コロナ問題:第4波対策、政府切り札「マンボウ」発動できるのか ?
安倍内閣・菅内閣のコロナ対策の深層・真相は ?
(news.yahoo.co.jp:2021年3/20(土) 10:31)
◆マンボウ:まん延防止等重点措置 !
首都圏1都3県で2カ月半続いた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が21日、解除される。
「第4波」の到来に、警戒感を強める政府は、宣言の前段階で集中的な対策を取る「まん延防止等重点措置」(略称・マンボウ)の活用も視野に入れる。
ただ、発動の目安となる基準や運用を巡って政府内には温度差もあり、未然に危機を防ぐ「サーキットブレーカー」の議論は緒に就いたばかりだ。
◆サーキットブレーカー:市場の安定化を図る措置 !
サーキットブレーカーとは、株式相場の変動が過度な場合に、証券取引所が取引を一時中断させ、市場の安定化を図る措置のこと。コロナ対応では、感染拡大の兆候が見られる際、感染爆発を防ぐために強い措置に踏み切ることを意味する。
18日、首相官邸。1都3県の宣言解除を決めた、菅義偉首相と並び記者会見した、分科会の尾身茂会長は、「1月の宣言を発出せざるを得なかった理由は、サーキットブレーカーが利かなかったからだ」と述べた。コロナ感染爆発の前に、サーキットブレーカーを発動して、事態を沈静化していれば、緊急事態宣言には至らなかったということだ。
◆実際の運用には課題が多い !
分科会の提言により、マンボウは、2月13日施行の改正新型コロナ特措法に新設された。
菅首相が、期間や都道府県単位の対象地域を決め、知事の裁量で地域を絞って、飲食店の営業時間短縮などの対策を取ることができる。
ただ実際の運用には課題が多い。宣言ほどではないにしろ、一定の経済活動を封じるマンボウも「安易には抜けない」(首相周辺)のが政府の本音だ。
これまで新規感染者数や病床使用率など、6指標が、宣言発出や解除の目安となっていたが、加藤勝信官房長官は、19日の会見で、「ステージに関わる指標の考え方などについて、専門家と議論を進めていきたい」と述べ、政府は、来週にも分科会を開いて基準の見直しに着手する方針である。
◆専門家:国と地方で、共通の認識があるのか疑問 !
だが、そもそも感染状況の指標は、コロナ感染の実態と2週間のタイムラグがあるため、発動の基準を定めるのは、容易ではない。
専門家の中には、「(分科会メンバー間や)国と地方で、共通の認識があるのか疑問」(釜萢(かまやち)敏氏)といった声もある。
飲食店に照準を合わせた対策には、限界が見え始めており、政府関係者は、「次のコロナ感染拡大が迫っている。三たび後手に回ることがあってはならない」とくぎを刺す。(河合仁志)
(参考資料)
○日本のコロナ対策がここまでグダグダになった理由とは ?
(finders.me/articles.php?id:2020/9/1)
◆西田亮介が「コロナ危機」の政府
・行政・メディアを振り返る【前編】
「日本人の悪いところは、どれだけ大きな問題が起こってもすぐに忘れてしまうことだ」とよく言われる。新型コロナウイルスの感染拡大が起こってから約半年、一貫して「日本政府の対応は遅いしグダグダ」と言われてきたが、具体的にどんな対応を行い、どのように評価・批判されてきたか覚えている人は果たしてどれだけいるだろうか。
社会学者の西田亮介氏が執筆した『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』(朝日新聞出版)はその振り返りをするために格好の1冊だ。初期のWHOおよび厚労省の対応、ダイヤモンド・プリンセス号問題、全国一斉休校の緊急会見、全国的なマスク不足、緊急事態宣言とその解除、といった6月末までの総合的な状況推移の解説と分析が、膨大な資料とともに記されており、この間メディアでもほとんど振り返られることがなかった2009年の新型インフルエンザの国内流行期の対応や顛末についても触れられている。
「政府の対応はダメだ」「マスゴミは酷い」と批判するのは簡単だが、何がなぜダメだったのか、評価できるポイントは無かったのか。より具体的に知っていかなければ問題の解決からは遠ざかり、またぞろ忘却され同じ問題と批判が繰り返されることになるだろう。今回はインタビュー前後編を通じて、政府・行政(自治体)・メディアの三者について、評価点と課題をそれぞれ語っていただいた。
前編では主に政府・行政について触れていく。
聞き手・文:神保勇揮
○日本の新型ウイルス検査、少なさに疑問の声 !
