と連携してきたと説明。この7月に当選した晋三氏の元首相秘書官・井上義行氏ら、最近3回の参院選で安倍派系の候補を推し、当選に貢献していると主張している〉という。党関係者の証言も生々しい。
〈自民党関係者は「右派思想が色濃い清和会と教団は歴史的にも相性が良かった」。選挙に精通する別の党関係者は「教団の持つ組織票は、党ではなく清和会が差配していた」と言う。清和会出身の元議員は「教団は政治の保護を求めて晋三氏に近づいた」と話す〉
岸田は安倍と統一教会のズブズブの関係は百も承知で「民主主義に対する挑戦」などとデッチ上げ、国葬を決めたのか。卑劣で姑息、国民愚弄極まれりだ。沖縄の青い海をバックに、赤ふんどし姿で時事問題に切り込むお笑い芸人のせやろがいおじさんの動画は、連中の歪んだ政治倫理をズバッとやっている。やや長いが、その叫びはこうだ。
〈誰一人取り残さない多様性は大事やけど、旧統一教会関係の多様な言い訳に関しては「誰一人取り逃がさない!」って気持ちで見てかなアカン!
この言い訳は許されるやつかどうか判別するときに不倫がバレた人の言い訳に置き換えてみたら分かりやすくなるんよ〉
まずは安倍の実弟の岸。
〈「多数の被害が出ている団体ということを認識はしていたが、選挙に協力してもらったことはある」言うてたんやけど、これ「相手が既婚であるということを認識はしていたが不倫をしたことがある」言うてるようなもんで思いっきりアウトやん! ほんで今後旧統一教会との関係をどうするか聞かれたら「選挙の時に適切に判断して対応したい」って言うたんやけど、なんで「今後は関係を断ちます」って言えへんねん! 今後また選挙で困った時あわよくば手伝ってもらおうとか思ってません? これ「不倫相手と今後どうするの!?」って聞かれたときに「ムラムラしたときに適切に考えて対応したい」言うてんのと一緒よ!? あわよくばもう1回……感がエグいんですけどー〉
カネ、人、票にあやかれば憲法違反
猛批判にさらされた岸はその後、「これまでの関係について、しっかり見直さなければいけないと思う」と発言を修正したが、時すでに遅し。矛先は二之湯にも向かう。
〈「統一教会のこと全然知らない」言うてたんやけど、「あの団体が旧統一教会って知らなかったんですぅ」「えっ、あのイベントって旧統一教会のイベントだったんですかぁ?」ってシラ切るパターン多いよ! これ「あの建物がラブホテルって知らなかったんですぅ」「ええっ? 休憩って本当に休むんじゃないんですかぁ?」ってシラ切ってるようなもんや! これほんまに知らんとしたら無知すぎて議員としての資質問われる。知っててカマトトぶってんねんやったらすこぶる悪質や!〉
岸田への叫びは核心を突いている。
〈「それぞれが丁寧に説明することが大事」って言うてたんやけど、待て待て。どんな説明されたとて「あっ、そんな理由があったから不倫してたのね! じゃあOK!」って、ローラでもなるか! あんたがリーダーとしてやらさなあかんのは、丁寧に説明させることじゃなくて、旧統一教会と手を切らせることや! 参院選の時に「決断と実行」「暮らしを守る」言うてたんやから、今こそ旧統一教会と手を切る決断をして実行して、カルト教団から国民の暮らしを守りなはれ〉
せやろがいおじさんが海辺を縦横無尽に駆け回り、怒りに任せて何度も海に飛び込む映像は刺さる。必見だ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「信教の自由を保障する憲法20条は〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない〉と定めています。ポイントは後段の〈政治上の権力を行使してはならない〉。国家と宗教、政治と宗教は結びついてはいけないと規定しているのです。宗教団体が政治家を買収し、立法や行政行為に影響を及ぼすのは言語道断。教団が差し出すカネ、人、票によってバッジを付けた自民党議員は、憲法違反の存在と言っていい。今こそ政教分離を徹底しなければ、同じ過ちが繰り返されます」
ご祝儀相場で支持率が上向くようなことになれば、世も末だ。
http://www.asyura2.com/22/senkyo287/msg/573.html