菅首相が日本学術会議の非任命の理由を述べたがこれで墓穴を掘る。
https://31634308.at.webry.info/202010/article_21.html?1603750493
人間誰でも嘘をついたことがある。その嘘を苦し紛れに言うと後で辻褄が合わなくなり、言わなければ良かったということがある。私も会社時代に入ったばかりの頃、事務部門から発注事項の不備を注意され、その時苦し紛れの言い訳をした。しかし、それが逆効果で縷々注意された。それ以来、こういうことは素直に謝った方がいいと肝に据えた。
今回の菅首相の学術会員の非任命について理由を一切述べなかったが、NHKで意気揚々として出席した所信表明について述べた。この際、前述の非任命について問われた際、人選として「若い人」がいない。「民間の人」がいない。地方の大学の人がいないなどと述べた。本人は政府に反対をする学者だからとは流石に言えなかったのであろう。
しかし、この苦し紛れの言い訳は墓穴を掘る。「若い人」と述べたが、若い人を意識して排除したわけではなく、あくまで業績がある科学者と学術会議法で決められている。当然少なくなるのは当たり前である。「民間の人」が居ないとあるが、今回任命されなかったのは全て人文・社会学分野の6名の学者である。所謂、民間会社の中で歴史、憲法、経済など人文・社会学をやっている人自体がいない。屁理屈を言えば民間=私立とすれば、今回の6人の中には私立大学の教授が居るので当たらない。「地方の人」が少ないと東京中心と言いたいのだろうが、これは仕方がない。やはり、東大、京大などに優秀な人が集まっている現状は変わりなく、業績の基準から仕方がないと思う。菅首相は、公務員だから政府が関与していいとも言った。これも学術会議の独立性を損なうもので当たらない。
そもそも、国民が知りたいのはなぜ、人文・社会分野の6名だけが拒否された理由を聞いている。菅首相が理屈を述べたつもりであるが、逆に前述したように全く理由になっていない。これからの国会でNHKの中で述べた内容を端緒に質問がなされる。嘘が嘘を呼び、最後は辻褄が合わなくなり破綻する。官房長官時代に「全く当たらない」の一言で質問を封じていたが、今度はそんな回答では終えることは出来ない。述べれば述べる程墓穴を掘る。
学術会議「一部の大学に偏り」 首相、改革の必要性強調 NHK番組で
https://mainichi.jp/articles/20201026/k00/00m/010/356000c
菅義偉首相は26日のNHK番組で、日本学術会議の新会員候補6人を任命しなかった問題に関し、「(会員は)民間や若い人は極端に少ない。一部の大学に偏っているのも客観的事実だ」と指摘し、「誰かがもう一度、組織全体の見直しをしなきゃならない。そういう時期じゃないかと思う」と述べ、改革の必要性を強調した。
首相は「私が任命すると公務員になる。105人(全員)を学術会議で選考して持ってくると追認するだけだ。政府として関与して責任を取る必要がある」と語ったうえで、「私は前例踏襲をしないと言っている」と強調した。また「迷った結果の対応だった」と理解を求めたが、具体的な任命拒否に関しては「どういう理由でというよりも、全体としてだ」と述べるにとどめ、「説明できることと、説明できないことがある」と言及を避けた。【川口峻】