傭兵を支援するためにイドリブ南部へ向かうトルコ軍をシリアとロシアが空爆
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2020.02.29 櫻井ジャーナル
シリア西部、トルコと国境を接しているイドリブはジハード傭兵に支配されてきた。ブレット・マクガークはアメリカの大統領特使を務めていた時代の2017年7月、イドリブについて、9/11以降、アル・カイダの最も大きな避難場所になっていると表現している。
アル・カイダという名称を世界に広げたのはジョージ・W・ブッシュだろう。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後にブッシュ大統領が実行者としてアル・カイダの名前を出したのだ。
しかし、アル・カイダという武装組織は存在しない。ロビン・クック元英外相がガーディアン紙に書いているが、アル・カイダとはCIAが訓練したムジャヒディンの登録リストにすぎない。
アラビア語でアル・カイダとはベースを意味し、データベースの訳としても使われる。その中からピックアップされた戦闘員を中心として編成されたのがアル・カイダ系武装勢力で、その主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だ。
イドリブにはトルコ政府を後ろ盾とするタクフィール主義者の武装背力SNAも存在している。その武装勢力が支配してきたイドリブ南部の相当部分をシリア政府軍が奪還したが、その進撃を止めるためにトルコ軍部隊が南部へ向かった。
現地からの情報によると、SNAを攻撃していたシリア政府軍のSu-22戦闘爆撃機2機が約400名の兵士を乗せたトルコ軍の車列を空爆して止めた。兵士が道路脇の建造物へ避難すると、その建造物をロシア軍のSu-34戦闘爆撃機が破壊、33名から55名のトルコ軍兵士が殺されたという。
ロシア政府は連絡の問題だとしているが、トルコ政府に対する警告だとも見られている。ロシア軍は地中海へ2隻のフリゲート艦を派遣したと伝えられているが、これもトルコ側への警告だろう。トルコ軍が戦闘をエスカレートさせた場合、イドリブのトルコ軍を全滅させるという脅しに見える。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアのウラジミル・プーチン大統領と電話で話をしているようだが、ロシア政府によると、3月5日と6日に両者はモスクワで会談が予定されている。