トランプは反グローバリストではなくネオコンだった
2020.01.15
ポンペオ国務長官はトランプ政権がネオコンの戦略を継承していることを明らかに
マイク・ポンペオ国務長官は1月13日にスタンフォード大学のフーバー研究所で講演、ガーセム・ソレイマーニーの暗殺はアメリカへの挑戦を抑止することが目的だと語った。ドナルド・トランプ大統領はソレイマーニーの存在がアメリカにとって差し迫った脅威であるように説明していたが、そうしたおとぎ話に執着すると自らを追い込むことになるので、軌道修正を図っているのかもしれない。
ネオコンはライバルだったソ連が1991年12月に消滅した直後、政界制覇にとって邪魔な存在を潰し、支配力の源泉になるエネルギー資源を支配する政策を国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で打ち出した。ポンペオの発言はこの方針に沿っている。
DPG草案は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。この政策が作成された当時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ。DPG草案作成の最高責任者は国防長官のリチャード・チェイニーだ。
この政策のアイデアを考えたのは国防総省内部のONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルだと言われている。
マーシャルは親イスラエル派で、冷戦時代にソ連の脅威を誇張した情報を流し、CIAの分析部門と対立していた人物として知られている。マーシャルのソ連脅威論を広める役割を負っていたCIAのチームBの中にウォルフォウィッツも参加してた。マーシャルは中国脅威論の発信源でもある。
バラク・オバマ政権のネオコンはロシアとEUを分断し、ロシアへの軍事的な圧力と強めるためにウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行した。2014年2月のことだ。それを見たロシアと中国は急接近し、今では戦略的な同盟関係を結んでいる。
オバマ政権は2010年の終わりからムスリム同胞団を使い、中東から北アフリカにかけての地域で「カラー革命」を仕掛けた。いわゆる「アラブの春」だ。
その一環で2011年春にはリビアやシリアでムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵に軍事侵略を始めた。その実態を誤魔化すため、西側ではこの戦争を「内戦」と呼ぶ。
リビアでの戦闘でアメリカ/NATOがアル・カイダ系武装集団と連携している事実を知る人が増え、2014年には新しいタグ「ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)」をつけた武装集団を売り出している。
ダーイッシュを含むジハード傭兵の武装集団は2015年9月にシリア政府の要請で介入したロシア軍によって壊滅状態になるが、地上でダーイッシュと戦っていたのがソレイマーニーの率いる部隊。アメリカ軍がソレイマーニーを暗殺した後、ダーイッシュは「神の御業」だと賞賛しているのだが、この暗殺によってアメリカは中東での孤立を深めている。
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