※2022年7月21日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年7月21日 日刊ゲンダイ2面
【大マスコミは見て見ぬふり】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) July 20, 2022
自民党と統一教会 戦慄する闇の深さ
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※文字起こし
「文総裁は岸元首相、安倍元外相と近しい間柄だったと思う」
そう明かしたのは郭錠煥氏。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)元会長で、2012年に死去した創始者の文鮮明総裁の「右腕」と称された元ナンバー2だ。安倍元首相の銃撃事件で表面化した統一教会と自民党との関係を受け、19日開いた緊急会見での発言である。
岸元首相は言うまでもなく、安倍の祖父、安倍元外相は父だ。郭氏は「自らも安倍氏の死に責任がないとは思わない」とも語ったが、安倍ファミリーと教団との深い関係を感じさせる言葉だ。
実際、1954年に韓国で創設された教団の黎明期に後ろ盾となったのは岸だ。59年、日本に初進出した際、教団の宣教師が密入国で逮捕された。彼を庇護した日本船舶振興会の笹川良一会長(当時)を通じて、岸は反共産主義を掲げる政治活動団体「国際勝共連合」を創設した統一教会との結びつきを強めていった。
64年に統一教会が日本で宗教法人と認可されると、本部を置いたのは渋谷区南平台の岸邸の隣。渋谷区松濤に本部が移った後も、しばしば岸が訪れ、70年、71年、73年と“信徒”を激励する講演を行っていた。
安倍ファミリーと統一教会のつながりは70年近くに及ぶのだ。次第に教団は自民党に食い込んでいった。74年には岸が名誉実行委員長を務めた文鮮明の講演会「希望の日晩餐会」が東京・帝国ホテルで開催。当時は大蔵相で後に総理となった福田赳夫氏が「アジアに偉大な指導者現る、その名を文鮮明と言う」と祝辞を述べた。福田派の流れは今の安倍派に連なっている。
「政治の力」で反社会的教団を野放し
「霊感商法」が社会問題化した80年代後半以降も、統一教会と自民党との関係は変わらなかった。84年に文鮮明が米国で脱税により、懲役1年半の有罪判決を受けた。本来、米国で1年以上の刑を受けている人物は入管法の規定で日本に入国できないが、92年に文鮮明は来日。暗躍したのは自民党議員だ。
党内全派閥から31人が参加した「北東アジアの平和を考える国会議員の会」なる団体の招請と称し、当時は超大物だった金丸信氏が法務相に働きかけて入国が実現したとされる。
「自民党と統一教会は持ちつ持たれつの関係です」と、ジャーナリストの横田一氏はこう語る。
「全国8万〜10万票とされる統一教会の組織票に加え、選挙ボランティアなどの人員も提供してくれる。彼らにとって選挙活動も宗教活動との位置づけなので非常に熱心に、しかも無報酬で一丸となって働きます。政治家にすれば非常に頼りになる団体です。教団側も自民党の大物議員が活動を認めてくれれば、教団に箔がつき、信用度が増す。自民党と統一教会がウィンウィンの関係だからこそ、高額献金問題などに規制がかからず、野放しにされてきたのです」
ジャーナリストの有田芳生氏が18日、テレビ朝日系「モーニングショー」で明かした体験談も衝撃的だった。有田氏は95年秋に警察庁と警視庁の幹部の依頼で、対象者を聞かずに20〜30人を相手に統一協会についてのレクチャーを行った。その際、「統一教会の摘発を視野に入れている」と聞いたというが、摘発されることはなかった。
レクチャーから10年後に依頼した幹部2人と話す機会があり、有田氏は「今だから言えることを教えてくれ。なんでダメだったんですか」と聞いた。すると相手は一言。「政治の力」と語ったそうだ。時の政権が反社会的教団への捜査に圧力を加えたとしたら、戦慄する闇の深さだ。
道を外れた団体が政権を縛る由々しき事態
