尖閣での中国漁船衝突には、菅直人内閣に、知られざる真実がある !
菅直人内閣の深層・真相は ?
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2020/09/10より抜粋・転載)
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1)尖閣海域で、中国漁船と海上保安庁巡視船が衝突した !
2010年9月7日、尖閣海域で中国漁船と海上保安庁巡視船が衝突した。
日本政府は、中国漁船船長を逮捕、勾留した。
日本政府は、9月13日に、船長以外の船員を中国に帰国させ、中国漁船も中国側に返還したが、船長に関しては、勾留を続けた。中国政府は日本政府の対応に強く反発した。
結局、9月24日、那覇地方検察庁の鈴木亨次席検事が、船長の行為に計画性が認められないとしたうえで、日中関係を考慮し、中国人船長を処分保留で釈放すると発表した。
2)日本政府は、9 月13 日、中国の船長を
勾留したが、9月25日、中国に送還した !
中国人船長は、9 月25 日、中国側が用意したチャーター機で中国に送還された。
この事案について、当時菅直人内閣の国交相兼沖縄担当相だった前原誠司氏が発言した。
前原氏にインタビュー記事を掲載した産経新聞は、
「前原誠司元外相が産経新聞の取材に対し、10年前の平成22年9月7日に、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、当時の菅(かん)直人首相が、逮捕した中国人船長の釈放を求めたと明らかにした。
3)菅民主党政権は、処分保留による
船長釈放を「検察独自の判断」と強調した !
旧民主党政権は、処分保留による船長釈放を「検察独自の判断」と強調し、政府の関与を否定してきたが、菅氏の強い意向が釈放に反映されたとみられる。」
「前原氏によると、国連総会に出席するための平成22年9月21日の訪米出発直前、首相公邸に佐々江賢一郎外務事務次官ら外務省幹部とともに勉強会に参加。その場で菅氏が公務執行妨害容疑で勾留中の船長について「かなり強い口調で『釈放しろ』と言った」という。」
「前原誠司氏は「来なくてもいいではないか。中国が国益を損なうだけだ」と異を唱えたが、菅氏は「オレがAPECの議長だ。言う通りにしろ」と述べた。
4)前原誠司氏:中国人船長の釈放
は、菅首相の指示によるものだった !
前原誠司氏はその後、当時の仙谷由人官房長官に「首相の指示は釈放だ」と報告した。」と伝えた。:https://bit.ly/2GEQqBz
前原氏の発言によると、中国人船長の釈放は、検察の判断ではなく、菅首相の指示によるものだったということになる。
この問題について、元検事で弁護士の郷原信郎氏は、ブログ記事で次のように指摘している。
「尖閣の中国漁船の衝突事件は、外交上の判断が必要な事件だったのであるから、刑事司法機関が勾留・起訴という厳正な刑事処分に向けての対応を行う一方、内閣としては、外交関係を踏まえてその刑事処分に向けての対応を変更する必要性を判断し、必要があれば、それを法務大臣指揮権の発動という形で、内閣の責任を明確にして実行すべきであった。
5)中国船船長の釈放について、那覇地検
次席検事が「最高検と協議の上」と述べた !
ところが、この事件では、中国船船長の釈放が決定された際の会見で、那覇地検次席検事が「最高検と協議の上」と述べた上で、「日中関係への配慮が、釈放の理由の一つである」かのように述べた。つまり、この事件での「船長の釈放」という検察の権限行使において、検察が組織として外交上の判断を行ったことを認めたのである。そして、このような、検察が外交問題に配慮したかのような説明に対し、当時の仙谷官房長官は「了とする」と述べた。」
6)中国の船長の釈放は、当時の 菅内閣の判断によるものである !
「この検察の対応が、検察独自の判断だとは考えられなかった。検察としては、厳正な刑事処分に向けての対応を粛々と進めていたはずだ。船長の釈放は当時の内閣の判断によるものであることは、誰の目にも明らかであった。ところが、外交関係への配慮も含めて、すべて検察の責任において行ったように検察側が説明し、内閣官房長官がそれを容認する発言をした。それによって、検察の刑事事件の判断についての信頼が損なわれる一方、内閣が負うべき外交上の責任は覆い隠されてしまった。」―この続きは次回投稿しますー
(参考資料)
○政治改革を破壊した民主党悪徳10人衆
の大罪と自民党体制・自公体制の真相 !
「植草一秀の『知られざる真実』」:2014/12/25より抜粋・転載)
◆既得権益勢力は、改革阻止の「政治謀略事件」断行 !
