日朝国交正常化のために安倍政権を容認してきたが、新型コロナ対策で安倍政権に見切りを付けた。
首相再任からまもなく8年になる安倍晋三は、2012年の尖閣諸島を巡る中国との対立のなか、米中揃っての国際的要請により内閣総理大臣の座に就いた。
2007年9月に、所信表明後「脱税疑惑記事」が出ることになるや、“腹痛”を理由に突然辞任し憲政史上最悪とも言える醜態をさらした安倍晋三は、首相どころか国会議員としても適格性に欠ける人間である。
そのような人物が首相に再任されたのは、“過去の経緯”から、日中関係及び日朝関係の正常化を“使命を持って”果たすべき政治家として認定されていたからである。
簡潔に言えば、中国共産党の意向と米国オバマ政権の仲介で、野田首相と石原都知事(当時)が首を差し出し(辞任)、野田首相の後任に安倍晋三を据えるという密約の成立が、12年秋の日本政局の動きをつくったのである。
(尖閣諸島都有化言動で火種をまいた石原都知事が辞任し、党首討論で野田と安倍が猿芝居を行い解散総選挙を進めた)
現在の国際情勢をみると、(猿芝居の“米中新冷戦”があるにもかかわらず)日中関係はうまくいっていると評価できるが、日朝関係は、昨年2月の米朝ハノイ会談後に安倍首相は「次は私が金正恩委員長と向かい合わなければならない」(米朝ハノイ会談は決裂という世評にもかかわらず安倍は日朝首脳会談の必要性に言及)と言いながら表立っては何も改善されていない。
とは言え、昨年夏には退任間際の谷内安保局長が3度も訪朝したり、北朝鮮のミサイル対策として導入が決まった「イージスアショア」の配備を突如停止するという“政策転換”は、北朝鮮へのメッセージに他ならない。
(ミサイルを迎撃したときにブースターが住宅地に落ちる可能性があるというのが理由だが、ミサイルに被弾することと迎撃ミサイルのブースターが落ちることを比較すれば、それが配備停止の理由にならないことは明白)
現在進行形の“米中新冷戦”は、5Gやプラットホームアプリの中国排除以外は猿芝居だと見ている。
5Gやプラットホームアプリは、情報収集やデータ及び国際決済にも関わる最重要テーマなので、覇権国家としてこれまでそれらを牛耳ってきた米国は、中国の浸透をむざむざと許すわけにはいかない。
一方、機会があれば詳述するが、南シナ海問題や香港新法問題で見ているトランプ政権の言動は、習近平中国を利するものではあっても阻害するものではない。
このような例は、米朝軍事衝突かと騒がれた17年の状況を思い起こせばわかりやすい。
17年4月には米海軍空母打撃部隊が朝鮮半島付近に出動し危機を煽った。9月にはトランプと金正恩が「ちびのロケットマン!」や「戦争好きのきちがい老いぼれ!」などと罵り合うという緊迫した状況が生まれた。
そのとき、
「恥を知らない言論の放恣な行為:北朝鮮が米国追随の中国をボロ糞に批判:「北朝鮮危機」は年内(平昌五輪前)に解決へ転換!」
http://www.asyura2.com/17/kokusai20/msg/675.html
投稿者 あっしら 日時 2017 年 9 月 23 日 02:42:48: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
という投稿をしたのと同じような見方である。
投稿後、米朝関係は2018年の1月から徐々に改善に向かい、平昌で開催された冬季五輪では金与正さんが韓国を訪問し、6月にはシンガポールで米朝首脳会談が行われた。
(公表されていないが、安倍首相は平昌で金与正さんと短い時間だが会談している。米朝は、17年7月頃から首脳会談に向けて調整を始めていたことが明らかになっている)
最後に、安倍晋三が来年9月の自民党総裁選で“4選”されるというのは、安倍首相最大の政治的使命である日朝国交正常化がまったく進んでいないことが理由である。
