自身の軍事冒険で、他の国々に代償を支払わせようとしているワシントン
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2021年5月29日 マスコミに載らない海外記事
2021年5月19日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook
ベトナム戦争の悲劇、イラクでの、そして今アフガニスタンでの敗北が、アメリカには、実際、戦争に勝つ能力がないことを示している。実際、全ての米軍侵略の例が、どんな敵とでも対決するのに必要な軍事力を持っていると確信するアメリカ当局の、比類ない自信によって引き起こされてきたが、明らかに、そうではないことを歴史が示している。
実際、大半米軍の失敗は、相互に関連する多くの理由によって説明することができる。これらがそうだ。ワシントンが、侵略する国と、その国が位置している地域の複雑さを理解できないこと。現地で、信頼できるパートナーを見つけるのに失敗すること。アメリカが侵略する国の国民の反対。それ加えて、侵略が宣言された際、ワシントンが約束を果たしそこねたことの、有権者への影響。ロバート・ゲイツ前アメリカ国防長官でさえ、2014年に出版された自叙伝で、アメリカは、どのように政府を打倒すべきか知っているが、誰で彼らを置き換えるべきか皆目分からないことを公然と認めた。
それ故、第二次世界大戦以後、アメリカは、発展途上国で戦った戦争のいずれでも勝利を得られなかった。同時に、アメリカ軍事侵攻の結果、侵略された国と、アメリカ国内で生じた不満は、国際舞台における主要当事者としてのアメリカの権威の急速な下落をもたらした。ワシントンの介入主義願望を依然支持している個別の国との間で続いている「同盟関係」も、近年起きた世界の様々な地域でのアメリカ軍事同盟の危機によって示されたように、それらの国々は、ほとんど誠実だとは言えない。
だが支配層のアメリカ人エリートが耽るのを好んでいる、比類ない軍事出費から利益を得る罪深い喜びが、アメリカを新しい対立に押しやっている。ロシアだけでなく中国も「アメリカの敵」とされたのは偶然の一致ではなく、今新たな戦争のために準備しているNATO加盟国の軍隊の動員をもたらす。軍事演習のかたちでの武力誇示と、ロシアと中国国境沿いでの挑発は、既に一種の慣習のようなものになっている。
日々、ワシントンは、ロシア国境に、益々多くのアメリカ軍隊を配備し、攻撃目的に役立つだけの機器が東ヨーロッパに輸送されている。最近、ニューヨーク・タイムズが、アメリカは、トランプが提案したように軍隊をドイツから撤退させず、代わりに、ドイツでの軍事駐留を強化すると明らかにした。更に500人の軍人がウィースバーデンのアメリカ基地に配備されようとしている。部隊の一つは諜報、サイバースペースと電子戦能力を持っており、他は多国間協力を改善するのが任務だ。ベルリン訪問の際、ロイド・オースティン国防長官は、これら勢力が「戦って、勝つ」だろうと強調した。
同時に、今秋、アメリカ軍は大陸で永久派遣のため第5世代のF-35戦闘機をヨーロッパに移し始めるだろう。これはアメリカ上院での聴聞の際、アメリカ欧州軍のトッド・D・ウォルタース司令官が明らかにした。
ロシア国境でのNATOとアメリカ軍隊の数が増大し続けるにつれ、これが緊張を再び高めだけなのは明確だ。
バルト海、バレンツ海と黒海での挑発的飛行は、定期的な、ほぼ毎日の事象になっている。それらの飛行は、ロシア軍用機に迎撃される。最近、ワシントンは、銃撃戦が起きた場合、同盟諸国が砲弾の餌食に使われるのを期待して、同盟諸国を、このような挑発を画策するよう引き込み始めた。この発想は、最近の国防総省の反ロシア火遊びでのノルウェーと、その軍隊の利用が実証している。
