ホテル業界は絶頂から急落…東京五輪延期が沈滞に追い打ち
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2020/04/11 日刊ゲンダイ
コロナ倒産した愛知の冨士見荘(HPから)
新型コロナウイルスが真っ先に直撃したのが宿泊業界だった。4月9日時点で、「新型コロナウイルス」関連倒産は24件(その他に法的手続き準備中25件)に達し、このうち宿泊業は7件(同5件)発生している。
インバウンドが消失し、終息時期も見えない。国内でも自粛ムードが広がり、予約客のキャンセルが相次ぎ、資金力のない宿泊業者は正念場を迎えている。
2020年1月の東京都内の宿泊施設の客室稼働率は約7割で、全国平均の54%(令和2年1月「宿泊旅行統計調査」)を大幅に上回っていた。
都市型ホテルはインバウンドや東京五輪・パラリンピック需要を見込み、都心部ではホテルの建設ラッシュが起きていた。既存ホテルも負けじと多額の資金を投じ、改装に取り組んだ。
こうした光景が、わずか1カ月で沈滞ムードに変わった。
ホテルでは収益のもうひとつの柱であるレストラン、バーなどの飲食部門と、結婚式場などの宴会部門もキャンセルが続く。「売り上げが前年同月の7割減」「光熱費を抑えるため複数フロアの使用をやめた」など、漏れ伝わる内容は深刻だ。
訪日外国人をターゲットにしたラグジュアリーホテルは、訪日客急減でダメージが大きく、「給与の3割カット」「一時帰休」など、およそホテルに似つかわしくない言葉が飛び交う。そこに追い打ちをかけたのが東京五輪の延期である。
新型コロナで予約キャンセルの扱いが問題になっている。政府がスポーツ、コンサートなどの大規模イベントの中止や延期を要請し、キャンセルが急増した。ところが規定のキャンセル料をもらえないケースが増えている。
国の論理はこうだ。政府の外出や宿泊の自粛は国民に“強制”したものではない。だから特約がない限り宿泊施設は規定のキャンセル料をもらえるという。だが、新型コロナ感染が広がる中で、この論法は苦しい。ホテルはキャンセル料を取りづらいだろう。キャンセル料の軽減、免除をホテルの判断に委ねる曖昧さは問題である。
そもそも、インターネットで調べると、キャンセル料を無料としているホテルは意外と多い。
東京駅にほど近いシティーホテルも、宴会予約は別だが、宿泊予約に限りキャンセル料を取っていない。経営者の方針という。「長期滞在者向け割引」など、多様なサービスは大手系列に多く、資金力の乏しいホテルは太刀打ちできない。
こんな困惑をよそに、キャンセル客を対象にした宿泊予約の売買サービスの会社もある。さまざまなトラブルを引き起こす新型コロナだが、負けじと新しい産業も育っている。 (つづく)
(東京商工リサーチ情報部)
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ホテル業界
絶頂から急落
一時帰休、給与カット
新型コロナで予約キャンセル扱いが問題になっている。政府がスポーツ、コンサートなどの大規模イベントの中止や延期を要請し、キャンセルが急増した。ところが既定のキャンセル料を貰えないケースが...
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