2022年4月11日 21時54分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/171088
自民党安全保障調査会は11日の会合で、外交・防衛政策の長期指針「国家安全保障戦略」など3文書改定に向けて、相手国の指揮統制機能を含む敵基地攻撃能力の保有案を示した。これまではミサイルの早期迎撃に主眼を置いた議論だったが、日本への攻撃を指揮する中枢などを含む考えを追加。出席した議員から賛同する意見が相次ぎ、月内にまとめる政府への提言に盛り込むことでおおむね一致した。憲法に基づく専守防衛を逸脱する恐れがある。(川田篤志)
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会合では、安倍晋三元首相が基地に限定しない「中枢攻撃」の必要性を訴えたことも踏まえ、調査会執行部が敵基地攻撃の範囲について「相手国のミサイル基地に限定されるものではなく、指揮統制機能なども含まれるとすべきではないか」と提起した。政府が従来、保持する防衛力は「自衛のための必要最小限のものに限る」としてきたことから、「『必要最小限度』の自衛力は時々の国際情勢などの諸条件を考慮しながら議論すること」として、時代に応じて柔軟に考える必要性の確認も求めた。
◆憲法との整合性問われる
政府が敵基地攻撃を法理論上、可能とするのは、自衛のための手段が他にない場合なら憲法が認めている必要最小限度の措置と考えているからだ。
ただ、相手国の軍事拠点などを幅広く攻撃する能力の保有は、憲法に基づく「専守防衛」を超えた本格的な打撃力を持つことになりかねず、憲法との整合性も問われる。歴代政権は相手から攻撃を受けた時に初めて反撃することや、防衛力を「自衛のための必要最小限のものに限る」ことなどを柱とする防衛戦略を採ってきた。相手国の軍事拠点だけでなく、戦争遂行能力そのものを壊滅しようとする自民党の主張は、武力は限定的、抑制的に行使するという従来の見解との乖離が大きく、憲法の理念を逸脱しかねない。
調査会幹事長代理の宮沢博行衆院議員は会合後、記者団に「わが国で(憲法上)禁止されているのは、都市部や人口密集地への攻撃だと多くの議員は思っている」と語った。
新たに保有する能力の名称を実態に即した形で見直すことも議論した。「自衛反撃能力」や「領域外防衛」など、複数の意見が出たため、結論は持ち越した。
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