(www.bbc.com:2020年4月30日)
日本はなぜロックダウン(都市封鎖)をしないのか? 世界中の友人から何度、そう聞かれたことだろう。ヨーロッパやアメリカの現状を考えれば不思議ではない。ただおそらく、問いの立て方が間違っている。台湾、香港、韓国、中国本土の大部分も、これまで一度も全面的なロックダウンを実施していない。
日本で起きていることを理解したがっている人にとってより不可解なのは、なぜ新型コロナウイルスの感染症COVID-19の検査がこれほど少ないのかだ。
ドイツや韓国と比べたとき、日本の検査件数は0を1つ付け忘れているようにみえる。
日本の感染流行の中心地、人口約930万人の東京をみてみよう。2月以降、COVID-19の検査を受けた人は1万981人しかいない。うち4000人強が陽性だった。
この結果は、検査人数の少なさと、陽性の割合の高さの両方において際立っている。
ここからわかるのは、日本ではすでに病状が明らかな人だけを検査していることだ。実際、医師向けのガイドラインは、患者が肺炎にかかっている場合だけ検査を勧めるべきだとしている。
そのため、検査を受けたいと思っている人の中に、かなり異常な経験をする人が出ている。
ジョーデイン・ヘイリーさんは、日本で翻訳家として働くアメリカ人だ。彼女はスカイプを通した取材で、日本語が達者ではない友人が検査を受けようとして、何が起きたかを語った。
日本は検査対象を広げるべきだと指摘する人もいる(都内の病院、4月17日撮影)
彼女の友人に発熱とせきがみられたのは4月10日のことだった。ガイドラインに従い、4日間様子をみた。
「そのころには彼女は呼吸がしにくくなり、酸素欠乏で目まいもしていました」とジョーデインさんは話す。「COVIDホットラインに電話しました。支援を拒まれました。友人が病気なら彼女自身が救急車を呼ぶべきだと言われました」。
翌日(4月15日)、友人はクリニックを見つけ、肺のレントゲン撮影をしてもらった。医師は、おそらくCOVID-19にかかっているだろうが、入院するほど悪くはないと言った。そして、自宅に帰って自主隔離するよう伝えた。
翌16日深夜、友人からジョーデインさんに電話があった。友人は苦しんでいた。
「背後で救急隊員の声が聞こえました。彼女は激しくせき込んで息を切らし、何を言っているかわからないほどでした。受け入れてくれる病院が見つかるまで、2時間かかりました。その間、彼女の呼吸はどんどん苦しくなっていきました」
病院に着くと改めて肺のレントゲン撮影を受け、自宅近くの保健所に連絡してPCR検査を受けるよう言われた。しかし医師は紹介状を書こうとしなかった。友人はタクシーで自宅に戻された。
「彼女は病院で、タクシーに乗ったら窓を開けなさい、よくなるでしょうと言われたんです」と、ジョーデインさんはあきれた表情で言う。
4月17日になり、ジョーデインさんは近所の保健所に電話した。2時間にわたって電話はたらい回しされた。その後、いくつもの質問に答えた。そうしてやっと、友人の予約が取れた。ただ警告を受けた。
「友人は必ず通用口から入るように」。ジョーデインさんは告げられた。「彼女はどこで検査を受けるか、絶対に誰にも言ってはならない。混乱を招きますから」
命が脅かされていると考える人が不安を覚える以外に、それがどんな影響を及ぼすというのか? 日本のCOVID-19の死者はいまだ非常に少なく、400人に満たないのだ。
乗客がほとんどいない新幹線の車内(横浜で、4月22日撮影)
