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http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/83953737.html
昨年の暮れ、韓国から伝えられた或るニュースに、私は、強い関心を持ちました。
韓国では、長年に渡って、北朝鮮に対する宣伝、プロパガンダの一環として、軍と民間の双方が、北朝鮮に向けてビラを流布して来ました。即ち、北朝鮮の民衆に向けて、北朝鮮の体制批判や、韓国の状況を伝える内容が書かれたビラを風船とともに空に上げ、風に乗せて、北朝鮮に流布すると言ふ宣伝活動を、韓国の軍と民間団体が行なって来たのです。ところが、昨年の暮れに、韓国の国会が、それを禁じる決定をしたと言ふのです。
(クリックしてお読み下さい)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020121401161&g=int
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79063
周知の通り、韓国の文在寅政権は、親北朝鮮的な政権です。そして、韓国の国会も、北朝鮮に従属的な勢力が多数派を占めて居ます。
その為、北朝鮮に従属的な韓国国会は、韓国で永年に渡って行なはれて来た、北朝鮮に対するビラの流布を禁じる決定をしたと言ふのが、このニュースが伝える事なのです。
今の韓国の政治状況を反映したニュースと言へますが、このニュースを見た時、私は、或る事を思ひ出しました。
それは、今から26年前、マルコポーロ廃刊事件が起きた直後に出会った、韓国の若者の話です。
その若い韓国人男性の話をする前に、次の文章をお読み下さい。
これは、26年前、私が、文藝春秋社の月刊誌「マルコポーロ」に私が寄稿した記事の一部です。
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アウシュヴィッツに収容された一人にマリア・ファンヘルヴァーデン(Maria Vanher-waarden)という女性がいる。全く無名の人ではあるが、この人が一九八八年の三月に、カナダのトロントで述べた証言は極めて興味深いものである。
彼女は、一九四二年にアウシュヴィッツ及びそこに隣接するビルケナウ強制収容所に収容されたのであるが、列車で移送される途中、同乗したジプシーの女性から、アウシュヴィッツに着いたら、彼女たちは皆「ガス室」によって殺されてしまうのだという話を聞かされた。当然、彼女は、ジプシーが語ったその話に恐怖を抱いた。
興味深いのは、その後である。彼女の証言によると、アウシュヴィッツに到着すると、彼女たちは服を脱ぐよう命令された。そして、窓のないコンクリートの部屋に入れられ、シャワーを浴びるよう言われたという。ここで、彼女たちの恐怖は頂点に達した。列車の中でジプシーの女性から「ガス室」で殺されるという話を聞かされていたからである。ところが、彼女の頭上のシャワーから出てきたものは、「ガス」ではなく、水だったのである。
読者は、この証言をどう思うであろうか?このような証言は、他にもいろいろあるのだが、戦後半世紀もの間、何故か、こういう証言は「ガス室」が存在したと主張する人々によって徹底的に無視されてきたのである。証言は、証言でしかない。しかし、一つの事柄について対立する証言がある時、物証も検証せずに、一方の「証言」だけを取り上げ、他方を検討すらしないというやり方が、正当なものといえるであろうか?
このファンヘルヴァーデンという女性の証で興味深いことは、彼女の証言に出てくるジプシーの女性が、何処で「ガス室」の噂を聞いたかという問題である。それを確かめる方法はないが、それに関連して、アメリカの歴史家マーク・ウェーバーは、戦争中、連合軍が、ラジオやビラによってドイツ占領下のヨーロッパに対してこの「ガス室」の噂を意図的に流布させていたことを『アウシュビッツ神話と真実』の中で指摘している。
すなわち、戦争中の心理作戦としてのプロパガンダの一つに、この「ガス室」の話が織り込まれていたのである。そのようにして流布された戦争中の「ガス室」の話が、戦後検証されぬまま「歴史」に転化してしまったのが「ホロコースト」に他ならない。
(西岡昌紀「戦後世界史最大のタブー『ナチ・ガス室」はなかった」(マルコポーロ・1995年2月号)より)
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今から26年前、私がこの記事を寄稿した事を切っ掛けに、この雑誌(「マルコポーロ」)は、廃刊と成りました。
(「マルコポーロ」廃刊事件について
↓
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/52050190.html
(クリックして下さい)
記事の内容は、第二次大戦中、ナチス・ドイツユダヤ人を差別、迫害した事は明白である。しかし、アウシュヴィッツなどの収容所には、実は処刑用ガス室が存在した証拠は何も無く、アウシュヴィッツ他の収容所でユダヤ人が大量死した本当の原因は、戦争末期に収容所で起きた発疹チフスなどの感染症の爆発的発生であったと言ふ物でした。
この記事には、当時の私の不勉強を反映した、間違った記述も有りましたが、アウシュヴィッツを始めとするナチス収容所に「ガス室」は無かったと言ふ私の確信は、今も、もちろん、変はり有りません。
上に引用した記述は、戦後永らく信じられて来た「ナチのガス室」と言ふ話は、元を辿れば、戦時中、連合国が、行なって居た戦時宣伝(プロパガンダ)に在ったのであり、それが、戦後、検証されないまま、「歴史」に転化したと言ふ私の考察の一部です。
この中で、私は、戦時中、アメリカやイギリスが、ラジオやビラによって、「ドイツは、ガス室で人間を殺して居る」と言ふ話を宣伝、流布して居た事実を取り上げて居ますが、こうした私の考察を述べたこの記事が切っ掛けと成って、この記事を掲載したマルコポーロが廃刊と成った事は、皆さんもご記憶の通りです。
この「廃刊事件」の後、私の周りでは、色々な事が起きましたが、事件が起きてしばらくした頃、私は、アジア記者クラブと言ふ団体に招かれて、事件について講演を行なひました。
出席した方達は、非常に好意的で、マルコポーロ廃刊事件と、この「ガス室」問題に関する私の話を非常に熱心に聴いて下さいました。
その会合の後の事です。二次会に向かふ道での事だったと思ひます。講演の会場を出て、高田馬場の道を歩いて居た時、私の講演を聴いてくれた一人であった若い男性が、私に話し掛けました。
その男性は、韓国の方でした。私の話について、「面白かったです」と言ってくれた後、その人は、こんな事を言ったのです。
「私は、韓国で、軍隊に居た時、北朝鮮に飛ばすビラを作って居ました。だから、今日の話は、とても面白かったです。」
北朝鮮に対する心理戦に従事して居た元韓国軍兵士にとって、第二次大戦中、アメリカやイギリスが、ビラを使って敵国の占領地域に対して行なって居たと言ふ話は、非常に興味有るテーマだった様です。
平和ボケした日本の「ジャーナリスト」や「学者」より、軍で宣伝ビラを作り、飛ばして居た元兵士の方が、ずっと、物事を見抜く目を持ってゐたと言ふ事なのでしょう。
ただし、今の韓国がどうなのかは、わかりません。
2021年(令和3年)1月30日(土)
「マルコポーロ」廃刊事件から26年目の日に
西岡昌紀(にしおかまさのり)
(参考サイト)
(「ユダヤ人絶滅計画」は実在したか?)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/53569129.html
(「ガス室」は実在したか?)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/53570697.html
(「証言」の問題)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/53570734.html
(真の悲劇は何だったのか?)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/53570801.html
(「ホロコースト」の政治学)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/53570809.html
(戦時報道は終わらない)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/53692325.html