トランプは、今年の大統領再選が危ないという読みもあって、日本に日朝国交正常化を急がせているフシがある。それが、6月のケソンビル爆破や「イージスアショア配備停止」という“現象”に現れたと思っている。
いずれにしろ、明日からすぐに動き出したとしても、日朝国交正常化は、日朝間交渉や国会での批准を考えると早くても来年いっぱいかかるテーマである。
安倍の次を狙う政治家も、鬼門であり国内世論から火の粉を浴びることになる日朝国交正常化をやりたくはない。安倍にやってもらってその後を継ぎたいのである。
野党の主力である立憲民主党及び国民民主党の“最高幹部たち”も、政権与党だった12年秋の“顛末”を知っているので、本気で安倍倒閣には動かない。
転載する記事のタイトルである「なぜ首相は「痛感」した責任を取らない?」の最大のワケは、2006年の第一次のときから、自分の力で総理をつかんだわけでもないどころか、総理になりたかったわけでもなく、首相になったすべての機会が政治的必要性や国際的要請に基づくものだったことにある。
(小泉純一郎氏が後任に安倍晋三を選んだのも、故あってともに平壌を訪問した安倍が日朝国交正常化をやらなければならない立場にある政治家だったからである)
死を待つ以外に、安倍を首相の座から引きずり下ろしたたければ、日朝国交正常化を実現させるほかない。
米朝関係はシンガポール会談での合意で終わっており、その合意が実現に向け動かないのは、日朝国交正常化が進まない日本政府が待ったを掛けているからである。
朝鮮戦争で闘った米朝が先に国交を正常化し、その時点でもかつてその地を併合した歴史をもつ日本が北朝鮮と国交正常化の端緒さえみえないというのでは、あまりに恥ずかしいと日本の外務省は思っているから、米国に先に行きすぎないよう要請している。
米国も、北朝鮮関連で日本を嵌めた過去があるので、その意向を受け容れているようだ。
※参照関連投稿
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html
「首相辞任で局面転換」(07年9月、安倍首相) 政権放棄、健康問題触れず:「脱税疑惑報道」に触れずが正しい表題
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/102.html
「恥を知らない言論の放恣な行為:北朝鮮が米国追随の中国をボロ糞に批判:「北朝鮮危機」は年内(平昌五輪前)に解決へ転換!」
http://www.asyura2.com/17/kokusai20/msg/675.html
「大詰めを迎えた日朝交渉:2・9安倍―金与正(平昌)会談で再開された日朝首脳級交渉」
http://www.asyura2.com/18/senkyo244/msg/859.html
「天木氏の“浅読み”:「愛国保守」こそ仮面、13年暮れ靖国参拝も日中合意で実施、今でも“媚中”の安倍政権」
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/676.html
)
「安倍政権は3月に教科書検定という裏口を使い「中国の領有権主張」と「南京虐殺」を認定:靖国不参拝も5月高村副総裁訪中で伝達」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/319.html
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なぜ首相は「痛感」した責任を取らない? 安倍流処世術、軽さの原点
毎日新聞2020年7月12日 06時00分(最終更新 7月12日 12時06分)
吉井理記
「適材適所」らしい。法相という法治国家の枢要ポストを任された河井克行衆院議員が妻・案里参院議員とともに逮捕・起訴された。任じた安倍晋三首相から飛び出したのは、読者にもおなじみの「責任を痛感している」というあのフレーズである。戦後政治を見てきた識者と安倍流処世術の「軽さ」を考えた。【吉井理記/統合デジタル取材センター】
