増える芸能人の政治的発言 背景に“CM依存体質”からの脱却
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2020/05/30 日刊ゲンダイ
小泉今日子(左)ときゃりーぱみゅぱみゅ(C)日刊ゲンダイ
「芸能人の政治的発言が増えた背景には芸能界の構造的な変化があると思います」
芸能文化評論家の肥留間正明氏はこう語る。
検察庁法改正案に対し、俳優やミュージシャンなどが「#検察庁法改正案に抗議します」を利用して“ツイッターデモ”が加速。タレントの小泉今日子(54)を筆頭に、俳優の浅野忠信(46)、井浦新(45)、城田優(34)、格闘家の高田延彦(58)、ミュージシャンのChara(52)、きゃりーぱみゅぱみゅ(27)、元AKB48の秋元才加(31)、お笑い芸人の大久保佳代子(49)、モデルの水原希子(29)など多くの芸能人が声を上げ、法案を廃案に追い込んだ。
その一方、きゃりーぱみゅぱみゅに関しては、政治評論家の加藤清隆氏が「歌手やってて、知らないかも知れないけど、(中略)デタラメな噂に騙されないようにね。歌、頑張って下さい」と小バカにしたようなツイートを返し、これに対し、きゃりーは「歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ」と反論。その後、ファン同士の意見が対立しツイッターが荒れたことを嫌ってツイートを削除したことも物議を醸した。肥留間氏が続ける。
「もともとミュージシャンには政治的発言をする人が多かったのですが、テレビを主戦場とする俳優やタレントは、政治的に無色透明を求めるスポンサーの意向に従って、政治的発言はタブーとされてきました。しかし今は、地上波のCM出稿料も減り、俳優やタレントのそうした『スポンサー・CM依存体質』が変わりつつある。タレントたちは“CMでは食えない”と思い始めているんです。それで、スポンサーの顔色などうかがわずにやっていきたい、またやっていこうと考える気骨のある芸能人が増えてきたのだと思います。その筆頭が小泉今日子です」
確かに、昨年、大ヒットしたネットフリックスドラマ「全裸監督」に主演した俳優の山田孝之は、原作者である本橋信宏氏が「過激な役柄でCMのオファーに影響が出ないですか」と問うと「僕は俳優です。CMタレントではないから構いませんよ」と答えたという。
「欧米では俳優が政治的発言をすることは当たり前です。もちろんSNSの発達により、所属事務所の制約なしに芸能人が一個人として発言できる機会が増えたこと、さらに根底には、コロナ禍でテレビの収録も舞台もコンサートもなくなる中で、文化や芸能に全く理解のない安倍政権に対する怒りがあると思います」(肥留間氏)
権力の腐敗を監視する格好の力
今回、検察庁法案が廃案となった後も、「#さよなら安倍総理」「#赤木さんの再調査を求めます」をリツイートするなど政治的発言を続けるキョンキョンはまさに時の人。政界進出待望論も浮上している。
「影響力の強い芸能人が声を上げることは正しい。それは権力の腐敗を監視する格好の力となる」と肥留間氏は話している。
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— KK (@Trapelus) May 29, 2020