次から次へと出てくる自民党と統一教会との癒着、もたれ合い。なるほど、あれだけ社会問題を重ねても、統一教会がしぶとく生き残ってきた理由がよく分かる。
行政も怪しい。統一教会は名称変更で実体をゴマカし、組織維持を画策。この動きに所轄する文化庁は突っぱね続けていたが、第2次安倍政権下の15年8月に認証された。その背景を日刊ゲンダイ連載で元文科省事務次官の前川喜平氏が語ってくれている。
ズブズブ関係の裏側で教団に人生を狂わされた人々がどれだけいることか。安倍が凶弾に倒れたことを機に、自民党と統一協会の蜜月ぶりをキチンと検証すべきなのに、メディアの突っ込みは甘い。この問題を取り上げるのは民放テレビ局だけで、大新聞はほぼスルー。むしろ、統一教会の田中会長の「09年以降は献金のトラブルはない」との言い分を当初はタレ流す始末だった。
NHKに至っては「日曜討論」が大炎上だ。出演したジャーナリストの江川紹子氏が「(安倍銃撃)事件を機に社会的に問題のある団体と政治家との関係も見直さなければいけない」「国民もメディアも、この問題にもう少し関心を持って、一人一人の政治家をチェックすることも必要になってくる」と指摘した。途中で統一教会の実名を挙げながら筋の通った問題提起に対し、なぜか司会者は絶句後に黙殺。SNSでは「統一教会で議論させないNHK」とコケにされている。
こんな体たらくだから、NHKなどの大メディアは「この期に及んで自民党寄り」と言わざるを得ないのだ。
人生を狂わす活動にお墨付きを与える悪循環
これだけ長年にわたって蜜月関係を堂々と築き上げれば、自民党と統一教会の癒着の弊害を大メディアはとうにお見通し。しかし、何に遠慮してか、事実をありのままに報じないから、教団も政治家もツケ上がる。
その代表が亡くなった安倍だ。首相に返り咲いた第2次政権以降は統一教会との関わりを隠すことなく、大臣、副大臣、政務官に教団の支援を受ける議員を登用。統一教会と協力関係にある方が早く出世できるという認識が自民党内に浸透し、教団の関連イベントに相次いでメッセージを寄せるなど、今や関係のある議員は100人を超える。ますます政治が教団の反社会的活動にお墨付きを与える悪循環だ。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会が、全国会議員に統一教会にエールを送るような行為はやめて欲しいと繰り返し要望しても、自民党は意に介さず。参院選の期間中に教団の集会に馳せ参じ、幹部から『もうすでに食口(信徒)になりました』と紹介された井上義行参院議員(比例)は信徒ではなく、『賛同会員』と説明。夫婦別姓や同性婚への反対が統一教会の賛同を得ていると関係を隠さず、完全に開き直っています」(横田一氏=前出)
大メディアが知らんぷりのままでは、反社会的教団と自民党との歪んだ関係は永遠に続く。根絶できなければ教団に恨みを抱き、暴走する“模倣犯”だって現れかねない。政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。
「安倍氏が統一教会の友好団体を称賛するビデオメッセージを寄せ、進んで広告塔になったことも、連絡会が公開質問状や抗議文を送り、議員会館の安倍事務所が受け取りを拒否したことも、メディアは見て見ぬふりでした。山上容疑者の母親が統一教会に入信したのは、高額寄付への追及が緩んだ時期と重なり、メディアがチェックしていれば暴走と惨劇は避けられたかもしれません。政府提案の『こども庁』の名称が自民党議員の働きかけで『こども家庭庁』に変わったことを、統一教会側は『われわれの戦果』のように宣伝しています。時の政権が反社会的教団にからめとられているのなら、由々しき事態です。メディアは真実を追及すべきです」
このまま、岸田自民党は統一教会との関係を見直さず、内閣改造、安倍国葬へと突き進むのか。多くの国民が闇の深さを知った今、そんなゴマカシはもうきかないぞ。
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