※2021年7月9日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年7月9日 日刊ゲンダイ2面
【なぜ辞めないのか 辞めさせないのか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) July 9, 2021
ポンコツ一人のせいで未曾有の混乱 シッチャカメッチャカ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/oRCbgtm2Xd
※文字起こし
いったい、何回、同じ失敗を繰り返せば気が済むのか。東京都に4回目の「緊急事態宣言」が発令されることが決まった。しかも、今回は7月12日から8月22日まで42日間という長丁場だ。これで夏休みは台無し。また国民は我慢を強いられる。
3回目の「緊急宣言」を解除したのは、6月20日、わずか3週間前だ。東京と大阪は、連続4カ月以上「緊急宣言」と「まん延防止等重点措置」が続くことになる。さすがに、再びアルコールの提供が禁止される飲食店からは、「五輪はやるのに」「店が潰れる」「バカにするな」と怒りの声が上がっている。
「緊急宣言」を発令せざるを得ないほど新型コロナの感染が広がったのは、明らかに人災だ。菅首相が「五輪開催」に固執したのが原因である。五輪開催を優先させたために、コロナ対策も中途半端になってしまった。
菅政権は、7日、都内の新規感染者が920人に膨れ上がったのを見て、慌てふためき、「緊急宣言」の発令を決めたらしいが、感染者の急増は予想されたことだ。政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「都内に“重点措置”が発令されても、繁華街では19時以降もアルコールを提供する飲食店がいくつもあった。菅政権は『どうして飲食店は言うことを聞いてくれないのか』と戸惑っていたそうですが、国民が協力しないのは当然です。感染が広がり、緊急宣言と重点措置が続いているのに、菅政権は、政権浮揚のために五輪開催に固執し、しかも“五輪会場ではアルコールを飲めるようにする”“観客は2万人”“五輪のために終電を深夜2時まで延長する”と、平然と感染を拡大させるプランを掲げていた。コロナ対策とは矛盾するメッセージになった。あれでは、国民だって“なぜ五輪だけ”と、我慢するのがバカらしくなり、危機感だって薄くなりますよ」
菅官邸は、数日前まで、「ワクチン接種が進んでいるから重症者は増えない」「観客を入れて五輪をやる」と、楽観視していたというから、どうかしている。
国民に自助を求めるだけのコロナ対策 |
そもそも、菅政権のコロナ対策は、やり方が完全に間違っている。バカの一つ覚えのように、飲食店を悪者にして、ロクに補償もせずに「時短営業しろ」「酒を出すな」と、繰り返しているが、飲食店をターゲットにするだけでは、効果が上がらないことは、ハッキリしている。
「パンデミックは、国家が責任を持たないと対応できない。国家主導でPCR検査を大規模に実施して感染者を隔離し、飲食店には十分な補償をして休業してもらう。欧州の多くの国は、このセオリーで対応しています。アメリカは、個人に3回も現金を給付している。なのに、菅首相は、コロナ対策まで“自助・共助・公助”でやろうとしている。いざとなったら、国が面倒を見てくれると思うから国民は協力するのに、菅首相はそれが分かっていません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
とうとう、菅政権は、酒類問屋などに対し、「アルコール提供を続ける店舗には納入しないように」と圧力をかけ始める始末だ。どこまで庶民をイジメれば気がすむのか。
バカ丸出しなのは、結局、「緊急宣言」の発令に追い込まれ、1都3県で行われる五輪種目は、「無観客」で実施されることになったことだ。
7月23日の開会まで、あと2週間しかないこのタイミングで無観客になるのは前代未聞のことだ。無観客になったことで、これまで観客受け入れを前提に進めてきた医療体制やボランティア体制も、一から見直さなければならなくなった。ポンコツ首相一人のせいで、なにもかも大混乱に陥っている。
脅迫めいた「ワクチン打て」で現場から悲鳴 |
ワクチンの供給不足による混乱も菅が招いたものだ。「打て」「打て」とあおり立てておきながら、「もうワクチンがない」と、突然ハシゴを外され、現場からは悲鳴が続出している。
さすがに7日の閉会中審査では、自民党議員からも「大変な混乱が起きている」と批判が上がったほどだ。
職域接種に使う米モデルナ製は、6月末まで4000万回分が供給されるはずだったが、突然、1370万回分に減らされてしまった。これじゃあ、ワクチン接種を進められるわけがない。しかも、河野ワクチン担当相は、供給量の激減を「ゴールデンウイーク前ぐらい」に把握しておきながら、ワクチン不足を“隠蔽”して「打て」と迫っていたのだから、混乱を招くのは当然だ。
「自治体が接種する米ファイザー製も滞っています。神戸市ではワクチン不足のおかげで、約5万人分の予約がキャンセル扱いになってしまった。7月下旬には、配送量が自治体が求める量の3分の1に低下する見込みだから、先行きはなお不透明です」(自治体関係者)
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「菅首相は接種の優先順位をなし崩しにし、確保見通しが曖昧なまま『ワクチン一本足打法』を進めてきました。ひずみが生じるのは当然。河野担当相の対応もヒドイものですが、菅首相がとにかく『打て』と、半ば脅迫めいた指示を出しているわけですから、まともな対応ができなくなっているのでしょう。結果、医療従事者と接種対象の国民にしわ寄せがきている。これも人災です」
「一大感染イベント」まっしぐら |
これ以上、無能な首相をのさばらせていたら、大変なことになる。一刻も早く総辞職させるべきだ。
結局、五輪は1都3県では「無観客」で実施することが決定。菅は会見で五輪開催の意義を問われ「世界が一つになれる」なんて言っていたが、海外からの観客はもちろん、日本人もナマで競技を見られないのに、どこが「世界が一つになれる」大会なのか。東京五輪は、本来の「祝典」とは全くの別物となった。「コロナに打ち勝った証し」どころか、虚しさと敗北感が漂う五輪となりかねない。開催の意義は完全に失われている。
そればかりか、このままでは「一大感染イベント」になるのは間違いない。選手や大会関係者は、バブル方式で外部との接触を断つとしているが、大会関係者はコンビニやレストランの個室も利用できる。しかも、3万人とされる海外メディアは、ほぼ行動がしばられることはない。バブルは“穴”だらけになる可能性が高い。
自民党はいつまでこのポンコツに首相を続けさせるつもりなのか。
「自民党が“惨敗”した都議選を巡って、以前から関係者の間で『菅総理に来られたら負ける』という声が上がっていました。でも、菅降ろしの気配もない。安倍政権の7年間、官房長官を務めてきた菅首相は、自民党のあらゆる不祥事の情報を握っている可能性がある。報復される恐れがあるので、やすやすと降ろせないのでしょう。しかし、一刻も早く辞めさせるのが国民のためです。それができない自民党は情けない限りです」(五野井郁夫氏=前出)
膨大な無駄金をつぎ込んだ五輪が、感染爆発の引き金になれば、レガシーなど残り得ない。