乳母に語った「宿題やったよ」の「ウソ」
安倍首相の小学生時代の話である。
政治活動で多忙な父・晋太郎氏(元自民党幹事長、1991年死去)と、夫の地元・山口にいることが多かった母・洋子さん(92)の代わりに、東京で晋三少年の面倒を見ていたのが乳母の久保ウメさんであった。
「ウメさんは数年前に亡くなられたと聞いていますが、かつて私の取材にこんなことを言っていたんです。小学校低学年の時のこと。夏休みが終わりに近づくと『晋ちゃん、宿題は終わったの』とウメさんが聞く。そのたび、晋三少年はしれっと『ウン、終わったよ』と答える。でもウメさんが見ると、夏休みの絵日記やら何やらが真っ白。仕方なく、ウメさんがわざと左手に鉛筆を持って宿題をやってあげた、と言います」と振り返るのは、ジャーナリストの野上忠興さん(79)。
共同通信政治部記者として、72年から永田町を取材。晋太郎氏の番記者を長く務めた。ウメさんや若き日の首相らのインタビューをもとにした「安倍晋三 沈黙の仮面」(2015年)などの著書で、首相の人物像に迫ってきた。
「政権を不祥事が襲うたびに、首相はさらっと『責任を痛感しています』と言いますね。この姿に、私は先ほどの『宿題やったよ』としれっとウソをつく晋三少年の姿がダブるんです。ここが原点というか……」
100回以上繰り返してきた「責任を痛感」
「ウソ」かどうかはともかく、確かに安倍首相の「責任は痛感している」という言葉、耳にタコができるくらい聞かされてきた。
最近では、河井夫妻が起訴された際(7月8日のぶら下がり取材)▽逮捕された河井前法相の任命責任を問われて(6月18日の記者会見)▽拉致問題が進展しないまま、横田滋さんら被害者親族が亡くなったことについて(同)▽「5月6日まで」としていた緊急事態宣言を延長することについて(5月4日の記者会見)▽森友学園を巡る文書改ざん事件の見解を問われて(4月2日、衆院本会議)▽厚生労働省の統計不正問題の見解を問われて(19年1月29日、参院本会議)――など、テーマを選ばず首相は使ってきた。
国会だけでも首相が自身の責任を語る文脈で「責任を痛感」と発したのは、12年の第2次政権発足から6月4日までに101回もあるのだ。「責任を痛感」、もう獅子奮迅の活躍である。
「お友達重用主義者」の選ぶ「適材適所」の大臣
第2次政権以降、不祥事で辞任した閣僚は9人。閣僚人事を発表するたび「適材適所」と繰り返してきたが、これに素直にうなずける人がどれだけいるか。河井氏についても、首相は「適材適所という観点から大臣に任命させていただいた」(19年11月6日、衆院予算委)と説明するが、戦後政治をウオッチしてきた政界のご意見番、政治評論家の森田実さん(87)は苦り切っていた。
「第1次政権の時も、閣僚の不祥事や失言が相次ぎました。第2次政権でも同じです。要は『適材適所』と言いながら、安倍首相には人を判断する力がない、という結論にならざるを得ません」
第1次政権の時は野党・民主党にも、自民党の反主流派にも力があり、国民の見る目も厳しく、政権は1年しか続かなかった。
「第2次政権はそうではなくなったから、政権が永らえているに過ぎません。しかし、報道ベースで見ても河井夫妻の陣営の公選法違反事件はひどすぎる。与党が『臭いものにフタ』とばかりに、国会を6月17日で閉じたから何とかなっているが、会期を延長していたら、内閣総辞職までいったかもしれません」
ちなみに安倍首相、第2次政権で閣僚辞任第1号となった松島みどり法相(当時)と小渕優子経済産業相(同)のダブル辞任(14年10月20日)についても「任命責任者である私の責任を痛感している」(14年10月30日、衆院予算委)と述べていた。今思えば、改めてこの時の「痛感」は何だったのか、と記者もしみじみ思う。
さて、その河井氏。首相は「適材適所という観点から大臣に任命させていただいた」(19年11月6日、衆院予算委)と説明するが、野上さんは首をひねる。
