※2020年6月25日 朝日新聞
専門家会議の最大の失態は、コロナ対策の核心は行政による検査体制と医療体制の整備にあったのに、国民に一方的に我慢を強いる自粛ばかり強調し、その結果として安倍内閣の失政をぼやかしてしまったことである。権力者の責任回避に利用された専門家集団だったというほかない。https://t.co/bqBhuIlIIk
— 鮫島浩 (@SamejimaH) June 24, 2020
政治が負うべき責任を専門家会議に転嫁し過ぎとは思っていたけれど、政府がいきなり一方的に解体するのはひどい。https://t.co/QPL5rFe32U
— yama (@anonyy) June 25, 2020
政治と科学、問われる距離 専門家会議、組織見直し提言 前のめり発信「役割以上の期待と疑義」:
2020年6月25日 5時00分 https://t.co/62jkvlGUSg
専門家会議廃止、新組織に 「位置づけ不安定」 新型コロナ
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14525261.html
2020年6月25日 5時00分 朝日新聞
会見する政府専門家会議の(左から)尾身茂副座長、岡部信彦氏、脇田隆字座長=24日午後、東京都千代田区、諫山卓弥撮影
新型コロナウイルス対策を担当する西村康稔経済再生相は24日の記者会見で、2月以降、医学的見地から政府に助言を行ってきた専門家会議(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)を廃止し、より幅広い専門家を加えた新たな会議体を立ち上げると発表した。7月上旬にも初会合を開く。▼3面=問われる距離
政府はクルーズ船での集団感染の対応に追われていた2月、感染症や公衆衛生の専門家ら12人の専門家会議を設置。ただ、新型コロナ対応の改正特別措置法が成立する前に設置され、法的な根拠はなかった。
西村氏はこの日の会見で同会議について「位置づけが不安定であった」と述べ、特措法に基づく新たな会議体「新型コロナウイルス感染症対策分科会(仮称)」を設置すると表明。感染防止と社会経済活動の両立を図る必要があるとして、感染症の専門家以外にも、自治体関係者や情報発信の専門家らを加え、「第2波」に備えるとした。
同会議は感染状況の分析のほか、検査体制の拡充や「3密」の回避など収束に向けた対策も提言してきた。緊急事態宣言の指定や解除の際に政府は同会議の意見を重視する姿勢を示すなど、同会議は重要局面で前面に立ってきた。それだけに「政府との役割分担が不明確」との指摘も出ていた。
提言当日、「政府急きょ発表」
一方、専門家会議のメンバーは24日会見し、新たな専門家組織のあり方について提言した。政策の実行は政府が責任を負い、専門家組織は現状分析と評価を政府に提言するという役割分担を明確にする必要があるとした。国の政策を専門家会議が決めているようなイメージを作ってしまったと総括。リスクを国民に説明する「リスクコミュニケーション」は政府が主導するべきだとした。ただ、同会議の廃止について、政府から連絡はなかったという。複数の政府関係者は、新たな会議体の設置は25日に発表する予定だったが、急きょ24日夕に行われたと証言している。(山本知弘、姫野直行)
政治と科学、問われる距離 専門家会議、組織見直し提言 前のめり発信「役割以上の期待と疑義」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14525226.html
2020年6月25日 5時00分 朝日新聞
記者の質問に答える専門家会議の尾身茂副座長=24日午後、東京都千代田区、諫山卓弥撮影
新型コロナウイルス対策についての政府の専門家会議のメンバーが24日、組織の見直しを求めた。権限や責任があいまいなまま、対策や市民の行動変容など積極的な発信をしてきたことに、批判も出ていた。自らを省みた会見のさなか、政府は新たな会議体の立ち上げを発表した。政治と科学の関係はどうあるべきか。他国も模索している。▼1面参照
「感染症対策というのは、実験室の学問や純粋科学とは違う」。24日夕。日本記者クラブ(東京)で会見した専門家会議の尾身茂副座長はそう述べ、新型コロナ対策の難しさの背景を語った。
感染の拡大防止には人々の行動を変えることが必要になる。誰がどうお願いするか。元々医学的見地から助言するのが目的だった専門家会議は、権限と責任に法的根拠はなかったが、積極的な発信を続けた。迅速に対策を伝えないと、国内で感染が爆発的に広まるとの危機感が、メンバーに高まったためだ。
会見で、脇田隆字座長は前のめりになった理由を「(政府の)諮問に答えるだけでなく、対策をとる必要があると考えた」と語った。
