トランプ陣営を盗聴するために電子メールを捏造したFBIの法律家に執行猶予
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2021.01.30 櫻井ジャーナル
2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプの当選を阻止する目的でFBIは「ロシアゲート」を捏ち上げるが、その際に電子メールを捏造していた。捏造したとされているケビン・クリンスミスはFBIの法律家だった。彼に対して1月29日に判決が言い渡されたのだが、執行猶予付きの軽い内容だったことから話題になっている。
昨年の大統領選挙でジョー・バイデンに敗れたドナルド・トランプは2016年の選挙以来、FBIやCIAから攻撃を受けていた。そのために「ロシアゲート」なる話が使われたのだが、これが捏ち上げだったのだ。
工作のためにFBIは2016年の選挙キャンペーンでドナルド・トランプの顧問を務めていたカーター・ペイジを監視することにし、FISA(外国情報監視法)に基づいて令状を2016年10月に入手している。その際にFISC(外国情報監視裁判所)を納得させるため、証拠として捏造された電子メールが提出された。それを捏造したのがクリンスミス。昨年8月に彼は有罪を認めている。12月3日に検察側は禁固6カ月を求め、年末には判決が言い渡される予定だったが、1カ月延長されていた。
2015年の段階で「次期大統領」として民主党のヒラリー・クリントンが内定していたと言われている。(詳細は割愛)そのクリントンは上院議員の時代から軍需産業をスポンサーにし、金融資本とも結びつき、シオニストの一派であるネオコンに担がれていた。
ネオコンは2014年にロシアを潰すためにウクライナでクーデターを成功させ、香港ではCIA(アメリカの情報機関)とMI6(イギリスの情報機関)が反中国政府の運動を仕掛けたのだが、その後、ロシアと中国は急接近し、今では「戦略的同盟関係」にある。
つまりネオコンの戦術は失敗に終わり、支配層の一部は離反、トランプ支持に回った。しかも民主党の内部ではヒラリーの好戦的な姿勢を嫌う人びとがバーニー・サンダースを支持するようになる。彼女は民主党の候補になることもおぼつかなくなる。
2016年3月16日にはウィキリークスがヒラリー・クリントンに関連した電子メールを公表、その中に民主党の幹部たちが2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆する電子メール、バーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するようDNC(民主党全国委員会)に求める内容の電子メールが含まれていた。
そうした展開の中、民主党や有力メディアはロシア政府がハッキングで電子メールを手に入れたとする話を流し始める。この偽情報を流したのは2013年3月から17年1月までCIA長官を務めたジョン・ブレナンだと見られている。
電子メールをウィキリークスへ渡したのはDNCのコンピュータ担当スタッフだったセス・リッチであり、その漏洩した電子メールをロシア政府がハッキングしたと調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは語っているが、リッチの両親が雇った元殺人課刑事の私立探偵、リッチ・ウィーラーも同じことを主張していた。セス・リッチは2016年7月10日、背中を2度撃たれて死亡しているので真相は語れない。
ウィーラーによると、セスがウィキリークスと連絡を取り、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルをウィキリークスへ渡したとしていた。後にウィーラーはセスの親から、雇い主に無断で情報を流したと批判され、沈黙するようになった。
DNCのサーバーに保管されていた電子メールがハッキングで流出したのでないことは技術分析で明らかになっている。これも本ブログで繰り返し書いてきたが、コンピュータの専門家でIBMのプログラム・マネージャーだったスキップ・フォルデンは転送速度など技術的な分析からインターネットを通じたハッキングではないという結論に達している。
また、アメリカの電子情報機関NSAの技術部長を務めた内部告発者で情報機関で通信傍受システムの開発を主導したウィリアム・ビニーが指摘しているように、NSAはすべての通信を傍受、保管している。もしロシアゲートが事実なら、FBIは必要な証拠をすべてNSAから入手できるのだ。
クリンスミスに対する判決からも類推できるように、トランプを潰すためにFBIやCIAを動かせる勢力は今でも大きな力を持っている。2016年の段階で彼らはロシアをボリス・エリツィン時代のような属国にし、中東ではシリアの現体制を転覆させようとしている。イランはその次ということだ。ネオコンは1980年代からイラクに親イスラエル体制を樹立させ、シリアとイランを分断、孤立させてそれぞれを殲滅するという戦術を立てていた。