最近のアメリカとノルウェー間の合意は、二国間軍事協力を拡大し、この地域での作戦を支援するため、アメリカが施設をノルウェー領に作るのを可能にし、他方アメリカ兵は、いかなるノルウェー軍事施設への「妨害されないアクセス」を認められる。この合意は、多くの施設、すなわちノルウェー南岸近くに位置するリュッゲ空港やスタヴァンゲル・ソラ空港や、ノルウェー北部の北極圏にあるエヴェネス飛行場やラムスン海軍基地などで、国防総省が何であれ欲するものを建設する権利を与える。二国間軍事協力の拡大は、ロシアとヨーロッパ間、特に北極圏で緊張が高まる最中に起きている。ノルウェー空軍は、ノルウェーに初めて配備されるアメリカ戦闘機と爆撃機と定期的に演習を行う。
ノルウェー・メディアが強調しているように、現地住民は、アメリカがノルウェーに軍事基地を建設するのを認める政府決定に危機感を募らせている。彼らの意見では、これは抑止要素ではなく、それどころか、ロシアとの武力戦争に向かう一歩だ。ノルウェー人は、アメリカ軍に使用される地域は、NATOとロシア間の軍事衝突の場合、主要標的になるのが確実で、ノルウェー自身にとって重大な結果をもたらすことを認めている。ところが現政権は、ノルウェー政策の基本原則の一つを見て見ない振りをすることに決めたのだ。ノルウェー領土に、外国兵士が入ることを許してはならない!
ノルウェーの新聞Dagsavisenは、制限を超えて、攻撃作戦を行う無制限の権利を与えたNATO側のいわゆる「信頼できる抑止力」は新たな戦争を招くと、はっきり述べている。これは危険が大きいゲームで、最新のステップは、最近までは、NATOの支持を得てでではあるが、ノルウェー防衛の仕事は主にノルウェーの国家責任だったものを、アメリカの任務にしたのだ。特に、最近のアメリカ大統領をひと目見れば、これは極めて危険な決定であるように思われると、同紙は論じている。
だが最初のアメリカ原子力潜水艦が、間もなく、ノルウェーの民生工業港トロムソで、ドック入りし、その後、このような船が、そこで日常茶飯事になるだろう。ヴェルデンス・ガング紙によれば、多くの人々がアメリカ原子力潜水艦入港を認めるという考えに批判的なので、この問題は地元住民の間で大論争をひき起こした。公開集会で、フランク・バッケ=イェンセン国防大臣は、地方自治体には、アメリカ原子力潜水艦艦内の核兵器存在可能性に関して監督権がないと述べ、ノルウェーに寄港する全ての外国軍艦に核兵器を搭載しないことを義務づける1975年のブラッテリ・ドクトリンに言及しただけだった。
アメリカ潜水艦がトロムソでドックに入るのを認められた後、現地当局は、放射性物質漏洩の場合、少なくとも彼らの市民の安全を保証するため、幼稚園と小学校に「予防目的の」ヨウ素剤を配布し始めた。だが専門家は更にもう一つの脅威を示している。アメリカ潜水艦が核兵器を搭載していれば、即座に報復攻撃の主要標的になるのだ。
他の国々を、その軍事冒険に巻き込むアメリカ試みに対する類似の批判的評価をスウェーデン・メディアも表明している。彼らは、特に巨大なNATOのDefend Europe 2021演習が、なぜロシア国境近くで行なわれるのかと疑っている、これは誰にも嫌な思いをさせないだろうか?アメリカが率いるNATOは、東方向への耐えざる拡大と、ロシアを包囲したいというワシントンの公然の願望を背景に、このような動きをしているのだ。参加諸国の一部は、アメリカがロシア国境に益々近く軍隊を配備するのを認めており、これは、NATOの意図的前進が「ロシア・プロパガンダ」による一種のニセ情報ではなく、現実であることをはっきりと示している。2016年にスウェーデン議会に認可された派兵に関するNATOとスウェーデンの条約は、アメリカとNATOが、対ロシア戦争を行うためにスウェーデン領を使うことが可能なことを意味している。「スウェーデンが彼らの指揮に従っているのは残念だ」とSwedish Proletären紙が指摘している。
ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/19/washington-tries-to-make-others-to-pay-the-price-for-its-own-military-adventures/
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