NHK・日曜討論:野党の見解・詳報は ?
○泉政調会長:「わが党の要求が成果を上げつつある」と記者会見で
(cdp-japan.jp:立憲民主党:2021年1月28日)
泉健太政務調査会長は1月28日午前、国会内で記者会見を開き、(1)新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案をめぐる与野党修正協議(2)2020年度第3次補正予算――等について発言しました。
新型コロナウイルス対策の特措法などの改正案をめぐっては、26日から与野党で始まった修正協議について、同日午前の国会対策委員長会談で、感染症法改正案から刑事罰の規定をなくすこと、特措法改正案については、金銭罰の規定は罰金から前科のつかない行政罰の科料に変え、具体的な過料額の引き下げについては引き続き協議すること、緊急事態宣言が出される前の「まん延防止等重点措置」を実施する際に、政府に対して、国会への報告を担保することなどを合意したと報告。
「基本的にはわれわれが強く求めてきたことには前進が見られたと、現時点では評価したい」と述べ、今後は国対での協議などの動向を踏まえ、最終的な判断をしていく考えを示しました。
第3次補正予算については、「緊急事態宣言の期間の延長が想定されるなか、GoToキャンペーンの予算として1兆を超える額を計上していることは、現実をまったく見ていないと言わざるを得ない」と批判。こうした緊急性を要しない予算の削除を求める野党の提案に、国民の理解、共感が日に日に高まっていると手応えを示しました。
ワクチン接種については、明日29日に党としての初会合を開くと述べ、「自治体から単価や医師、看護師の手配の問題、そもそもワクチン供給が予定通りなされるのかなどさまざまな声が上がっている。接種をする国民からもさまざまな不安の声が上がっているので、政府とのやりとりのなかで状況を確かめていきたい」と述べました。
また、国会審議で休業支援金の申請期限について尋ねた大西健介衆院議員、石橋通宏参院議員に対し、厚生労働省・職業安定局長から、「休業支援金の申請期限について、現在1月末までとなっているシフト労働者等の申請期限については3月末まで延長する方針となった」との旨の報告が文書であったと述べ、「こうした形でわが党が要求したことが、具体的に厚生労働省を動かし、国民のために制度が延長となったり、特措法の刑事罰が削除されるなど、次々と成果を上げつつあり、さらに具体的な提案をしていきたい」と力を込めました。
同日未明に行われた、菅総理とアメリカのバイデン大統領との電話首脳会談について評価を問われると、「トランプ前大統領の時と比べてずいぶん遅い」とタイミングの問題に加え、内容についても「関係強化を図っていかなければいけないなか、熱意を感じることができない。新型コロナウイルス感染対策での共同歩調や、東京オリンピック・パラリンピックの開催などをめぐり、もう少し互いのメッセージを確認することができたのではないか。そうしたことがないのは少し肩透かしであり、あいさつ程度になってしまったのかな」などと述べました。
○NHK日曜討論:田村政策委員長の発言
(www.jcp.or.jp:共産党:2021年2月1日)
日本共産党の田村智子政策委員長は31日のNHK「日曜討論」で、審議入りした新型コロナウイルス感染症に対応する特別措置法・感染症法等改定案への対応や医療・事業者支援、ワクチン接種の体制整備などについて各党政策責任者と議論しました。
◆感染の現状、宣言の延長
感染拡大の現状を問われた自民党の下村博文政調会長は、緊急事態宣言で感染者数は減少傾向にあるとの認識を示しました。
田村氏は、自宅療養中の感染者が27日時点で全国3万5000人を超え、療養中の死亡も相次いでいると指摘。医療支援予算3・3兆円のうち現場には約1兆円しか届いていないと述べ、「医療への手だてが切迫して求められている」「シンプルに経営と人件費にあてられるのは減収補填(ほてん)だと昨年から言われてきた。地域医療全体を支えていくために、ここに踏み出すべきだ」と強く求めました。
緊急事態宣言解除の判断について、田村氏は、医療の逼迫(ひっぱく)の解決がみられなければ困難だと発言。宣言下で日中の行動制限も呼びかけながら、事業者への協力金は午後8時までの時短要請を理由に限定的でよいとしていると指摘し、「事業や雇用をどう支えるか、真剣に現場の声を聞きながら進めることが求められる」と訴えました。
自民・下村氏は宣言の解除・延長について、専門家の会議の判断を受けて政府が対応するが、最悪を想定して今から準備すると述べました。立憲民主党の泉健太政調会長は、宣言を延長するなら、支援措置延長や税金や社会保険料の猶予が必要だと主張。患者を限りなくゼロに近づけたうえで経済を再生する「ゼロ・コロナ戦略」をとるべきだと訴えました。国民民主党の舟山康江政調会長は、宣言が発令されていない地域も人の動きが止まっており、支援が必要だと訴えました。
◆特措法等への罰則導入
特措法・感染症法等改定案で入院拒否などをした感染者への刑事罰が与野党の修正協議で削除され行政罰となったことについて、田村氏は「患者に対する刑事罰はとんでもないことで取り下げは当然だ」と指摘。一方で、「行政罰であっても感染症の対策に逆行するものであり反対だ」と強調しました。
立民・泉氏は、刑事罰の削除は前進だが、行政罰が残ったことは力不足でおわびしたいと発言。国民・舟山氏は、緊急事態宣言の前段階に創設する「まん延防止等重点措置」について適用の要件などが不明確だとして国会関与のあり方などを明確にするよう求めました。
自民・下村氏は、罰則導入は知事会からの要請だと述べ、いきなり罰則ではなく要請・命令・立ち入りなどの最後に行政罰があるなどと弁明しました。
