何があったのか…野村HD2200億円損失の衝撃!株価16%超安
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/287213
2021/03/30 日刊ゲンダイ
4月下旬に決算発表(C)共同通信社
市場関係者は凍り付いたに違いない。
証券最大手の野村ホールディングスは29日、米子会社による顧客との取引に関連して、多額の損害が生じる可能性があると発表した。想定される損害額はなんと、約20億ドル(約2200億円)にも上る。巨額損失の裏に何があったのか。
米ブルームバーグ通信など複数の海外メディアによると、問題の火種となったのは、米ヘッジファンドの「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」。野村の取引先とみられている。アルケゴス社は先週、保有株の値下がりを受け、取引銀行から担保の追加(追証)を求められたが対応できなかったという。経済評論家の杉村富生氏がこう指摘する。
「アルケゴス社の注文を受けた米金融大手のゴールドマン・サックスが、米メディア銘柄や中国企業銘柄など約1兆5000億円相当の株式を『ブロック取引』していた、と報じられています。売り建てで追証を入れられず、強制弁済をさせられたのではないか。リスクマネジメントをしていたのか、銀行はいくら融資していたのか、詳しい情報は依然として不明です」
発表文以外はノーコメント |
野村にコトの経緯や背景を問い合わせたが、「お答えを控える」(広報担当)と、ノーコメント。損失額については「精査している」(同)と答えるにとどめた。
野村は今回の騒動に関し、〈当社および米国子会社の業務遂行や財務健全性への問題はありません〉と強調したが、同社の株価は29日の終値で前週末比16%超安の603円に急落、翌30日も599円で引けた。2000億円超の損失に加え、ブランドイメージも大きく傷ついてしまった。
「市場は寄り付いたが、下げ止まりませんでした。損失がどこまで膨らむか分からない、2200億円では済まない、という心理が働いたのでしょう。損失に関する情報がほとんど出てこなかったからです。20億ドルの損失が野村本体に影響を与えなくとも、子会社が吹き飛ぶほどの規模にもかかわらず、発表文以外はノーコメントです。これでは個人客を大事にしないと思われても仕方がありません」(杉村富生氏)
野村は4月下旬に決算発表を予定している。本当に損失は2200億円で済むのか、本社の経営にどこまで打撃を与えるのか、不正はなかったのか。詳細を明らかにしない限り、疑心暗鬼は広がるばかりだ。