民主党の海江田万里氏が総選挙で落選し、民主党代表を辞任した。
民主党は、年明けに新しい代表を選出する。しかし、この党に対する主権者の期待は冷め切っている。2009年に政権交代を実現し、日本政治が変革するとの期待が日本中に広がった。
(☆鳩山民主党の政策:緊密で対等な日米関係を築く。核兵器廃絶の先頭に立ち、テロの脅威を除去。国家公務員の天下りあっせんは、全面的に禁止 !企業団体献金、世襲を禁止。中学卒業までの子ども1人当たり年31万2000円(月額2万6000円)の子ども手当を創設。)
このとき、最大の警戒をもって状況を見つめたのが、日本の既得権益である。
日本の既得権益とは、「米国・官僚・大資本のトライアングル」だ。
別名は、ハゲタカ(巨大資本)・シロアリ(悪徳官僚)・ハイエナ(巨大資本の家来)である。
攻撃の対象とされたのは、小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏だった。
小沢一郎氏に対しては、西松事件、陸山会事件という、戦後最悪の「政治謀略事件」が捏造された。鳩山由紀夫氏に対しては、個人献金をめぐるスキャンダルが掘り起こされ、徹底的な「人物破壊工作」を展開された。
◆「隠れ既得権益派」が普天間問題で、鳩山首相に違背 !
そして、もうひとつ見落とせないことは、政権交代の最大の功労者である、小沢氏と鳩山氏が人為的に分断されたことだ。
鳩山政権は、沖縄の普天間移設問題で、トラップ(ワナ)にかけられた。
鳩山首相が、普天間問題で追い落とされる原因を創作したのは、民主党内の「隠れ既得権益派勢力」だった。
具体的には、沖縄基地問題を担当した、岡田克也外相、前原誠司沖縄担当相、北澤俊美防衛相
の三名が、鳩山首相に対して忠誠を誓わず、横田政府=米国の僕(しもべ)として動いたのである。
このために、鳩山首相が追求した、普天間基地の県外・国外移設方針が座礁した。
◆悪徳民主党議員が「政治謀略事件」渦中の小沢氏を攻撃 !
そして、もうひとつ、2009 年の政権交代が破壊された最大の理由のひとつは、小沢一郎氏が謀略によって、「人物破壊」されたことだ。
2009年3月3日に勃発した、西松事件で、小沢一郎氏は不当な追及を受けた。
民主党は一致結束して、検察による小沢民主党攻撃に立ち向かう必要があったが、民主党の一部の人間は後ろから小沢一郎氏に対して弾を撃ったのである。その悪徳民主党議員が、岡田克也、前原誠司、玄葉光一郎、枝野幸男、安住淳などのメンバーである。
◆公約破棄の消費税増税提示で民主党への信頼失墜 !
そして、政権交代を実現した民主党の存立基盤が完全に粉砕される原因になったのが、公約破棄の消費税増税方針提示だった。
この背徳の政策運営が、民主党に対する期待を絶望と怒りに変えた。
その戦犯が、渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、枝野幸男、安住淳、玄葉光一郎の悪徳10人衆である。民主党は、「シロアリを退治して天下り機関を排して天下りを根絶する。そこから始めなければ、消費税を上げるのはおかしい」ことを公約に掲げて、2009 年総選挙に臨んだ。
◆菅・野田首相は、財務省に屈服し、消費税増税推進 !
日本政治を破壊した、民主党悪徳10人衆は、民主党解体とともに消滅してもらいたいと思う。
民主と維新の一部、生活、社民などが連携して、「主権者の党」を創設するべきだ。
民主党がいまだに、この負の遺産を引きずっているために、日本政治の未来が開けないのだ。
直接的に最大の汚点を残したのは、民主党が財務省の軍門に下ったことだ。
その主犯は、菅直人氏と野田佳彦氏だ、裏から誘導したのは、藤井裕久氏である。
菅直人氏も野田佳彦氏も、私の主張の影響を受けたのだと思う。
◆悪徳10人衆は、自分の出世、名誉欲、権力欲だけ !
二人とも、何よりも優先したことは、自分の出世、名誉欲、権力欲である。
財務省から、「消費税増税推進と引き換えに、首相ポスト獲得への全面協力」のオファーを受けて、いともたやすく、変節を遂げたのであると思われる。
この変節が日本政治を破壊したのである。
自分の権力欲、出世欲だけで政治家稼業を営んでいるのだ。野田佳彦氏は、なおひどい。
2009 年8月15日の大阪街頭での「シロアリ演説」がネット上に流布されて、それでも総理の椅子にしがみついて、消費税増税に突き進んだ。
それほどまでに厚顔無恥なのである。
野田氏は、鳩山政権発足時に無役だったが、財務省OBの藤井裕久氏が、野田氏を財務副大臣に引き上げた。これを契機に、野田佳彦氏は、完全に財務省に取り込まれた。
自分自身の利害得失で、主権者との約束を放り出したのである。
財務省の支援なくして、野田政権の誕生はなかった。
◆改革や国民との約束無視、私利私欲だけの政治屋
要するに、官僚の前に膝を屈して、ひたすら自分自身の個人的な利益だけを追求したのである。
日本財政で最大の問題は、消費税増税の前提である「シロアリ退治」が何ひとつ実践されていないことだ。
財務省こそ、増税の前に、「天下り利権」の放棄を宣言するべきだ。
しかし、財務省は、天下り利権を放棄するどころか、天下り利権の全面奪還に動いている。
我が身を切る改革ではなく、我が身を肥やす膨張を実行しつつ、一般庶民に悪魔の税負担を強制している。これで日本が良い国になるわけがない。―以下省略―