ソーシャルメディアで私はよく、こう言われる。「日本は本当に支援が必要な人を識別していて、医療も一流だ、だから死者がこんなに少ない」。
英キングス・コレッジ・ロンドンの渋谷健司教授によれば、これは間違いではない。
「医師の観点からはうなずけます」と彼は言う。「軽症は気にせず、重大な症状がみられるケースに集中して命を救う。検査は症状がみられる人に重点を置く」。
しかし公衆衛生の観点からは、検査を拡大しない日本の姿勢は極めて危険だと、渋谷教授は言う。
彼は東京の慶応大学の研究を指摘する。
同大学の付属病院は先週、COVID-19と無関係の病気や治療で入院した患者への、PCR検査に関する研究を公表した。それによると、対象患者の6%が陽性と判定された。
サンプル数が少なく、「一般化できるもの」ではない。それでも渋谷教授は、「とても衝撃的だった」と述べる。
「私たちは間違いなく、症状の出ていないケースや軽症のケースを見逃しています」と彼は言う。「地域での伝染は、広い範囲で明らかに起きている。この状況をとても懸念しています」。
◆日本:感染者公式発表の人数の20〜50倍
=28万〜70万人になるかもしれない !
いったい何人くらい? 彼もはっきりはわからない。ただ、慶応大学の結果から、公式発表の人数の20〜50倍になるかもしれないと、渋谷教授はみている。つまり、日本で28万〜70万人が感染している可能性があることになる。
検査が増えなければ、実情はわからない。しかし事例証拠からは、感染は報告されているよりずっと広がっているとの見方に真実味があることがわかる。
比較的少ない死者の中には、有名コメディアンの志村けんさんや俳優の岡江久美子さんが含まれている。注目を集めた感染者としては、相撲の力士7人やテレビ司会者、元プロ野球選手2人、有名映画脚本家などがいる。
「現在東京で新たに感染が確認されている人の70〜80%は、既知のクラスター(小集団)にいた人ではありません」と、日本医師会会長の横倉義武医師は言う。「もっと速やかにPCR検査を実施し、もっと素早く結果を出す必要があります」。
公式発表によれば、東京の新たな感染者はここ1週間、減少傾向にある。いいニュース? いや、必ずしもそうではない。
「人数は本当に減っていると信じたい」と横倉医師は話す。「しかし、それを判断するには検査の数が不十分です」。
このことは、日本が緊急事態宣言を解除できるかに直接影響を及ぼす。宣言は現時点で5月6日に終了の予定だ。
「現段階で緊急事態宣言は解除できません」と横倉医師は言う。「解除には、新たな感染者の安定的な減少と、実効再生産数が1を大きく下回ることが必要です」。
相撲は無観客で開催されている(大阪で、3月8日撮影)
日本では今週、ゴールデンウィークが始まった。沖縄県の玉城デニー知事によると、連休中の沖縄への航空便を予約した人は6万人に上るという。
玉城知事は予約者に、来ないでほしいと訴えている。
「残念ですが沖縄は緊急事態宣言の体制です」と、彼はソーシャルメディアに書き込んだ。「どうか今の沖縄への旅はキャンセルしてください」。
来週は気温が上がり、晴れると予想されている。人々は海や山に向かい、必然的に自覚なしに新型ウイルスを連れて行く人が一定数、現れるだろう。
渋谷教授は、日本は現在の戦略を放棄し、検査を増やすことが必要不可欠だと話す。
「検査をもっと広げないと、この世界的流行を終わらせるのはかなり難しくなります」
◆感染者数:令和3年2月15日0:00現在、検査陽性者415,782人が確認されている。
人口は、1億2585万8千人である。
◆20倍の感染者:8、315、640人である。