彼らが語らないこと:戦争と平和や医療や雇用は取るに足らない問題
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-69673b.html
2020年10月 7日 マスコミに載らない海外記事
フィリップ・ジラルディ
2020年10月1日
Strategic Culture Foundation
テレビでニュースを見たり、新聞で時事問題を読んだりすると、あらゆることが全く意味をなさない全く別の宇宙に転送されたような気分になる。実際に何が起きているかを理解する上で、アメリカの金儲け第一の報道機関は明らかにまずい仕組みだが、ルース・ベイダー・ギンズバーグ賛美の7日間彼女が判事を勤めながら、どのように何百万ドルもの収入を得たかに関する疑問や、経歴のいくつかの不穏当な側面は入念に隠蔽され、この国を悩ませている話題には、特にほとんど言及していない。
数日前、友人の退職米軍将官が、政治と投票パターンの話となると、いわゆる「物言わぬ多数派」は本当に静かだと、興味深いことを言った。彼が言いたかったのは、現在不人気な保守的意見のアメリカ人の多くは、知らない世論調査員からの投票意図に関する電話には正直に答えないだろうということだ。これは特に、ドナルド・トランプが、メディアに悪口を言われ、民主党に、アメリカ民主主義に対する脅威同然のものとして描かれる現在の選挙運動には特にあてはまる。これと比べると、バイデンは、彼の頻繁な失敗や物忘れに対する寛容さを含め、かなり大目に見られている。言い換えれば、トランプは、アメリカの全体主義的乗っ取りを開始しようとしている人物として描かれているので、多くの有権者が、バイデンでなく彼を支持すると公然と語るのをためらっているのだ。
この友人は、来る選挙に関する世論調査は、いつもより間違っているかもしれないと示唆したのだ。それに、本当に重要なはずのどんな話題も避けるため、やはり同じように仕組まれている大統領選討論会で予想される全体的な退屈さを私は加えたい。だが世論調査は、二つのことを明らかにしている。一つ目は、あらゆるレベルの政治家の品位への信頼欠如で、二つ目は、それが直接、生活の質に強い影響を与えるので、雇用と医療が、ほとんど、あらゆる層の有権者の主要関心事なのだ。
政府が相当介入して、アメリカの制度全体を改革しなければならない事実を考えると、医療は、明らかに、複雑な問題だ。一流のイギリス医学雑誌「ランセット」は、最近「204の国と領域における医療サービス適用範囲指標に基づく国民皆保険制度評価」を出版した。研究は、誰も驚きはしなかったが、アメリカが年間一人あたり約9,000ドルで、世界で遥かに最も高価な医療で、同時に、事実上、どの先進工業国より程度が低い結果を示していることを明らかにした。実際、医療費は、アメリカ人の個人破産の主因だ。
それで、二大政党は医療について一体何を言っているだろう? 共和党は、いわゆるオバマケアをひっくり返し、連中には説明できない他の何かで置き換えたいと望んでおり、民主党は、コロナウイルスへの対応で、大統領を非難しながら、オバマケアを維持したいと主張している。それだけだ。Covid-19を巡って、多くの非難があり、オバマケアは実際良くない制度だ。政府が費用を支払ってくれるのは結構だが、オバマケアが機能し始めて以来、医療保険を支払っている人々は誰であれ、費用が三倍、四倍にさえなっている。今やオバマケアは、欲するだけ、いくらでも請求でき、苦しむ顧客が、それを支払わなければならないと想定する医療産業にとって宝の山になったのだ。医療に有効な規制がないのは、大手製薬会社や他のプロバイダが、大いに儲かる現状が、そのまま決していじられずにいるようにするため、政治献金を通して、議会を完全に腐敗させた事実が理由だ。
そして、もう一つの大きな懸念、つまり雇用を意味する「経済」の話となると、二大政党は、心の底で、自分たちがアメリカの産業・製造インフラ骨抜きに共謀したのを分かっているので、彼らには何も言うべきことはないのだ。
だが、もう一つの、私にとっては重要ながら、両党が沈黙しているのは、世論調査が特に挙げていない話題、国家安全保障を含む外交政策だ。両党は、同盟国、つまりイスラエルや他の国々を支援し、ロシアと中国からの脅威に対決し、世界第一位の軍隊を維持すると言及する政策方針書の公表は大げさに言うのだ。それから先は、いささかあいまいだ。最近我々は、トランプ大統領が、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領を暗殺するよう要求したが断念させられたと、ボブ・ウッドワードという名の信用できないかもしれない情報源から聞かされた。最近、トランプは、明らかなウソで、彼と国務長官が「世界の主要テロリスト」だとして描いたイラン幹部ガーセム・ソレイマーニー少将暗殺を命令した。外国指導者暗殺は、アメリカが関与したいことなのだろうか? なぜ誰もそれについて語らないのだろう?
そしてシリア、イラク、ソマリアやアフガニスタンで行われている「熱い戦争」がある。それら戦争いずれも憲法上義務づけられている議会による宣戦布告なしに、アメリカ国民に何兆ドルもの負担をかけている。それは審議されるべきではなかろうか? ベネズエラ、キューバ、シリアやイランに行われている「最大圧力」経済戦争はどうだろう? それらの「戦争」は総計何万人もの一般人を殺しながら、アメリカの安全保障強化には何も役立っていない。トランプとバイデンはそれについて語るべきではないだろうか?
ところが我々は、様々な責任転嫁やら、様々な「仮定」に基づく、大統領候補のどちらかの勝利が、いかに危険かやらを聞かされるだけだ。だがアメリカ国民、特に物言わぬ多数派に必要なのは、世界の大半の国々が享受しているのと同様、まともで、手頃な費用の医療の実行可能な計画だ。新政権は、大企業の海外移転権益に異議を申し立て、製造雇用をアメリカに戻すべく、断固行動しなくてはならない。だが何よりも、アメリカは、19年間、世界に混乱を広めた後、平和が必要だ。戦争を終わらせ、兵隊を国に帰すのだ。今そうすべきだ。
フィリップ・ジラルディはPh.D、Council for the National Interest事務局長。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2020/10/01/what-they-not-talking-about-war-and-peace-healthcare-jobs-non-issues/
----------