2021年1月19日 19時26分
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神奈川県感染症対策協議会では、自宅療養者に自己管理を求める体制に移行する方針を県が示したことに、出席した医療関係者からは、状態が悪化する前に入院させるべきだとの意見が出た。しかし、県側は「本当に病床がない」と理解を求めた。
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「重症で病院に運ばれてくる自宅療養者が出てきている」。県立循環器呼吸器病センターの小倉高志副院長は、既に療養者への支援が十分に届いていない人がいる現状を指摘した。さらに「悪くなってから助けるのはきつい」と、療養者の自己管理に任せて事態が悪化することに危機感を示した。訪問診療によるフォローなど「何か対策を検討してほしい」と求めた。
「かなり危険だ」。複数の参加者から異論が出たのは、自宅療養者のうち「ハイリスク者」として県の重点観察の対象となる人を、血中酸素飽和度が93%以下の人に絞ったこと。一般の人は98〜100%で、県によると、93%以下は呼吸不全の状態に近い。
しかし、畑中洋亮・県医療危機対策統括官は「搬送先が少なく受け皿がない。県職員の業務量も増え、ハイリスクの人にしか手を打てない」と、病床と人材の両面が切迫していると訴えた。阿南英明・県医療危機対策統括官も「80代の人を(自宅に)とどめている状態。医療者としては早め早めに拾いたいが、(病床に)余裕がない。今そこまできているということ」と話した。
基礎疾患や年齢に応じて点数を付ける県独自の入院基準にも要望が出た。小倉氏は、肺炎の兆候があっても画像診断しなければ「ゼロ点」になることや、若いと点数が低くなり症状の悪化が見過ごされるリスクを挙げた。阿南氏は「改変が必要なところはする」と応じた。
だが、入院基準を見直しても、受け入れる病床は逼迫している。すぐに使える「即応病床」の利用率は18日時点で中等症・軽症者向けが88%、重症者向けは95%。県の予測では27日に病床数と入院患者数が同じになる。
「医療崩壊の可能性」について、阿南氏は会議後の取材に「病院が患者を受けないから、救急が『無理です、無理です』と断ることになる」と話した。「行き着く先」は自宅で次々と人が死んでいくことなのか、との質問には「そうなるかもしれない」と答えた。(志村彰太、石原真樹)
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