これに対し、田村氏は、厚生科学審議会感染症部会では保健所の現場から「知事とコミュニケーションをとって、そのような要望をあげてくれといったことはない」との発言があったことを紹介。全国保健所長会も懸念を示す意見書を提出していると述べ、「現場の声に応えるものではない」と批判しました。
また、感染経路などを調べる疫学調査の協力拒否への罰則導入で、拒否に正当な理由があるかの判断などが保健所に任されれば、「患者との信頼関係にヒビが入り、むしろ聞き取りを困難にしてしまう」と指摘。「入院ができない場合も事情を聞き取りながら解決してきたものを罰則で脅すやり方はいかがなものかというのが現場の声だ」と主張しました。
田村氏は、飲食店が時短に応じられないのは、店がつぶれてしまう、従業員の生活が成り立たなくなるという苦悩の上のことだと指摘。濃厚接触者になり2週間自宅待機となれば、傷病手当もなく、非正規雇用の人はどう生活したらいいのかと述べ、「安心して休める補償、感染した場合に療養に専念できる生活保障こそが実効性だ」と強く訴えました。
◆雇用・暮らしへの支援
雇用や経済への支援も議論になりました。自民・下村氏は、時短要請に応じた飲食店への協力金1日6万円は月単位でみれば180万円になり、固定費は「ほとんどカバーできる」などと発言しました。
田村氏は「180万円だから大丈夫というが事業規模や家賃でまったく違う」と批判。「しかも約1年にわたって疲弊し続けているもとでの緊急事態宣言であり、そのさなかに持続化給付金も家賃支援給付金も制度終了はありえない。頑張ってやってきた老舗のお店も次々と閉店している。今の制度で足りるという認識をまず改めていただきたい」と迫りました。
市民団体などによる生活相談で、寒い中1時間並んで若者が食料を受け取るなど雇用が失われ生活困窮に陥っている実態を指摘し、「生活困窮に対する新たな給付金を私たちも提案している。ぜひ新しい施策の検討を」と求めました。
◆ワクチン接種の課題
ワクチン接種の体制整備について田村氏は「安全性と有効性の十分な確認と、国民に対して情報公開し不安に応えることが大前提だ」としたうえで、実際に接種を進める際には医師・看護師の体制の確保が一番の課題だと指摘しました。
治療やPCR検査など新型コロナ感染症そのものへの対応が続くなかでワクチン接種も進めていくことになると述べ、「ワクチン接種ができる地域の医療体制を、新型コロナ対策を進めるなかでどうしていくのか。改めて医療機関全体の減収補填を、ワクチン接種の問題としても深く捉えて考えていただきたい」と提起しました。
自民・下村氏は「今のご指摘はもっともだと思う。安心してワクチン接種に取り組める状況をつくるよう党としても対応する」と応じました。
○国民民主党・玉木代表定例会見
(www.jiji.com :国民民主党:2021年1月28日)
【冒頭発言概要】
特措法などの改正案について与野党で協議がありますが、我々としては先日私自身が国会で質問に立ち、問題点を明らかにしてきたように、まず大切なのはいかに実効性を担保できる法改正ができるかです。
従来から、補償をもとに罰則をセットで導入して“北風太陽セット”で実効性をあげることができるかどうかが法改正の大きなポイントです。あわせて、私権制限を伴うことになるので、そのプロセスやそのための経済的支援補償があるのかと、この北風太陽を両立させるバランス、ここが担保されていることが大事です。
その意味で、問題視しているのは、まん延防止等重点措置です。これも国会で申し上げましたが、平時・有事のきちんとした境目を明確にすること。有事で宣言がでれば民主的統制のもとで私権制限を認め、平時は行わないというメリハリをつけることが大事です。間のグレーゾーンとしてのまん延措置はいろんな意味で問題があると考えます。協議のなかで強く与党側にも理解をしてもらいたいし、申し上げたいのは、罰則は基本的に宣言下に限る明確な原則が必要だということ。平時で罰則がかけられるようなことになれば、宣言を出した際の効果も減じてしまいます。罰則は宣言下に限定する、すなわちまん延措置では罰則はつけないことが大事です。
あわせて、罰則は仮にと言っても一定の私権制限が入るので、現在の緊急事態宣言に求められるものと同じ国会の事前報告は当然求めることになります。感染症法の一定の罰則は賛成ですが、懲役を伴う刑事罰を科すことについては慎重な議論が必要だと考えます。
いずれにしても、まん延措置のグレーゾーンの設定については問題があります。委員会にも話題に上がりましたが、西村大臣の答弁では「正当な理由」に要請を断ったら罰則になりますが、従業員雇用を守る、お店を守るというまっとうな要求要望は正当な理由にならないとの回答をされました。これは極めて重大な問題です。全国の飲食店の皆さんに影響を及ぼす可能性が高い。ここは国民や飲食店の皆さんには感心・問題意識をもってもらって、我々も訴えたいと思います。
大事なのはプロセスです。29日に提案理由説明をして、土日をまたいで翌日に参考人質疑、連合審査をして通してしまうと言われています。これほど重要な法案を、こんなに短期で、しかも十分な審議時間を取らずにに進めるのは将来に大きな禍根を残すでしょう。様々な論点があります。十分な時間をとって、参考人を呼び、場合によっては公聴会も設けます。私権制限の対象になるような飲食業の方からまったく意見を聞かずに法案を通すことはあってはなりません。
丁寧な審議を行うことを、野党第一党の立憲民主党にも申し上げたいし、政府与党にはぜひそこは理解をして十分な審議時間をとっていただきたいです。というのも、7日までは緊急事態宣言のもとではこの法律は使えないわけですから。少なくとも、、まあ7日は伸びると言われていますが、もう数日かけることは新たな法律を通し実効性を高めるうえでマイナスにはならないはずです。丁寧な審議および十分な審議時間を確保することを強く求めていきます。