「誰にとって『適材適所』だったか、ということです。たびたび報じられましたが、河井氏のパワハラ体質は有名で、自民党内でも評判は悪かった。明らかに閣僚としての資質はない。それでも『お友達重用主義者』と言われる首相にとっては『適材適所』だったのでしょう」
問題起こればあっさり切り捨て「『責任』と言いながら、責任を取ったことが一度もない」
気になるのは国家の法務行政のトップが違法行為に手を染めた疑惑を持たれているのに、本人はもちろん、任命権者でもあり、所属政党のトップである首相から、国民に向けた事実関係の説明がほとんどないまま今に至っていることだ。逮捕前日の6月17日、河井夫妻に自民党に離党届を出させて、ハイさようなら、後は我々は知りません、という態度すら感じる。
「『責任を痛感』というなら、せめて河井夫妻に指示して、事実関係を国民向けに説明させるべきでしたが、そんな形跡すらありません。『口先ばかり』という批判があがるのは当然です。夫妻を切り捨てて、これで終わり、ということでしょう」(野上さん)
例の前東京高検検事長・黒川弘務氏の件もダブる。黒川氏が定年退職すると、「業務の継続的遂行に重大な障害を生ずる」(森雅子法相、2月25日の衆院予算委)からと、検察史上初めて「勤務延長」に踏み切ってまで職にとどめたのに、賭けマージャン問題が発覚すると、安倍内閣はあっさり黒川氏の辞表を受理。検察首脳の定年延長を内閣が判断できる検察庁法改正案も、引っ込めた。これまた「切り捨て」「臭いものにフタ」の印象を受ける。
そういえば、自民党で唯一、公然と安倍首相を批判してきた村上誠一郎・元行革担当相は「側近やお友達、自分と同じ2世3世議員ばかり登用する。何か問題が起きても(閣僚らを)辞任させて幕引きすることばかり考えるから、同じ問題が繰り返されるんだ」と話していたが……。
森田さんの見方は辛辣(しんらつ)だ。「自分が閣僚の任命を誤った、責任を感じている、などと考えるタイプの人ではないのではないでしょうか。『責任』と言いながら、責任を取ったことが一度もないのですから」
「『情』がない」父・晋太郎氏の嘆きと「要領の良さ」
野上さんはかつて、外相を務めていた安倍首相の父・晋太郎氏が、当時は外相秘書官だった首相について「晋三は政治家として大切な『情』がない」と漏らすのを聞いたことがある。
「私が首相の学友たちに取材しても、みんな『安倍は要領がいい』と口をそろえるんです。要領の良さが、彼の一種の処世術なのでしょう。政治には要領の良さは必要です。ただ、何か自分の内閣で問題が起きた時、『オレは関係ない』『悪くない』という視点には普通は立たない。でも、安倍さんはどうか。『情がない』というか、しれっとしているところがある。『責任を痛感する』と繰り返すのに、これを裏付ける言動はありません」
野上さんは評伝「気骨 安倍晋三のDNA」(04年)のために、自民党幹事長に就任(03年)する前後の安倍首相を取材した。この時、視線を落とし携帯電話をいじくり回しながら受け答える首相の姿に、同席した出版社の編集者ともども「違和感を覚えた」という。記者もこれまで少なからず、大物とされる政治家や芸能関係者のインタビューをしてきたが、携帯電話をいじりながら応じた人は見たことがない。
再び森田さん。「かつてなら内閣総辞職もののスキャンダルが相次いでいるんです。でも野党が弱く、自民党内の反主流派も『安倍1強』で黙っている。このまま『臭いものにフタ』で良いはずがありません。野党議員が団結して『すぐに臨時国会を開会せよ。さもなくばみんなで辞職する』ぐらいの気迫で政権に迫るべきです。仮に『河井解散』に持ち込めば、野党にもチャンスは生まれるはずですから」
「責任を痛感」し続けてきたはずの首相に、野党はどう出るか。
https://mainichi.jp/articles/20200712/k00/00m/010/001000c