致命的に遅い野党の次期衆院選対応
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2020年12月14日 植草一秀の『知られざる真実』
衆議院の任期満了は2021年10月。 2021年は衆院総選挙の年だ。 政治を変えるには政権の刷新が必要。 政権を刷新するには選挙で勝つことが必要。 国政の現状を見ると多くの主権者は無力感に襲われる。 安倍晋三氏は国会で嘘八百を並べていた。 桜を見る会前夜祭。 都心の高級ホテルで飲食を伴う大規模パーティーを開催して、その会費が5000円。 あり得ない金額だ。 安倍事務所が不足代金を補填している疑いが濃厚だった。 パーティー主催者はホテルと契約しているはずで、見積書や請求書、領収書等が存在するのが当然。 国会審議ではホテルから提示された明細書などについて厳しい追及があった。 これに対して、安倍首相は飲食パーティーの契約者は参加者各個人で、安倍事務所は一切関わっていないと言い続けた。 ホテルから個人あての領収書が発行されて手交されたとも述べた。 安倍事務所の不足代金補填も一切ないと説明してきた。 ところが、これらのすべてが真っ赤なウソだった疑いが濃厚になっている。 実際には資金管理団体がホテルと契約を交わし、不足代金は資金管理団体が補填していた。 しかも、資金管理団体はこれらの収支を報告書に記載していなかった。 これらの行為は政治資金規正法や公職選挙法に抵触する犯罪行為である可能性が高い。 「政治とカネ」問題が重要問題であり続けるなかで、首相自身が関わる重大疑惑が浮上し、その問題に関する国会審議において、安倍首相がウソの上にウソを重ねる対応を続けてきたということ。 これが国会審議の実態であるなら、もはや国会審議にはいかなる信頼も置けないことになる。 安倍首相の行為は国権の最高機関である国会を冒涜するもの。 国会がこの問題に対する責任追及を行えないなら、国会自体が存在意義を問われることになる。 桜疑惑での安倍首相答弁が嘘八百であることは、安倍首相の他の国会での発言も嘘八百であることを類推させる。 森友問題、加計問題など、刑事事件として立件するべき事案が多数噴出したが、これらの問題について安倍首相が嘘八百を並べて逃げ延び続けてきた可能性が高いということになる。 河井克行・案里夫妻の公選法違反事件でも安倍首相が深く関与している疑いが強い。 検察が権力者の犯罪に対して正当に斬り込まぬなら、検察の権力との癒着も糾弾されなければならない。 国会は国政調査権を活用してこれらの重大疑惑を解明するための機能を発揮するべきだが、その重責を放棄してしまっている。 これらの大きな背景となっているのが、与党による衆参両院の多数議席占有だ。 与党は文字通り「数の力」で国会の不当支配を維持している。 そのために、腐敗政治を糾弾する国民は絶望的な無力感に襲われている。 事態を打開するには次の衆院総選挙で大波乱を実現する必要がある。 実は自公に投票している主権者は全体の25%しかいない。 25%しかいないのに、日本政治を支配してしまっている。 最大の理由は国民の半分が選挙を棄権してしまっていること。 5割の国民しか選挙に行かない。 その半分は「反自公」の人々なのだが、「反自公」の投票が二つに割れるために自公が圧勝してしまう。 二つに割れている「反自公」の投票をひとつにまとめれば、直ちに与党と野党は伯仲の状態になる。 こうなると必ず投票率が上昇する。 政治刷新の可能性が浮上することが投票率上昇の大きな原動力になるのだ。 「反自公」の投票がひとつにまとまるための戦術を直ちに打ち立てなければならない。 衆院総選挙がいつ行われるか分からない情勢になっている。 ところが、野党の対応が驚くほどに遅い。 既存の政党に任せていては政治刷新の巨大チャンスを逃してしまう。 既存の政党ではなく、市民が動いて候補者一本化の最重要の仕事を進捗させなければならない。 それが最良のコロナ対策と言えなくもない。 |