五輪警官宿舎で“48億円ドブ捨て” 第4波備え都民に開放を!
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2021/04/10 日刊ゲンダイ
鶴の一声で(安倍前首相)/(C)日刊ゲンダイ
「元に戻す必要があるのか」と批判殺到なのは、東京五輪を警備する警官用臨時宿舎の再改修だ。この案件、言い出しっぺは安倍前首相だった。
「改修して800人規模で軽症者を受け入れる施設を整備する」
そう表明したのは昨年4月7日。初の緊急事態宣言を発令した記者会見の冒頭だった。安倍前首相の鶴の一声で、警察庁は全国から駆り出される警官用に造った江東区や江戸川区など4カ所の宿舎を全面改修。約37億円をかけ、大部屋に間仕切りをして個室化し、フロアごとにトイレや洗面台も新設した。看護師の常駐部屋やナースコールなども設け、4月末には約40棟、770室を軽症者が使えるように整備したが、東京都は一度も使ってくれずにたなざらし。
廊下は狭く、動線確保が難しい宿舎に対し、部屋ごとにトイレがあるなど住環境充実のホテルを優先させた結果だが、「責任者のアベは出てこい!」と言いたくなる。いよいよ、五輪開催が近づくと、さらに11億円かけて復元するというから、壮大なムダ遣いだ。
48億円かけて1度も使わず、さらに11億円かけて復元するという(五輪警察官用の臨時宿舎)/(C)共同通信社
生命より開催優先 |
総工費は48億円に積み上がり、既に工事は開始。この愚行に「今後、感染者が増えてホテルが足りなくなったら、どうするのか」「簡単に改修してまた戻してというのは、正しい判断なのか」と疑問の声が上がるのも当然である。
小池知事が政府に「まん延防止等重点措置」適用を要請するほど、都内の医療体制は逼迫間近。宿泊療養者数も8日は836人と、先月8日の417人から1カ月で倍増した。せっかくの療養施設を五輪の犠牲にしていいのか。
「これから感染力が1.7倍の英国型変異株などが蔓延し、爆発的感染が起きる可能性は十分にあり得ます。軽症者を全員ホテルに収容しきれなくなる事態は容易に想像がつく。また、重症患者の症状が改善しても引受先がないため、ベッドをふさぎ、他の患者が入院できないケースも起きています。万一に備えて宿舎を軽症者用に維持して欲しいのは、都民と医療従事者が願うところです」(ハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏=元WHO専門委員)
そんなに五輪に必要な宿舎なら再改修費の11億円を充てれば、それなりの新施設を造れそうなものだが……。