ハエを引き寄せたペンス氏匂いの正体
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2020年10月 8日 植草一秀の『知られざる真実』
副大統領候補のテレビ討論の時間にペンス副大統領の頭髪に1匹のハエが止まり、離れようとしなかった。 2016年の大統領選ではテレビ討論の最中にクリントン女史の顔にハエが止まった。 ハエは何を物語ろうとしたのか。 大統領候補の討論とは打って変わり、まともな討論になった。 討論終了後の世論調査では6対4でハリス女史優勢との結果が報じられている。 大統領選の投票日まで1ヵ月を切った。 すでに郵便投票が開始されている州もある。 大統領選の勝敗を決するのは激戦州だ。 2016年の選挙ではトランプ候補が激戦州に総力を結集した。 得票総数ではクリントン女史が上回ったが、激戦州の多くでトランプ氏が勝利して大統領の座を射止めた。 しかし、今回は様相が異なる。 激戦州の多くでトランプ氏が劣勢になっている。 トランプ大統領は白人優越主義を明確に否定しない。 白人層の票を固めることを狙っていると見られる。 しかし、2016年選挙でトランプ候補に投票した白人労働者層が今回もトランプ氏投票するとは限らない。 トランプ政権の下でも白人労働者の暮らしぶりが良くなったとは言えないのだ。 10月に特別なサプライズがなければ投票結果でバイデンが勝利する可能性はかなり高まっていると見られる。 ただし、郵便による開票結果が判明するのが遅れる場合、開票当初の優勢・劣勢が時間の経過とともに入れ替わる可能性も考えられる。 最終集計の結果、トランプ氏がバイデン氏に敗北する場合に何が起こるか。 トランプは敗北を直ちに認めない可能性が高い。 郵便投票で不正があったとして裁判所に提訴するだろう。 新大統領が決定されない状況が長期化する可能性もある。 最終的な判断を示すことになるのは米国連邦最高裁だ。 この最高裁判事の任命をめぐってバトルが展開されている。 リベラル系を代表する高名なギンズバーグ女史が逝去した。 大統領選の行われる年に最高裁判事に欠員が生じた場合、新しく選出された大統領が新しい最高裁判事を指名することが慣例として確立されてきた。 したがって、今回の大統領選の勝者が新しい最高裁判事を指名するのが筋道だ。 ところが、トランプ大統領は保守系のバレット女史を新たな最高裁判事に指名した。 コロナの集団感染が発生したのがバレット氏を指名したホワイトハウスでの行事だったと見られている。 トランプ大統領は11月3日の大統領選前にバレット女史の最高裁判事就任を議会で決定しようと目論んでいる。 これが実現すればオクトーバーサプライズと言えるだろう。 最高裁判事の構成は共和党系6人対民主党系3人になる。 トランプ氏にとって極めて有利な状況が生み出される。 投票結果を集計してバイデン候補が勝利したと判定されるのに、最高裁がこれを覆してトランプを勝利者に決定するなら、米国の混乱は極致に達するだろう。 内乱に近い状況が生み出される可能性もある。 トランプ大統領は極右のグループにそのときまで待機しろとの趣旨の発言をテレビ討論で示した。 大統領候補によるテレビ討論が収拾のつかない罵り合いになったことは米国政治の劣化を鮮明に示すもの。 その主導者がトランプ大統領である。 米国政治の劣化が目を覆う様相を呈している。 しかし、これは米国だけの問題ではない。 日本政治も究極の劣化を示している。 安倍内閣の後半は安倍元首相の政治私物化問題に明け暮れた。 そしていま、菅内閣発足と同時に日本学術会議法違反事案が浮上している。 政治の劣化以外の何者でもない。 まずは、政権交代で劣化した政治の根源を排除するところから始める必要がある。 |