こうした経緯を踏まえて公表した提言では、専門家会議に「本来の役割以上の期待と疑義の両方が生じた」と記した。さらに詳しい提案を示すと期待感を高めたり、逆に、人々の生活に踏み込んだと受け止め警戒感を高める人が出たり。「国の政策や感染症対策は専門家会議が決めているというイメージが作られ、あるいは作ってしまった」と指摘した。
専門家会議の提言は3月中旬から、専門家が厚労省とともに作るようになった。このため、記述の責任があいまいになった。
ただ、会見で政府からの独立性について問われ、尾身氏は「適切な提言のためには政府と意見交換が必須だ」とした一方で、強調した。「ここだけはという大事な部分は譲らない。客観性や中立性を我々は守ってきた。新しい会議メンバーにもそうしてほしい」
こう語った直後、政府が新たな会議体を立ち上げることが伝わり、質問が出ると尾身氏は、「私はそれは知りません」と答えた。
感染状況が落ち着いた5月末以降、次の感染拡大に備え、専門家会議はあいまいな組織のあり方を見直すべきだと自ら検討を始めた。関係者によると、政府が総括するならば今回のような提案はしないつもりだったが、予定されなかったために文書をつくり公表することにした。
「専門家組織は本来、現状を分析、その評価をもとに政府に提言する役割を担う。政府は提言の採否を決め、政策実行に責任を負うべきだ」。提言はこう記した。
政府、決定権を強調
政府は、尾身氏らが会見を開くことに懸念を抱いていた。
ある政府関係者は、「一部で国の対策は専門家会議が決めているというイメージが作られた」との尾身氏らの主張に「役割分担はできていたはずだ」と反論。会見を控え、厚生労働省や内閣官房の担当部局が尾身氏らと水面下で調整したが、「発信したいということを止める理由もない」と最後は静観した。
西村康稔経済再生相は24日、政府の専門家会議の廃止と新たな会議体の設置を発表した会見で、「専門家会議の立場と政府の立場、関係は明らか」だと強調。専門家の意見を踏まえ「私自身が考え、総理や官房長官と相談をして、大きな方針を決めてきた」と訴えた。
また、菅義偉官房長官も同日の会見で、政策は安倍晋三首相を本部長とする対策本部で決定していると強調した。
場当たり的判断、社会の混乱招く
外部の専門家はどうみるか。医師で民法・医事法を専門とする米村滋人・東大教授は「少数の専門家と政治家が場当たり的に判断するのでは社会が混乱し、対策の有効性が大きく減ってしまう。産業界や教育・介護の関係者、市民らも加わり、責任を持って政策判断できる組織体をつくるべきだ」と語る。
米 「最強」CDC、政府から軽視/英 助言機関、根拠疑われ追及も 政治と科学、各国は
政治と科学の関係は、海外でも課題だ。
感染症対策で、「世界最強」と言われる政府機関は米国の疾病対策センター(CDC)だ。豚インフルエンザやエボラ出血熱の流行時には、中心的役割を担った。しかし、新型コロナでは、存在感を発揮できていない。2月下旬にCDC幹部が感染拡大への懸念を表明すると、楽観論をとっていたトランプ米大統領が激怒。検査態勢の構築の遅れでも批判され、政権タスクフォースの会見でCDC幹部による発言機会は少なかった。
代わって専門家として情報発信を担ったのは、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長らだ。会見では死者数の予測、感染拡大防止のガイドラインなどを公表し、マスク着用の効果を説明した。だが、同じ会見ではトランプ氏が「国をいつまでも閉鎖するわけにはいかない」、「私はマスクを着けない」と、矛盾するメッセージを重ねた。経済活動が再開し始めてからは、政権内で感染拡大防止への関心も薄れ、タスクフォースの会見は4月末を最後に開かれていない。
一方、緊急時に「非常時科学諮問委員会(SAGE)」が政府に助言する英国では、政策決定の透明性が問題となった。英政府は、当初に厳格な外出規制を取らなかった根拠が不透明だと追及されて5月、非公開だったSAGEのメンバーを公開。議事録などの公表も進めている。
公開された資料からは、科学的助言に基づいて政策が決定されたことがうかがえるが、死者が4万人を超えていることもあり、政権内では専門家の責任を問う声がある。コフィー労働・年金相は英メディアに「判断は、与えられた情報と助言に基づくしかない。科学や助言が間違っている場合、政治家が誤った判断をしたと思われても驚かない」と語った。(ワシントン=香取啓介、ロンドン=下司佳代子)
■専門家会議の提言(概要)
●組織のあり方
・政府と組織の責任範囲と役割の明確化
・リスクコミュニケーションは政府が主導
・事務局への十分な支援体制
・社会的問題に関する専門家の参画
●喫緊の課題
・危機対応時でのリスクコミュニケーション体制の早急な見直し
・新型コロナウイルス感染者の情報把握
●中長期的な課題
・感染症指定医療機関などでの研究実施体制の強化
・感染症疫学専門家の養成と各地方自治体への配置