米国に従い、岸田首相は東アジアの軍事的な緊張を高めようと走り回っている
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2022.05.09 櫻井ジャーナル
韓国の大統領は5月10日から尹錫悦に替わる。検事総長として文在寅政権を攻撃、文大統領に近い゙国法務部長官をソウル東部地検刑事6部に起訴させ、゙を辞任の追い込んだ人物。そして3月9日の大統領選挙で勝利した。
文大統領はロシアや中国との関係を強め、2018年4月27日には板門店で朝鮮の金正恩委員長と会談しているが、尹はミルトン・フリードマンの新自由主義を信奉、アメリカの支配層にとって好ましい人物。すでに朝鮮半島の軍事的な緊張を高める発言をしている。その尹が大統領になる韓国との関係修復に乗り出すと日本の岸田文雄首相は4月26日に発言した。
その岸田首相は5月5日にロンドンでイギリスのボリス・ジョンソン首相と会談、共同軍事演習の実施など軍事的なつながりを強めることを決めた。この内容は1月にジョンソン政権がオーストラリアと結んだ協定と似ているとされている。
イギリス、オーストラリア、そしてアメリカの3カ国は中国を仮想敵国とする軍事同盟AUKUSAを組織している。アメリカは日本もこの軍事同盟へ組み込もうとしているのだろう。
アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替え、日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点、そしてインドネシアを両海域をつなぐ場所だとしたが、インドネシアやインドはアメリカの軍事戦略と距離を置こうとしている。それに対し、日本は喜んでアメリカに従属しようとしているわけだ。
インドから太平洋にかけての海域へ出てくるイギリスには19世紀から続く長期戦略がある。ユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部を締め上げるというもので、西端がイギリス、東端が日本だ。この戦略を抜きにして明治維新を議論することはできないだろう。
この戦略をまとめた人物が地理学者のハルフォード・マッキンダーで、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論に基づいている。マッキンダーの理論をアメリカも採用したのだ。
イギリスの支援で誕生した明治体制は琉球を併合した後、アメリカやイギリスの外交官に煽られて台湾へ1874年に派兵、その翌年には李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、そして日清戦争から日露戦争へと突き進んだ。これはイギリスの戦略に合致している。
1982年11月に内閣総理大臣となった中曽根康弘は83年1月にアメリカを訪問、ワシントン・ポスト紙のインタビューで日本を「巨大空母」と表現して問題になる。
同紙によると、中曽根首相は「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったのである。
この「不沈空母」という表現を誤訳だと騒いだ人もいるが、本質的な差はない。中曽根は日本をアメリカの空母、つまりソ連を攻撃する拠点にすると宣言したのだ。
現在、日本とアメリカは中国を封じ込めるために同じ戦略を採用している。中国の海運をコントロールし、中東からのエネルギー資源輸送を断つことができる態勢を整えようということだ。そのためにアメリカ軍は海上支配を強化しようとしているが、中国は対抗している。
アメリカにとって日本列島から琉球諸島、そして台湾へ至る弧状に並ぶ島々は重要な意味を持つ。明治政府は琉球を併合し、台湾へ派兵、李氏朝鮮の首都を守る江華島へ軍艦を派遣して挑発したが、現在の日本も似たことをしている。
台湾は日本と同じように侵略の拠点、韓国は橋頭堡。これは明治時代と基本的に同じだ。蔡英文が台湾の総督に就任したのは2016年。「台湾独立」という餌で釣られた蔡英文は台湾と中国との関係を悪化させている。
アメリカに従属する危険性を認識する国が増える中、日本は嬉々としてアメリカに従属しているようだ。
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